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CERN、LHCでの粒子衝突回数を10倍に引き上げる線形加速装置「Linac 4」を始動

 CERN(欧州原子核研究機構)が9日(現地時間)に、線形加速装置「Linac 4」を始動させたと、Phys.orgが報じている

 Linac 4は、素粒子の性質を調べるために原子同士などを超高速で衝突させる実験装置「大型ハドロン衝突型加速器(LHC: Large Hadron Collider)」の前段装置として使われる新たな加速装置となっており、1978年から稼働しているLinac 2が置き換えられ、2021年に稼働予定。

 Linac 4は地下12mに設置された長さ約90mにおよぶ機械で、開発に10年近い年月が費やされた。Linac 4は、Linac 2の3倍以上となる160M電子ボルトまで水素陰イオンを加速可能。これにより、LHCへと送出するビームの強度を倍増できる。

 LHCにおける単位時間あたりの粒子衝突回数(光度)は、2025年までにいまの5倍に強化される予定で、Linac 4との組み合わせにより、2025年から2035年の間に得られるデータ量は従来の10倍に達する。

 加速器への接続は大規模な試験のあととなっており、実際には2019年から2020年の間で予定されているLinac 2の技術的シャットダウン中に行なわれるという。