イベントレポート
Lenovo、第2世代Moto360、YOGA Tab 3 ProやPC新製品を多数発表
(2015/9/3 16:41)
Lenovoは、9月4日(ドイツ時間)よりドイツ共和国ベルリン市のベルリンメッセで開催されるデジタル家電の展示会IFAに先立って、ベルリン市内で記者会見を開催した。Lenovoは毎年、1月に米国・ラスベガスで行なわれるCESと、9月にベルリンで行なわれるIFAをグローバル向け新製品発表のタイミングとしている。今年もその例外ではなく、年末商戦に向けた製品が多数発表された。
PC関連では「ThinkPad YOGA」の最新モデル、Surface 3に対抗するような「ideapad MIIX 700」、ゲーミングPCなどが発表された。また、同時にLenovoブランドのスマートフォン最新製品や、2014年Googleより買収したMotorola Mobilityが米国などで販売していたスマートウォッチとなるMoto 360の第2世代製品などが発表された。Moto 360はより小型のサイズが用意されて2サイズとなり、よりスタイリッシュなデザインに変更されるなどして注目を集めている。
2015年年末商戦向けの新製品が多数発表される、PCゲーミングとモバイルに焦点があたる
今回Lenovoは、記者会見に先立ち多数の新製品をリリースした。そのラインナップは実に多岐に渡っており、ThinkPadやThinkCentreに代表されるようなビジネス向けPC(記事はこちらとこちら)、Surface 3に競合するようなデザインを採用したキックスタンドを備えた2-in-1デバイスのMIIX 700などのコンシューマ向けPC(記事はこちらとこちら)などが発表された。
記者会見では、同社社長 兼 COOのジャンフランコ・ネンチ氏、PCのビジネスを統括するLenovo 副社長 兼 PC製品事業本部 事業本部長のディリップ・バティア氏などが登壇し、同社のゲーミングPCへの取り組み、ThinkおよびIdeaシリーズの最新製品などを紹介した。
加えて、スマートフォン、タブレットやスマートウォッチなどの、いわゆるスマートデバイスも発表した。Lenovo モバイルビジネス事業部 ジェフリー・メルディッチ氏は同社の新しいファブレットのブランドとして「PHAB(ファブ)」を発表し、6型のディスプレイを持つ最初の製品として「PHAB PLUS」を発表した。
PHAB PLUSは、サイズ的にはソニーモバイルコミュニケーションズが以前販売していた「Xperia Z Ultra」に近いサイズで、スマートフォンの機能を持ちながらタブレットサイズのディスプレイを持つ製品になる。
また、もう1つのYOGA Tab 3 Proは、円筒型のバッテリをうまく利用した回転型ヒンジを採用したタブレット。ほかのタブレットとデザイン的に差別化し、世界的にヒット製品となった「YOGA Tablet」の第3世代に当たる。
第2世代では13型の「YOGA Tablet 2 Pro」にプロジェクタが搭載されていたが、第3世代のYOGA Tab 3 Proでは、10型のディスプレイ(2,560×1,600ドット)に変更されており、プロジェクタの搭載位置も円筒形バッテリの3分の1辺りの場所に移動され、回転するヒンジをうまく利用して角度を変えられるユニークな形状に変更された。なお、プロジェクタを搭載していないバージョンとして8型と10型のYOGA Tab 3も同時に発表された。
2サイズとGPS内蔵のSportが追加された第2世代Moto 360、技適マークもある
最後に、スマートフォンとスマートウォッチが紹介された。LenovoはGoogleからのMotorola Mobilityの買収を既に終えており、従来は中国ベースのLenovoブランドのスマートフォンを作る部門、米国ベースのMotorola Mobilityと分離していたスマートフォンの事業部を統合した。そのイニチアシブを握っているのは、米国のMotorola Mobilityの出身者で、現在Lenovoのスマートフォン事業部はMotorola Mobilityにより運営されていると言い換えても過言ではない。
そのMotorola Mobility出身の幹部としてスマートフォンを紹介したのが、Lenovo スマートフォン&ウェアラブル製品管理担当の小寺康司氏。小寺氏はMotorola Mobilityに加入する2013年まで、台湾のHTCでCPO(最高製品責任者)を努め、それ以前はソニーエリクソンの製品担当という経歴を持っている。つまりハイエンドなスマートフォンのビジネスをよく知る一人で、氏がLenovoに加わったというのはLenovoにとっては良いニュースだろう。
小寺氏は新しいスマートフォンとして、中国のLenovoが開発した「VIBE S1」、「VIBE P1」、派生製品となる「VIBE P1m」を紹介した。VIBE S1は、自撮り用のカメラが2つになっており、深度の記録をデータとして残すせる。このため、撮影した後で、ソフトウェアでフォーカスの場所を変えられる。一方VIBE P1/P1mは、5,000mAh(P1)、4,000mAh(P1m)のバッテリを搭載したスマートフォンで、長時間バッテリ駆動を実現した。
いずれの製品も、基本的には中国や東南アジアなどの成長市場向けの製品となる。以前のLenovo アジアパシフィック地域担当プレジデントのロードリック・ラピン氏へのインタビューで、日本などの成熟市場ではMotorolaブランドのMoto Xの投入を示唆していることなどから、国内で販売される可能性は低そうだ。
また小寺氏は、Motorola Mobilityが米国などの一部地域で販売していた、円形ディスプレイが特徴のスマートウォッチMoto 360の第2世代製品を発表した。第2世代Moto 360は、従来サイズ(直径46mm)の製品に加えて、一回り小さいサイズ(直径42mm)が用意され、女性など小柄な人にもフィットするようになった。
また第1世代のMoto 360は、バンド交換はかなり分解しないと交換できないようになっていたのに対して、第2世代ではロックを外すだけで簡単に交換できるようになっている。さらに、GPSを内蔵したスポーツ用モデルも用意されるなど、従来のモデルに比べてラインナップが増えたこと。Moto360.comという直販サイトで、カスタマイズして購入することも可能で、ファッション性が要求される時計のニーズにうまく応えようとしているのも特徴と言える。
小寺氏によれば、第2世代Moto 360は米国で既に販売が開始されており、それ以外の地域は10月から販売開始とのこと。予約価格は299.99米ドルからとなっている。日本で販売されるかどうかだが、日本法人のレノボ・ジャパンによれば未定とのことだ。
ただ、実機を確認したところ、ダミー番号ではあるものの、日本の電波法で求められている技術基準適合証明等のマーク(技適マーク)が表示された。初代のMoto 360は技適マークがあったのにもかかわらず販売されなかったので、本機も日本で販売される可能性があるとは言えないが、少なくとも技適マークを取るべくアクションがされているとは考えることができる。ぜひとも日本でも販売してほしいものだ。