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装着して動けるアップルシードの「ランドメイト ギュゲス」が制作

〜パワードジャケットMK3とのコラボ

ワンダーフェスティバル2013[夏]で展示されていた、佐川電子の「パワードジャケットMK3」(左)と大日本技研の「PDFクラフト ギュゲス1/1」(右)

 株式会社大日本技研は24日、佐川電子株式会社と共同で制作中の「ランドメイト ギュゲス」の内覧会を開催した。内覧会では、実際にランドメイト ギュゲスの稼働デモが行なわれたほか、取材陣にも装着体験の機会が与えられたので、その様子をレポートしたい。

搭乗者の腕や頭の動きに連動して動く

 ランドメイト ギュゲスは、攻殻機動隊などで有名な漫画家、イラストレーターの士郎正宗氏の作品「アップルシード」に登場する架空の人型搭乗兵器、いわゆるパワードスーツである。パワードスーツといっても、サイズはさまざまだが、ランドメイトギュゲスは全高が250cm程度と、それほど大きくはない。

 士郎正宗ファンなら、大日本技研という名前にもピンとくるだろうが、大日本技研は士郎正宗氏の作品中に登場する架空の会社名であり、士郎正宗氏の許諾を得て、実際の会社もその名前にしたという。大日本技研は、オリジナルのモデルガンやアニメや映画に登場する銃やロボットなどの立体化を得意とするガレージキットメーカーであり、最近では、ワンダーフェスティバルでの巨大クラフトモデルの展示が話題を集めている。ワンダーフェスティバルに行かれた方なら、「魔法少女まどか☆マギカ」に登場する巴マミのマジカルマスケット砲や、「装甲騎兵ボトムズ」に登場するスコープドッグを原寸で再現した「PDFクラフト スコープドッグ1/1」を作ったところと言えば分かるだろう。

 その大日本技研が佐川電子と共同で進めている最新プロジェクトが、今回、お披露目されたランドメイト ギュゲス(以下ギュゲス)である。大日本技研代表の田中氏は、元々実際に人が装着して動かせるギュゲスを開発しようと考えており、外装のプロトタイプとなるボール紙製の「PDFクラフト ギュゲス1/1」を制作、ワンダーフェスティバル2013[夏]で、展示販売を行なっていた。内部機構についても、自分で作ろうとしていたが、佐川電子が開発中のパワードジャケットのことを知り、PDFクラフト ギュゲス1/1の販売促進と、パワードジャケットのプロモーション活動という両社の目的が合致したため、共同で開発を行なうことになったという。

 佐川電子は、強化外骨格(パワードスーツ)の開発や販売、小型/中型ロボットの開発や販売などを行なっている企業であり、2013年にYouTubeで公開した「パワードジャケットMK3」のプロモーションムービーが100万再生を突破するなど話題となった。

 両社が共同で開発しているギュゲスの完成品は、2月9日に幕張メッセで開催されるワンダーフェスティバル2014[冬]で展示される予定だが、今回、報道関係者などを対象に一足早くお披露目が行なわれた。ただし、写真を見ればわかるように、ギュゲスの外装の下半身は、まだ塗装が完了しておらず、白いライオンボードが剥き出しであったが、ワンダーフェスティバル2014[冬]までには、全て完了する予定とのことだ。

 元となったパワードジャケットMK3は、上半身と下半身が一体化したものだが、ギュゲスでは上半身と下半身が分離、合体できるように改良されている。ギュゲスの全高は約250cmであり、ガンダムなどの巨大ロボットとは異なり、乗り込むというより、装着するという感覚だ(まさにパワードスーツである)。そのため、装着も下半身と上半身を分けて行なう。全てを装着した状態でも、外から搭乗者の腕とギュゲスの腕の両方が見えるので、腕が4本あるように見えるが、原作に登場するギュゲスがこういう設計であり、その再現度は高い。

 コックピット部分の上部には、前後左右に4台の液晶ディスプレイが搭載されており、前方および左右、背面のカメラの映像を映し出すことが可能だ。背面カメラは、ギュゲスの特徴であるAVセンサーとして搭載されており、背面の壁の向こう側などの様子を偵察可能だ。このAVセンサーは、背面に2基用意されており、それぞれ2軸ずつサーボモーターが仕込まれている。内覧会では、場所の都合もあり、AVセンサーを動かすデモは見られなかったが、本来は操縦桿に搭載するアナログスティックで自由に動かせるとのことだ。

 上半身はマスタースレーブ方式(マスターとなるコントローラーの動きをスレーブがトレースする方式)で動作するため、装着して腕を動かしたら、ギュゲスの腕もその通りに動く。片腕あたりの自由度は4である。また、搭乗者の頭にカチューシャを取り付けることで、頭の動きを検知し、搭乗者が右を向けばギュゲスの頭も右に、左を向けばギュゲスの頭も左に動く。右手は指が2本動くようになっており、重くないものなら、モノをつかむことも可能である。

 下半身には、人間の動きを拡大し、安定した歩行を実現するためのリンク機構があるが、モーターは搭載されていない。つまり、歩行や方向転換といった足の動きは、全てパワーアシストされず、人力で動かすことになる。そのため、自由自在に動けるようになるには多少慣れが必要だが、下の動画を見れば分かるように、慣れればかなりの運動性能を実現できる。お披露目会では、コスチューム制作者のShin'さんが、アップルシードの主役であるデュナンに扮してギュゲスを装着していた。

 また、会場には、現在佐川電子が開発中の最新モデル「パワードジャケットMK4」も展示されていた。パワードジャケットMK4は、下半身にも強力なモーターが搭載されており、歩行などの動作もパワーアシストしてくれることが特徴だ。

制作中のランドメイト ギュゲス。手で武器を持つことも想定していた。奥にあるのが元となったボール紙製のPDFクラフト ギュゲス1/1である
ランドメイト ギュゲスの3Dモデル。制作しやすいように、リデザインされている
「PDFクラフト ギュゲス1/1」のパッケージを持って説明をしているのが、大日本技研代表取締役の田中誠二氏
こちらは内部の機構制作を担当した佐川電子代表取締役の町浩輔氏
ランドメイト ギュゲス1/1の上半身。上半身は、ほぼ塗装が完了している
コックピット上部に液晶ディスプレイが4台設置されており、正面や左右側面、背面のカメラ映像を見ることが可能
搭乗者が動かすマスターアームにセンサー代わりのサーボモーターが取り付けられている
コックピット前面部分。中央の黒い部品はカメラである
コックピットの右側面。両側面にもカメラが搭載されている
背面にギュゲスの特徴であるAVセンサーを搭載。AVセンサーにはカメラと2軸のサーボが搭載されており、壁越しに背面の様子を確認することが可能だ
ランドメイト ギュゲスの上半身を装着した町氏。頭部にはカメラを模したLEDライトが4基搭載されている
右手に手袋をはめるとこうなる。マスター部分の右手を覆うパーツは外している
ランドメイト ギュゲスの上半身と下半身を合体させたところ
左は、アップルシードの登場人物であるデュナンに扮したShin'さん。Shin'さんはコスチューム制作も請け負っており、このコスチュームもShin'さんの手によるものだ
デュナンの胸も造形物とのことだ
ランドメイト ギュゲスにデュナンに扮したShin'さんが乗り込んだところ。アップルシードの世界が現実のものに
町氏が上半身と下半身を合体させたランドメイト ギュゲスを装着したところ
ランドメイト ギュゲスの全高は約250cmである
下半身はまだ未塗装の状態である。外装の材料として、ライオンボードが使われている
足の太腿部分の内側。強度を上げるために補強パーツが多数使われている
佐川電子が開発したモータードライバ基板。この基板がモーターの数だけ搭載されている
搭乗者の頭の動きは、カチューシャ(中央手前にある黒色のもの)を利用してトレースされる
右手の指はこのサーボモーターを利用して動かしている
現在開発中のパワージャケットの新モデル「パワードジャケットMK4」。MK3では、下半身は人力で動かしていたが、MK4では下半身に強力なモーターが搭載されており、体重100kgを超える人でもパワーアシストが可能
【動画】町氏がランドメイト ギュゲスの上半身を動かしているところ。上半身はいわゆるマスタースレーブ方式で、搭乗者の腕の動きに同期して動く。右手の指を動かすことも可能だ
【動画】搭乗者の頭にカチューシャを付けることで頭の動きにあわせて、ランドメイト ギュゲスの頭も動く
【動画】ランドメイト ギュゲスは原作でもマスタースレーブ方式で動き、外からは搭乗者の腕とあわせて4本の腕があるように見える
【動画】右手の手袋を外して、指を動かしているところ。人差し指と中指の2本が一緒に動くようになっている
【動画】町氏が下半身のみを装着し、デモを行なっているところ。慣れれば自由自在に動けるようになる
【動画】前に歩くだけでなく、後ろ歩きも可能だ

筆者も体験搭乗してみた

 希望者は体験搭乗できるということで、筆者も体験させてもらった。町氏は、上半身と下半身の両方を装着した状態を見せてくれたが(ただし、そのときは上半身を吊っているため、下半身の歩行はなし)、慣れていない搭乗者が上半身と下半身両方を装着するには時間がかかることから、今回は、まず上半身を装着してマスタースレーブ動作を体験、次に、下半身だけを装着して歩行体験という形で行なわれた。

 上半身も下半身も、一人で装着することは不可能なので、田中氏や町氏に手伝ってもらいながら装着することになる。上半身のハッチを閉めてしまうと、視界が前後左右のカメラだけになるので、ギュゲスの腕の動きが自分ではよく分からない。そのため、ハッチを開けて操縦を行なったのだが、マスタースレーブの反応はなかなか良く、自分の腕を動かした通りに、ギュゲスの腕が動くのはなかなか楽しい。

 下半身は、パワーアシストがなく、視線がかなり高くなるので、慣れないと多少恐怖を感じる。想定身長との違いもあり、筆者は腿を固定するベルクロがうまく止まらなかったので、歩行はできず、杖をついて立つだけだったが、すり足ながら初めてでも歩行できていた体験者もいた。上の動画にあるように、開発者の町氏は下半身を装着した状態で、自由に前歩きや後ろ歩き、方向転換などをこなしていた。リンク機構もあるので、竹馬のようなバランス感覚は不要なようだが、慣れが必要なことは事実であろう。

 パワードジャケットMK3は1,250万円で販売中だが、パワードジャケットの新モデル「パワードジャケットMK4」をベースにした、某作品とのコラボレーションも計画中だという。今後の展開にも期待したい。

 なお、今回は、読者プレゼントして、大日本技研から「PDFクラフト スコープドッグ1/1」と「PDFクラフト ギュゲス1/1」を2本ずつ提供していただいた。

 これらはDVDで供給されており、中には、スコープドッグやギュゲスの原寸の型紙と組み立て説明書が入っている。家庭用プリンタを使ってプリントアウトしたものをボール紙に貼り付けて切り、組み立てていくというものだ。あくまで、PDFクラフトの型紙であり、今回紹介している搭乗型のギュゲスを作れるわけではないが、人が乗れるサイズのクラフトを作ってみたいという人は、是非ご応募いただきたい(原寸大なので組み立てにかなり場所を取るが)。

 プレゼントの募集は後日別途掲載する。

筆者もランドメイト ギュゲスの搭乗に挑戦した。今回は、スペースや時間の問題もあり、上半身と下半身別々に体験することになった
マスターコントローラとなる腕部分に、両腕を入れたところ。脚立に座って高さを調節している
コックピットのハッチを閉じたところ
次に、下半身の装着に挑戦。一人で装着することはできないので、田中氏や町氏に手伝ってもらっている
装着できたが、一部ベルクロが固定できず、歩くことはできなかった。慣れていないので杖をついてバランスをとっている状態
ハッチを閉じてしまうと、自分で動かしている様子が自分で見えないので(カメラの視界に入れば見えるが)、操縦体験はハッチを開けた状態で行なった

(c) 士郎正宗 / 青心社

(石井 英男)