【HP GPC 2012レポート】
Xeon + Quadro搭載27型液晶一体型ワークステーション「Z1」
〜ボンネットのように開けられる構造で高性能とメンテナンス性を実現

Z1

会期:2月13日〜15日(現地時間)
会場:米国ラスベガスARIA Hotel & Casino
          Vdara Hotel & Spa



 米Hewlett-Packard(HP)は、GPCの2日目となる14日(現地時間)に、同社初の液晶一体型ワークステーション「Z1」を発表した。

 GPC 2日目のスケジュールは、まず最初に午前8時からジェネラルセッションがあり、この中でZ1が発表された。その後、報道関係者に対して、NVIDIAやAutodeskなど開発パートナーによるものを含む小説明会が複数、夕方近くまで行なわれるなど、同社のZ1に対する強い意気込みを感じられるものとなった。

 ジェネラルセッションでは、PC関連を統括するPSG(Personal Systems Group)部門を率いるTodd Bradley上級副社長のプレゼンテーションの中で、副社長兼ジェネラルマネージャのJim Zafarana氏と、副社長のJeff Wood氏がステージ上でZ1を披露した。

 まず、Zafarana氏は2009年に発売された初代Zシリーズであるデスクトップワークステーション「Z800」を抱えて舞台袖から登場。Bradley氏とともに、アルミ製の側板による高級感とソリッド感や、電源やドライブなどがツールレスで取り外せるモジュール構造である点、熱源を遮ってエアフローを制御する内部カバーなどの仕組みを、懐かしがりながら紹介した。

 続いて、同じようにWood氏がZ800をもう1台抱えて登場したのだが、こちらの側板を開けると、中からは2011年に発売された小型デスクトップの「Z210」が出てくるという演出で会場を沸かせた。

 そして、その設置性により優れるワークステーションに対する需要への回答として、Zafarana氏とWood氏は、「Power without the tower」(タワーケースを必要としない高性能)と書かれたタワーケースの模型を持ち上げ、その中から液晶一体型のZ1を登場させた。

Todd Bradley氏 Z800を担いで登場するJim Zafarana氏 アルミ製の側板を開けたところ。ちなみに側板の内側にはモジュールのメンテナンス方法が記されている
電源ユニットなども簡単に取り外せる CPU部のエアフローカバーを外したところ Jeff Wood氏もZ800を持って登場
しかし、側板を開けると、中からZ210が登場した タワーケースの模型の中からZ1が登場

 Z1の特徴の1つは、通常の27型液晶ディスプレイとさして違わないサイズの中に、XeonとQuadroを搭載させた点。製品開発にあたり、同社が顧客調査を行なった際、液晶一体型と言うだけで、性能や拡張性への懸念から全く興味を持たれないことも少なくなかったというが、本製品ではタワー型に勝るとも劣らない性能を実現している。

 もう1つの特徴が、独特の本体構造で、まずスタンドはディスプレイ部分を全に水平になるまで傾けることができる。その上で、液晶下部にある2つのラッチを押すと、車のボンネットのように液晶パネルが開き、内部に簡単にアクセスできる。そして、閉める際には、残り10cmくらいまでは支えることなくすっと閉まるが、そこからはアームによってトルクがかかり、ゆっくりと閉まるので、不意に手を挟まれたりすることがない安全設計となっている。なお、通常使用時スタンドは、10cmの高さ調整と、前後35度の角度調整ができる。ピボット回転には対応しない。

ディスプレイをこのように水平にできる。ちなみに、この状態でスタンドはロックがかかりしっかり固定される ディスプレイ下部のラッチを押すと、ディスプレイが垂直まで開く
閉じる時は、残り10cmくらいまではほぼ無抵抗で閉まるが、 残りはゆっくりと閉まる

【動画】Z1を閉めるところ

 ZシリーズのDNAを受け継いだことを強調する本製品は、内部が徹底的にモジュール化されており、工具を使わずに、電源ユニット、ビデオカード、ストレージ、光学ドライブ、メモリ、ファンなどを取り外すことができる。

 おもしろいのがビデオカードで、ぱっと見はPCI Expressのデスクトップ用ビデオカードに見えるのだが、GPU基板はMXM(PCI Express x16接続)となっており、GPUはモバイル版が使われているのだ。残りの大部分はヒートシンクとファンで構成されている。

 Quadroを積んでいることからも分かる通り、本製品はグラフィックスワークステーションが主な用途となり、映像制作の現場で用いられることを想定し、6基あるファン(電源用とCPU用が2個ずつで、後はメモリ用とGPU用)は、低回転のものを採用し、加えて9個の温度センサーを使って制御することで、静音化を実現している。さらに、通常、液晶一体型ではスペースの問題で下向きに設置されるところを、前向きにデュアルコーンのステレオスピーカーを設置。また、SRSプレミアムサウンドにも対応するほか、S/PIDFやサブウーファー出力も備えるなど、音響品質にもこだわった。

 ディスプレイは27型2,560×1,440ドット表示対応のIPSパネルで、最大約10億色(各色10bit)の表示が可能。DisplayPortの入出力を備え、セカンダリディスプレイを繋いだり、他のPCの外部ディスプレイとしても利用可能。ちなみに、出力時はDisplayPort→DVIの変換アダプタを用いることで、3D Visionディスプレイへの3D出力ができる。なお、同社のプロ向けディスプレイ「DreamColor」のようなカラーマネジメントやキャリブレーション機能は搭載しない。タッチについては、今後のモデルで検討するという。

 ストレージは、専用のケージを使って、3.5インチ×1か2.5インチ×2を搭載可能。光学ドライブはスロットローディング式のDVDかBDドライブを搭載できる。

本体内部 ビデオカードもラッチを押すだけで簡単に取り外せる 外見はデスクトップ用のようだが、中の大部分は冷却機構で、GPUはMXMになっている
ストレージは専用ケージに3.5インチ×1か2.5インチ×2を搭載可能 メモリなどを冷やすファン 右上の光学ドライブもワンタッチで外れる
デュアルコーンのスピーカーが前面を向いて内蔵されている 内部のUSBポートに無線キーボードのレシーバなどを接続できる スムーズで安全な開閉のため、アームとヒンジは時間をかけて開発した

 仕様はBTOに対応し、CPUはCore i3-2120(3.3GHz)、Xeon E3-1245(3.3GHz)、Xeon E3-1280(3.5GHz)を選択できる。なお、Core i3-2120とXeon E3-1245はビデオ機能を内蔵しており、単体GPUを搭載しない構成も選択できる。チップセットはIntel C206。

 GPUは、Quadro 500M/1000M/3000M/4000Mを選択可能。SP数は順に96/96/256/320基。いずれも、DirectX 11、OpenGL 4.1に対応する。前述の通り、専用の形式となっているので、市販品と取り替えることはできない。

 メモリはECC DDR3を最大32GB、ストレージは、250GB/500GB/1TB/2TB 3.5インチHDD(7,200rpm)、300/600GB 3.5インチHDD(10,000rpm)、160/320GB 2.5インチSSD、OSはWindows 7/HP Linux Installer Kit/SUSE Linux Enterprise Desktop 11/Red Hat Enterprise Linux Desktop/Workstationを選択できる。

 インターフェイスは、USB 3.0×2、USB 2.0×4、Gigabit Ethernet、IEEE 1394、6-in-1カードスロット、IEEE 802.11a/b/g/n無線LAN、Bluetooth 3.0+HS、200万画素Webカメラ、音声入出力などを装備。

 本体サイズは660.4×419.1×584.2mm(幅×奥行き×高さ)。電源は400W。

 グローバルでの出荷は4月で、最小構成の価格は1,899ドル。

本体背面はアルミ製でZ800のデザインを再現している 右側面下部にUSB 3.0、IEEE 1394、カードリーダなど その上にスロットローディングの光学ドライブと電源ボタン
左側面には特にインターフェイスは無い DisplayPort→DVI変換アダプタを使って3D Vision出力も可能 利用イメージ

(2012年 2月 16日)

[Reported by 若杉 紀彦]