Acer、米国で2画面ノートや5/7/10型Android 3.0タブレットなどを発表
~書籍、映画、音楽、アプリなどの配信サービスにも参入

発表会場はマンハッタンのSkylight Soho

11月23日(米国時間)発表



 台湾Acerは米国時間の23日、米国ニューヨーク州にてグローバルな製品発表会を開催。2つのタッチスクリーンを備えるノートPC「ICONIA」をはじめとする5機種のタッチ対応モバイル製品を発表した。

 なお、今回の発表は、製品あるいはサービスのコンセプト発表と言った趣が強く、製品の詳細な仕様については、今後の製品発表の場で随時明らかにされる予定。また、以下の製品、サービスが日本でも展開されるかどうかは未定となっている。

ジャンフランコ・ランチ氏

 発表会ではまず、同社社長兼最高経営責任者(CEO)であるジャンフランコ・ランチ氏が新製品の概要について語った。

 ランチ氏はまず、同社が現在世界第2位、ノートPCだけでは直前の四半期で1位に登りつめたことを紹介。そして、今回発表された製品は、いずれもモバイル分野の製品となる。ランチ氏は「ますます多様化するユーザーのニーズに応えるため、用途/シーンに応じたフォームファクタが必要であるという考え」を述べた。これは、同社に限らずこの業界で一致した考えだが、今回の発表会では、Acerとしての回答を具体的な製品として打ち出してきた。

 もう1つ特徴的なのは、「clear.fi」というコンテンツ管理プラットフォームや、コンテンツ配信プラットフォーム「alive」というソフトウェア、サービスを発表した点。これまで台湾メーカーは、ハードウェアの製造/開発は長けているものの、その上で動くソフトウェアについては、開発者不足などからあまり得意ではなかった。しかし、今回の発表はハードとソフトの両面を取りそろえたトータルソリューションとなっており、特にaliveは、実現すればAcerを第2のAppleたらしめる可能性を秘めており、今後の動向が注目される。

●14型デュアルタッチスクリーンノート「ICONIA」

 続いて、同社IT Global Operation担当社長のJim Wong氏が実際の製品を紹介した。今回の製品は「Touch Lineup」と紹介があった通り、いずれもタッチに対応したモバイル製品となる。

 1つ目は「ICONIA」という名前の2画面ノートPC。外見は14型のノートPCだが、ふたを開けると、キーボード面も液晶になっている。イメージとしては、7型液晶を2つ搭載する東芝の「libretto W100」を縦横2倍にした感じの製品だ。

 libretto W100同様、ICONIAも2画面ともタッチ対応になっている。ハードウェアキーボードは装備しないので、文字入力は、ソフトウェアキーボードを呼び出して、液晶上を打鍵することになる。

 ベースはWindows 7だが、快適な操作性を実現するため、いくつかの独自のユーザーインターフェイスが取り入れられている。まず、前述のソフトウェアキーボードについては、下側の画面上に打鍵するように両手を置くだけで現われる。

 もう1つ、各種コンテンツの視聴などを行なうため、タッチ操作に最適化された独自ソフトが搭載されるが、この呼び出しは「Acer Ring UI」と呼ばれる、独特のソフトウェアを通じて行なう。

 本製品のタッチセンサーは3本以上の指を認識可能で、Ring UIを呼びだすに当たっては、いずれかの手の5本の指で同時に下画面にタッチする。すると円形のソフトウェアランチャーが起動。ここから、指でなぞって、動画、写真、音楽の再生ユーティリティのほか、独自のWebブラウザを選び起動させる。動画や、写真、音楽については、サムネールや、再生/停止/頭出しなどのボタンは下画面に表示されており、上画面でフルスクリーン再生させながら、操作を行なうことができる。

 細かい点だが、Ring UIは、右手で呼びだすとリングの左側、左手で呼びだすと右側にアプリケーションのサムネールが並ぶようになっており、直感的でかつ使いやすさを考慮した作りとなっている。

 もちろん、下側の画面に各種ウインドウを表示させたり、2画面全部を使った表示などのほか、タッチによるジェスチャーでのアプリケーション起動などもできる。また、SDKを公開し、Ring UIに適合したソフトウェアをサードパーティが開発できるようにする。

 この製品は実機に触れることができたのだが、タッチの反応、画面の描画、写真などの回転や縮小など、かなりスムーズに動作している印象を受けた。

 現在判明している仕様は、プラットフォームが現行のCore iシリーズ(Calpella)、画面の解像度が1,600×900ドット×2画面、重量が約2.8kg、バッテリ駆動時間が約3時間。欧州では12月から発売予定で、価格は1,499ユーロ(約17万円)。

Jim Wong氏デュアルタッチスクリーンノートのICONIA文字入力は下側の液晶にソフトキーボードを呼びだして行なう
タッチに最適化された各種ユーティリティを呼びだすオリジナルランチャーのRing UI下画面に、Facebook、Twitter、Flicrといったソーシャルアプリを表示させることも可能写真や動画は、サムネール、操作ボタンを下画面に、上画面にはコンテンツをフルスクリーン表示できる

 もう1つ、Windows機として普段はタブレットとして使い、キーボードによる文字入力が必要な時は専用のキーボードに合体させてノートPCのように使うことができる「10.1型コンバーチブルタブレット」(仮称)が紹介された。

 主な仕様は、グラフィックス内蔵の次世代AMDデュアルコアプロセッサ、5指まで認識可能なタッチ対応1,280×800ドット10.1型液晶、Windows 7を搭載。発売は2011年2月の予定。

キーボードから取り外せるWindows 7搭載タブレット。この製品についてはほとんど詳細が明かされなかった

●Android機は3.0搭載を3機種

 Android端末として、5/7/10型の製品を2011年4月から投入する。こちらも、製品の細かな仕様は不明で、大々的に展示されていたのは10型の機種だけだが、いずれもOSにAndroid 3.0を搭載する予定となっている。

 10型の主な仕様は、Tegra 2と1,280×800ドット表示対応液晶を搭載。Tegra 2の搭載により、3Dゲーム、Flash 10.1によるフルHD動画再生、HDMIによる1080p出力などを特徴とする。また、前面と背面にカメラを装備する。

 7型は、Qualcommのデュアルコア(1.2GHz)プロセッサと、1,280×800ドット表示対応液晶を搭載。また、前面のほかに、背面に2基の500万画素カメラを装備し、3D写真/動画の撮影ができる。また、Dolby Mobile対応オーディオも搭載する。

 5型は、通話機能を搭載し、やや大きめのスマートフォンと言った体裁だが、これも同社はタブレットとして紹介している。スライドの表記が正しければ、480×1,024ドットという縦長の液晶を搭載する。

10型Androidタブレット7型Androidタブレット5型Androidタブレット

●コンテンツ配信サービスにも参入
ジャンピエロ・モルベーロ氏

 各種製品の発表に続き、Acer Groupのマーケティング&ブランド担当副社長のジャンピエロ・モルベーロ氏は、「alive」という名の、同社独自のコンテンツ配信サービスを開始することを発表した。

 aliveは、AppleでいうところのiTunes Storeであり、各種の有料/無料コンテンツを配信する。コンテンツの内容としては、音楽、Podcast、ラジオ、映画、TVドラマ、音楽PV、電子書籍/雑誌/新聞、ゲーム、アプリケーションなどがある。

 まずは12月にイギリスとイタリアで立ち上げる。当初の規模としては、音楽が800万曲以上、ハリウッド映画が2,000本、音楽PVが15,000本、電子書籍が数千冊となっている。

 2011年第2四半期までに、そのほかの欧州、アメリカ、アジア各国にも展開。対応クライアントも、Windows 7以外に、Androidタブレット向けにも用意する。

 aliveは、ユーザーが自分の嗜好にあったコンテンツにすぐにたどり着けるよう、購入履歴などをベースとした推奨コンテンツのリアルタイムフィード配信を特徴とする。これにより、ユーザーは自発的に検索を行なわなくても、好みのコンテンツに出会える。

 また、購入したコンテンツは、タブレットなどのほかのAcer製デバイスでも共有できるようになっている。

 aliveとは別に、5月に北京で行なわれた発表会でコンセプトが発表された、家庭内コンテンツ共有プラットフォームの「clear.fi」についても、再度紹介がなされた。

 clear.fiはDLNAをベースとした、家庭内のコンテンツ共有システム。clear.fiに対応した機器同士は、ローカルのデータと同じようにシームレスに相手の機器に保存された、各種コンテンツにアクセスできる。また、クロスプラットフォームとなっており、PCだけでなく、Android端末などとも相互にやりとりできる。

 データはストリーミング再生する以外に、別の機器に保存(Save to)させたり、別の機器上で再生(Play to)させたり、YouTubeやSNSなどにアップロード(Publish to)させることもできる。

 なお、ICONIAおよびAndroidタブレットについては、別記事にて写真で詳細に紹介する。

aliveの画面動画、音楽、書籍、アプリと幅広く取り扱う家庭内クラウドとも言うべきclear.fiも製品化が近づいた

(2010年 11月 24日)

[Reported by 若杉 紀彦]