IT/エレクトロニクスの総合展示会「CEATEC JAPAN 2010」が開幕
~各社の未発表PCやタブレットなどが展示

会場のホール1

会場:幕張メッセ
会期:10月5日~9日



 ITとエレクトロニクスの総合展示会である「CEATEC JAPAN 2010」が今年も幕張メッセで開幕した。会期は5日から9日までの5日間。ただし、5日は特別招待日で、一般の入場は6日から。事前登録を行なうと無料で入れる。

 大手メーカーによるPC系の展示は、CEATEC会場で発表といった新製品は特になく、また3D TVなどに比べるとやや扱いは小さいものの、東芝のように多数のデモ機を展示しているメーカーもある。また、直近に発表された各社の秋冬モデルも、さまざまな場所で実際に触れることができる。

●レグザとのPC連携などをアピールする東芝

 東芝ブースはおそらくPCの展示にもっとも力を入れていた。主立った新製品は自由に触れる形で多数用意されている。

 同社の秋冬モデルは基本的に、従来モデルからのマイナーチェンジだが、ソフトウェア面でいくつか、新しい機能が実装されているものがある。その1つが、「レグザリンク・ダビング」。これは、レグザで録画したTV番組をEthernet経由でPCを使い、SDカードかBlu-ray Disc(BD)にダビングするというもの。SDカードへはVGAクラスの画像にトランスコードされるが、各種モバイル機器などで、ワンセグのものよりは格段に高い画質で番組を楽しむことができる。

 また、ネットワーク上のBDレコーダーなどに録画された番組を、ネットワーク経由でPCを使ってTVに出力させる「TOSHIBA Media Controller」や、PCで再生しているYouTubeの動画をHDMI経由でTVに出力する「同Plug-in」のデモも行なわれている。後者のプラグインを使うと、YouTube再生時に表示されるアイコンをクリックすると、動画の部分だけがフルスクリーンでレグザに表示される。

東芝ブース壁一面のdynabookさらにその反対外にも展示機がずらり
これ以外にも展示機は多数あり、libretto W100もある妻子モデルは、レグザで録画した番組をPC上でSDカードやBDにダビングできるYouTubeをレグザに出力する機能も搭載

 同社が全く新しい取り組みとして、参考のデモを行なっていたのが「東芝プレイス」。クラウドベース新サービスと銘打っているが、基本機能はマンガを含む電子書籍や映画、ゲームなどのコンテンツ配信だ。

 2011年の春頃のサービス開始を目指しており、まだ完全に内容は決まっていないようだが、オンラインショッピング、ソーシャル系と思われるコミュニケーション機能なども予定。基本的には、同社製PCからのみアクセスできる。こういったコンテンツ配信は、すでに各社が先行しているが、東芝プレイスのメリットは、ワンストップでこれらのサービスを利用できる点にあるとしている。

コンテンツ配信などを行なう独自の新サービス「東芝プレイス」こういったわかりやすいUIでワンストップでさまざまなコンテンツにアクセスできるのがウリブース内シアターに展示されていたグラスレス3D PCの試作機。部分3D表示技術を搭載しており、裸眼で3Dによる動画視が可能

●各社のマシンに触れられるUQやDTSなどのパートナーブース

 実は今回のCEATECでは、メーカーのブースよりも、パートナー系のブースなどの方が、PCの展示が充実している。そんな場所の1つがUQコミュニケーションズのブースだ。ここでは、ソニー、東芝、パナソニック、富士通、NEC、レノボ、オンキヨー、エイサー、KOUZIRO、マウスコンピューターらのマシンが展示されている。

 これ以外に同社のブースでは、組み込み向けの採用事例が多数紹介されている。目立ったものとしては写真シール機や、大型タッチパネルを使って、商品の画像やお薦めなどを表示する最新のジュース自販機などがある。

 また、見逃しがちなのだが、ブースは2階建てになっており、2階に行くと、先だって予告されていた、WiMAX 2による300Mbpsの通信のデモを見ることができる。電波法の制限で、実際には基地局と端末の間は有線でつながっているが、WiMAX 2がくると、これだけのことが可能になると言うのを示すべく、16本のフルHD動画と1つの3D動画を同時にストリーミングで再生している。

UQコミュニケーションズのブースは各社のWiMAX搭載モバイルPCが一斉展示実際に品川駅に設置されている次世代自販機写真シール機にもWiMAXは採用されつつある
ブース2階にあるWiMAX 2の基地局(左)と端末(右)5台のハイエンドPCを使って、17本のフルHD動画をストリーミング再生しているその帯域は実効値で300Mbpsを達成

 IPTVフォーラムやブルーレイディスクアソシエーションなどが集まるコンテンツエクスペリエンスゾーンには、本家パナソニックブースには展示されてない、最新の「Let'snote J9」を含むLet'snoteシリーズとTOUGHBOOKシリーズが各種展示されている。

 また、日本エイサーも、「Aspire 1830」と「Aspire 3820」という未発表の製品をここに展示している。

 前者はPentium Dual-Coreと10.1型液晶、後者はCore i5と13.3型液晶を採用するのに加え、いずれもWiMAXに対応。同社では今後13型以下のモバイルPCには標準でWiMAXを搭載していくという。これら2機種は10月中の発表を予定している。

普段量販店などでは見られないTOUGHBOOK各種Let'snote J9
Aspire 1830Aspire 3820

 DTSのブースでも、オンキヨーと富士通の最新のエンターテイメント向けPCに触れることができる。DTSというと、映画や、ホームシアター向けアンプでこそ定評があるものの、PCと絡んで紹介されることはこれまでほとんどなかった。だが同社は今、PC向けの技術開発とライセンス供与を積極的に展開している。まだこの事業は立ち上がり始めたばかりなのだが、「DTS Premium Suite」という最上位の規格を採用しているのは、現時点でオンキヨーの液晶一体型「E713シリーズ」1機種のみということもあり、日本でのマーケティングに力が入っているようだ。

 DTS Premium Suiteには、ロスレスオーディオデコーダの「DTS-HD Master Audio」、PCをホームシアターに接続する「DTS Connect」、2chスピーカーやヘッドフォンでサラウンドを実現する「DTS Surround Sensation UltraPC」、各種コンテンツの音量を自動で均一化する「DTS Symmetry」、PCの音声出力を最大限に拡大する「DTS Boost」が含まれる。

 DTS Surround Sensation UltraPCは、ソースが5.1chなどマルチチャネルの場合、それを元にサラウンド化を行なうので、2chソースを強制的にサラウンド化するのに比べ、よりリアルな再現が可能となる。

 DTS Boostを使うと、PCの最大限の音量以上で音声を鳴らせるようになる。CEATEC会場は各社のデモやステージの音声など、騒音がかなりある。そんな状況で、ノートPCから音声を鳴らしても、なかなか聞こえないのだが、この機能を使うと音量が数段階上がって、確実に聞こえるようになる。

 こういった拡張的機能はキャッチーでわかりやすいが、同社が基本理念として力を入れているのは音質の向上だ。PCメーカーにライセンス供与するにあたっても、製品毎に最適なチューニングを行なうなど、高品位な音声出力を目指し、共同開発を行なっている。

 また今後は、出る音だけでなく、入る音についても高音質化を、ということで、ボイスチャット向けのノイズキャンセリング系の技術も開発中で、近い将来発表を行なう予定だという。

DTS Premium Suiteに準拠する世界初のPC「オンキヨーE713」オーディオの設定にこのようにDTSの設定画面がある富士通もこの秋冬モデルから、DTSの一部機能を採用し始めた

●3D VAIOを展示するソニー

 ソニーは3D TVを前面に押し出しているが、それに並んで、IFAで参考展示した3D立体視対応VAIOも展示している。日本での展示もIFAのものと同じで、参考出品扱いでこのままの形で製品化されるかは未定。発売時期は2011年春を予定している。

 既存の他社製品との違いは、120Hzではなく240Hzのパネルを採用する点。アクティブシャッター式だがメガネも同社専用のものを使う。240Hzの4倍速駆動により、残像感やちらつきの少ない映像を実現できるとしている。また、2D-3D変換や、3D対応TVへの出力にも対応する。

 このほか、ソニーではないのだが、同社が主体となって規格化した無線通信技術「TransferJet」のブースには、先日発表された太陽誘電のHalf-Mini Cardモジュールのほか、東芝のSDカードなどが展示された。

 ソニーのTransferJet対応「サイバーショット」は、本体にはこの機能がなく、メモリースティックに実装している。詳しい説明は聞くことができなかったのだが、SDカードでTransferJet対応品の公開はこれが初と思われる。

3D立体視対応VAIOの試作機メガネはソニー独自のもの
東芝のTransferJet対応SDXC太陽誘電のTransferJetモジュールと、それを使ったSDIO

●タブレット端末

 タブレットに関してはPCに近いスタンスのものはほとんど見かけなかったので、目立ったものを簡単に紹介する。

 もっとも注目を集めていた製品の1つが、NTTドコモのタブレット型スマートフォン「GALAXY Tab」。Samsungが開発した7型の端末。解像度は600×1,024ドット、OSはAndroid 2.2を採用。本体サイズは約191×121×12.1mm(幅×奥行き×高さ)とiPadより1周り小さく、重量は約382gと半分近い。通信機能は、HSDPA、W-CDMA、GSM、IEEE 802.11a/b/g/n無線LAN、Bluetooth 3.0+HSに対応する。

 手でもって電話するには、やや無理がある大きさだが、基本的にはスマートフォンで、通話もできる。また、他のAndroid機同様、Androidマーケットでアプリを購入できる。

 東芝はIFAで発表したAndroidタブレットを同社ブースで参考展示している。ユーザーが自由に触れるようになっており、デモ機にはマンガなど日本のコンテンツが用意されているのだが、この製品を日本で発売する予定はないという。代わりに、2011年以降に投入予定の2世代目の製品から国内展開を開始する予定とのこと。

 これらタブレットとはちょっと異なるが、シャープは電子書籍端末「GALAPAGOS」をAQUOSシリーズ以上に大々的に展示している。

NTTドコモのGALAXY Tab東芝が参考展示したAndroidタブレットGALAPAGOS端末5.5型
同10.8型富士通が参考展示したWindowsタブレット機のモックアップ2つ

●周辺機器系

 最後に周辺機器系の展示を紹介する。

 日立は、第2世代の光学ドライブ(ODD)とSSDのハイブリッドドライブを展示。これは、一言で言うと、ODDの空いたスペースにSSDの基板を入れて、1台2役としたもの。6月に行なわれたCOMPUTEXで展示された第1世代は、本体の背面からODDとSSDの2つのSATAポートが出ていて、通常のノートPCには装着できない強引な仕様となっていた。

 今回展示された第2世代では、1つのSATAポートのみを実装し、内部でポートマルチプライヤを設け、ODDとSSDにそれぞれつないでいる。現時点でSSDの容量は8GB~128GB。8GBのモデルでは、ストレージではなくODDのキャッシュとして使うことが想定されている。ただし、出荷は2011年後半となるため、その頃にはSSDの容量は、より大きくなる見込み。

第2世代のハイブリッドドライブ。上側に見えるのがSSDの基板。SATAコネクタは左上に1つあるだけ第1世代ではこのようにコネクタが2個あり、ノートPCでは使えなかった

 もう1つハイブリッド系ストレージとして、NASとBDのコンボ製品も参考展示していた。これは、通常のHDD NASとしての機能に加え、使用頻度の低いファイルを自動的にBDが8枚入ったマガジンへ待避させる機能を持つ。メディアは128GBのBDXLを使うので、1マガジンの容量は1TBとなる。

 マガジンがいっぱいになると、取り出して保管し、新しいものを挿入する。どのファイルがどのマガジンに保存されたかは、ソフトウェアで記録される。また、マガジンにはRFIDが埋め込まれているので、順不同で並べて保管しておいても、マガジンからファイルが必要になったときは、RFIDリーダ付きの端末を使って、容易に探し当てることができる。

 このほか、電子書籍端末やタブレット向けとして6.6型で1,600×1,200ドットの解像度をもつIPS液晶なども展示している。

アーカイブ機能を持つBDとHDDの混成NASマガジンにはこのようにBDXLが8枚入る6.6型でUXGAの液晶

 三菱電機は、液晶ディスプレイの新製品を1機種参考展示した。こちらは写真撮影は許可されなかったのだが、120Hzの倍速補完機能を搭載した「Diamondcrysta WIDE RDT232WM-Z(BK)」の上位モデルとなる23型製品。こちらも120Hzの倍速補完機能を搭載するが、異なる点は既存製品がTNパネルなのに対し、新製品はIPSパネルを採用する。なお、3D Visionのような3Dには対応しない。

(2010年 10月 6日)

[Reported by 若杉 紀彦]