【HP GPC 2012レポート】
AMDとVIAのデュアルコアCPU搭載シンクライアントを発表

会期:2月13日~15日(現地時間)
会場:米国ラスベガスARIA Hotel & Casino
          Vdara Hotel & Spa



 米Hewlett-Packard(HP)は、2月13日~15日(現地時間)の日程で「Global Partner Conference 2012」および報道向け製品発表会を米ラスベガスで開催した。

 GPCは、その名が示す通り、販売代理店など同社のパートナーに向けたイベントで、同社の最新製品や、戦略、販売事例などを紹介する。グローバルでは2年ごとに開催されており、数千人のパートナーが一堂に会する。また、イベント名には示されていないが、主にサーバーやストレージ関連の企業向け製品に限定されている。

 今回はこのイベントに合わせて、製品発表会も開催され、世界各地から300人ほどの報道関係者が参加している。

 初日となる13日には、ハイエンドシンクライアントの新製品が発表された。このほか、2日目にはこれまでにないフォームファクタのワークステーションの発表、3日目には2011年9月に社長兼最高経営責任者に就任したメグ・ホイットマン氏の基調講演などが予定されている。

 なお、ここで発表される製品は基本的にグローバル市場向けだが、基本的に日本での発売時期などは未定。

●デュアルコアCPU搭載ハイエンドシンクライアント

 今回発表されたシンクライアントは「Flexibleシリーズ」という新しいカテゴリブランドに属する「t610」と「t510」で、いずれもデュアルコアCPUを搭載し、セキュリティや管理性を向上させるなど、ハイエンドなものとなっている。

 t610とt510はそれぞれt5700シリーズ、t5500シリーズの後継となるもので、t610はAtomからFusion APUに、t510はNanoからEdenへと基本プラットフォームが変更された。これにより、ローカルでの基本処理性能と動画再生などのメディア処理能力が向上した。今回Intel製CPUの採用が見送られた点について同社では、現時点での性能と価格のバランスを最大限考慮した結果としている。

 これまでも同社はシンクライアント向けに独自の管理ツールなどを提供してきたが、今回新たに、Windows Embedded Device Manager用のイメージングプラグインが用意され、MicrosoftのSystem Center Configuration Managerを利用して、Windows PCと同じように統合された環境で、Windows Embedded搭載機の一括管理ができるようになった。

 また、独自の「Smart Zero Technology」に対応し、ローカルにOSも搭載せず、サーバー経由でのOS起動も可能となっている。

 加えてt610は、NIST(National Institute of Standards and Technology:アメリカ国立標準技術研究所)の推奨するセキュリティに準拠したBIOSとTPMを搭載し、BIOSレベルでセキュリティを強化している。

Flexibleシリーズが新投入され、シンクライアントのカテゴリはこのようになるt610の既存モデルとの性能比較t510の既存モデルとの性能比較
オプションで4画面構成まで対応するが、特別に6画面構成で、4画面に動画を表示させてもCPU負荷が100%に至らない点をアピールした独自の管理ツールを提供t610はNIST準拠のセキュアBIOSを搭載

 t610の主な仕様は、CPUがAMD T56N(1.65GHz、ビデオ機能内蔵)、メモリ2GB(最大4GB)を搭載。システムストレージ容量は搭載OSによって代わり、Windows Embedded Standard 7は4GB、同2009は2GB、ThinProおよびSmart Zero Client Serviceの場合は1GB。対応サーバーOSは、Citrix XenApp 5/6、同XenDesktop 3/4、同Presentation Server 4.0、Windows Server 2008 Terminal Services、Windows 2000/2003 ServerとServer Terminal Services、VMWare Virtual Desktop Infrastructure。

 インターフェイスは、USB 2.0×4、USB 3.0×2、DVI-I、DisplayPort、PS/2×2、シリアルポート、Gigabit Ethernet。PCI Express ハーフミニカードで、IEEE 802.11a/b/g/n無線LANも追加可能。t610 PLUSという、PCI Expressの拡張スロットを搭載する大型筐体モデルもあり、こちらはシリアルポートとパラレルポートが1つずつ増える。

 本体サイズと重量は、t610が40×220×240mm(幅×奥行き×高さ)/1.49kg、t610 PLUSが65×220×240mm(同)/1.98kg(いずれもスタンド含まず)。

 t510は、CPUがVIA Eden X2 4300(1GHz)、VX900チップセット(ビデオ機能内蔵)、メモリ2GBを搭載。システムストレージはt610同様、1/2/4GBで、対応サーバーOSも共通。

 インターフェイスは、USB 2.0×6、シリアルポート、パラレルポート、PS/2×2、DVI-I、DVI-D、Gigabit Ethernetを搭載。PCI Express ハーフミニカードで、IEEE 802.11a/b/g/n無線LANも追加可能。

 本体サイズは58.4×215×209mm(同)、重量は1.45kg。

 価格はt610が399ドルから、t510が259ドルからで、4月より世界各地で出荷開始される。

左からt610 PLUS、t610、t510その背面

(2012年 2月 15日)

[Reported by 若杉 紀彦]