イベントレポート

COMPUTEX会場で見かけたPCケースなど

 本稿では、COMPUTEXの会場で見かけたPCケースなどをまとめて紹介する。

Thermaltake

 Thermaltakeブースでは、超大型の壁掛けケースや、横に倒してテーブルとしても使えるというユニークなケースを展示するとともに、新たなブランドロゴを採用した「Premium Line」製品などを展示した。

Core P5

 Core P5は、“中身を見せる”というコンセプトを突き詰めたPCケースだ。ケースの仕様は、いわゆる“まな板”的なもので、1枚の板にマザーボードやビデオカード、電源、ストレージ、水冷システムなどを装着するという仕様。そして、マザーボードなどを装着した板の四隅から延びる4本の支柱で固定されたアクリル板があるだけで、側面は開放状態となっている。

 内部の状態は丸見えで、しかもビデオカードやストレージも板に対し水平に装着する構造のため、側面から全パーツの正面が見えるように配置される。まさに、見せるPCを極めた仕様と言っていいだろう。

 また、マザーボード装着部の側面側には四隅にインシュレータが取り付けられており、縦置きだけでなく横置きにも対応。側面アクリルカバーを強化ガラスに交換すれば、テーブルとしても利用できるという。これまでになかった発想のPCケースだ。

 Core P5は、実際に日本を含めて市販を予定しているという。発売時期は未定だが、価格は13,000円前後を想定しているとのこと。

新型ケース「Core P5」。まな板状のベースユニットにマザーボードやパーツを水平に装着。搭載パーツを見せる仕様のケースだ
アクリルケースを支柱で固定するだけの構造のため、側面は開放されている
横置きに対応できるよう、インシュレータを装着。アクリル板を強化ガラス板に交換すればテーブルとしても活用できるという

壁掛けケースプロトタイプ

 こちらは、Core P5のコンセプトの元となったような、超弩級ケースだ。1m四方を優に超えるサイズで、ここにマザーボードや電源、ビデオカード2枚、360mmや480mmのラジエータを利用した水冷システムを搭載。こちらも、パーツ類は全て板に対して水平に装着されるという構造。もちろん壁掛けの状態で動作する。ある意味、究極のPCケースと言えそうだ。ただ、こちらは市販用として開発されたものではなく、PCショップの壁に取り付け、製品を紹介するために考え出されたものとのこと。こういった展示がPCショップの壁に取り付けられていれば、いやでも目が行くはずで、宣伝効果は抜群だろう。

壁掛け形で、パーツ類の展示を目的とした壁掛けケース

Premium Lineシリーズ

 従来と異なる、新たなブランドロゴをまとった、Premium Lineシリーズ。シンプルで高品質を追求した製品群とのことで、今回は超大型PCケースを複数展示。近年ThermaltakeではPCを独自に改造して装飾する”MOD”に力を入れているが、Premium LineシリーズはMODのベースとしても十分な魅力がありそうだ。ただし、一般家庭で利用するPCケースとしては大き過ぎる印象で、個人で利用する(特に日本の家庭で利用する)のは少々厳しそうだ。Premium Lineシリーズの製品群は、今回は参考展示で、発売時期などは未定とのこと。

Poseidon Z Touch by SmartBar

 こちらは、キーボードの新モデル。Thermaltakeはゲーミングキーボードも多数販売しているが、こちらは一般的な仕様のキーボードに見える。しかし、スペースキーに大きな特徴がある。それは、スペースキーにタッチパッド機能が搭載され、スペースキー上で指をスライドさせたり軽くタッチするだけで、スクロールや拡大縮小、キーボードマクロなどが行なえるようになっている点。専用ユーティリティでスクロールやマクロなどの機能のカスタマイズも可能だ。

 実際の操作感は、タッチパッドとは大きく異なることもあって、やや戸惑う場面もあったが、マウスに手を伸ばさずにスクロールや拡大縮小などの操作が行なえる点は、慣れればかなり便利に活用できそうに感じた。なお、この機能は、こちらの記事で紹介している、Synapticsの「SmartBar」により実現されている。

タッチセンサー内蔵スペースバーを搭載する「Poseidon Z Touch by SmartBar」
スペースバーにSynapticsの「SmartBar」を採用することで、タッチ機能を実現
スペースバー上で指をスライドさせたりタッチするだけで、スクロールなどの操作が可能
ユーティリティでタッチ操作のカスタマイズも可能

Antec

 Antecは、「Signature」シリーズの最新モデルとなるフルタワーケース「Signature S10」を展示した。上部と下部の前方と後方が斜めに切り取られたような、6角形のデザインを採用する点が特徴的だが、中身は品質重視の仕様となっている。

 側面パネルはアルミニウム製で、ボタンを押すだけで観音開きのように左右にパネルが開く構造となっているのがユニーク。バリエーションモデルとして、側面パネルにガラスを採用したモデルも用意されるとのこと。

 内部は、マザーボード装着部と、その下部に電源装着部、ケース前方にストレージ装着部が独立して用意されるトリプルチャンバー構造を採用。前面に3基、トップに2基の140mmファンが装着可能で、それぞれのチャンバーを強力に冷却できるようになっている。

 内部ストレージベイは、電源ユニット部に2.5インチベイ×5基、前方ストレージ装着部に2.5インチベイ×3基、3.5インチベイ×6基と、非常に豊富に用意。右側面もパネルが観音開きに開くようになっており、裏面配線も容易だ。

 北米市場での価格は499ドルで、日本での発売時期などは未定。

Signature S10
Signature S10 側面ガラスモデル

Silverstone

 Silverstoneは、マザーボードの装着向きを90度回転し、バックパネルインターフェイス部がケース上部に配置されるという、独特な仕様のPCケース「RAVEN」シリーズの新モデル「RAVEN X RVX01」を展示した。

 従来モデルの「RAVEN RV05」に比べてコンパクトさが追求されており、サイズは195×470×473mm(幅×奥行き×高さ)と、RV05よりひとまわり小さくなった。ただ、煙突効果を狙ったマザーボード90度回転装着というコンセプトはしっかり受け継がれている。

 拡張性はRV05から大きく変わっておらず、内部ドライブベイは3.5インチ×2、2.5インチ/3.5インチベイ×2と同等。空冷ファンは、120mmファンをリアに1基、ボトムに3基、トップに1基装着可能。2015年第3四半期に発売を予定しており、価格は未定。

RAVEN X RVX01

IN WIN

 IN WINは、側面や正面パネルに強化ガラスを採用する、ドレスアップ用途のPCケース新モデル「805」を展示した。

 これまでIN WINは、アルミフレームや強化ガラスを組み合わせたケースを多数登場させているが、805はどちらかと言うとオーソドックスなPCケースとなっている。ただ、前面と左右のパネルに強化ガラスを採用するとともに、フロントパネル内部にはハニカム状のデザインを施し、さらにLED照明を内蔵することで、ハニカムデザインやサイドのIN WINロゴが浮かび上がるようになっており、見た目は非常にゴージャスだ。もちろん、サイドがガラスパネルとなっていることで、内部がしっかり見渡せるため、内部の装飾に凝ったPCを自作したい場合に最適のケースと言えそうだ。発売時期や価格は現時点では未定とのことだが、夏以降に発売したいとしている。

805

 また、ASUS発表会でも展示された、自動開閉型フルタワーケース「H-TOWER」も展示。ASUS発表会で展示されたのは、R.O.G.ブランドオリジナル仕様で、IN WINから発売されることはなく、IN WINからはシルバーカラーのモデルが発売される予定とのこと。H-TOWERにはLED照明やケース開閉用モーター駆動用の電源を内蔵。また、Bluetoothも搭載し、スマートフォンやタブレットと連携、スマートフォンやタブレットからケースの開閉やLED照明のカラー変更が行なえる。

 ケースを開けた時は、閉じた時と比べてかなり大きくなるため、必要となる開閉スペースを示すレーザー照射装置まで内蔵しており、とにかく一般的なPCケースとは異なる、非常に独特な仕様が特徴となっている。現時点で価格は未定とのことだが、かなり高くなるという。発売時期は9月頃を予定しており、全世界で200~300台の販売を計画しているそうだ。

H-TOWER

(平澤 寿康)