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男のロマン? Azureに搭載されたTesla GPUを使って3Dゲームをクラウドでプレイする

 Larry Landという個人のブログで、Microsoftのクラウドサービス「Azure」を使って、FPSゲーム「Overwatch」をプレイする方法が紹介されている。

 MicrosoftのAzureでは、GPUアクセラレータ「Tesla M60」が使えるクラウドサービスの提供をベータテストしている。このNVIDIAのTesla M60は、CUDAコア数が2,048基のMaxwell GPUを2基搭載しており、合計4,096基のCUDAコアを実現している。

 性能的には、GeForce GTX 980×2に近い性能を実現していると見られ、一般コンシューマ向けで入手できるGeForce GTX 1080に勝るとも劣らないグラフィックス性能を持つと見られる。ではこのTesla M60で実際にゲームを動かしてみたらどうか、というのがLarry Landのこの記事の趣旨だ。

 この記事では画面キャプチャを多数用いて解説しているので、英語が苦手な人でも問題なく稼働までたどり着けると思うが、主にやっていることを羅列すると、

1.6コアCPU/メモリ56GB/380GBのSSD、30Mbpsのネットワーク帯域幅といったスペックを持つ「NV6スタンダード」プランを契約
2.ICMPのpingリクエストを有効化し、各種パフォーマンスに関するチューニングを施す
3.NVIDIAのTesla M60のグラフィックスドライバをインストールし、Hyper-Vビデオドライバを無効化
4.標準のリモートデスクトップを無効化し、TightVNCに置き換える
5.オーディオのサービスを有効化
6.自宅のPCと同じネットワークに接続するために「ZeroTier VPN」をインストールし、環境をセットアップ
7.Steamをインストールし、GPUエンコードによるホームストリーミング機能を利用して、手持ちのPCでゲームをストリーミング実行する

 といった手順を介して、Overwatchのプレイを実現しているのである。ただし、記事で紹介されているNV6スタンダードプランはTesla M60の半分しか使えないという制約があり、GTX 980相当の性能に留まると見られる。

 ブログによるテストでは、2,560×1,600ドット(WQXGA)という環境下で60fpsを実現しており、レイテンシは82ms前後。ネットワークの帯域幅は21Mbpsほど消費したという。

 Azureは時間課金制となっているため、上記の構成では合計1時間あたり1.96ドル消費する。1日に平均2時間プレイするユーザーの場合、日本円にして月額約12,000円ほど、年額にすると約14万円強。よほどPCの設置場所に制限がない限り、ゲーミングPCを買った方が安そうではあるが、面白い試みと言えるだろう。

 余談だが、同氏は過去にAmazonのクラウドサービス「AWS」を使って、3DアクションRPG「Witcher 3」をプレイする試みも紹介している。この場合1時間あたり0.53ドルと、「ゲームをプレイするには悪くない選択肢」だと結論付けている。

【動画】Azure経由でOverwatchをプレイしている動画