イベントレポート
Baikal ElectronicsのハイエンドARMプロセッサ、2018年に登場
~高性能Androidデスクトップも目論む
2017年6月2日 00:00
以前記事で紹介したロシアの半導体企業、Baikal ElectronicsもCOMPUTEX TAIPEIにブースを出展し、商談を受け付けている(記事:ロシア発の低電力CPU開発企業、Baikal Electronics)。担当者に話を尋ねたところ、ARMコアを採用したハイエンドプロセッサ「Baikal-M」を紹介していただけたのでご紹介したい。
以前記事でご紹介したときは、2015年に開発されたMIPSアーキテクチャの「Baikal-T」の話が中心であり、Baikal-Mについてはロードマップに存在するだけで、詳細は明らかにされていなかった。今回のCOMPUTEXでBaikal-Mの仕様が明らかになった。
まず、CPUコアには64bitに対応したCortex-A57を8基搭載する。ARMのマルチコアはbig.LITLLE構成が多い中、本製品はすべてビッグコアだ。2つのコアで共有するL2キャッシュ(1MB)と1つのクラスタを形成し、合計4基のクラスタが共有の8MBのL3キャッシュおよびインターコネクトに接続されている。CPUの動作クロックは最大で2GHzに達する。GPUにはMali-T628 MP8を採用。メモリはDDR3/4対応で、2チャネルとなっている。
特筆すべきは非常に強力なインターフェイス群だ。10 Gigabit Ethernetのネットワークコントローラの論理層と物理層を2つ、Gigabit Ethernetの論理層を2つ備えているのをはじめ、2基のSATA 6Gbpsコントローラ、4レーン×2+8レーンのPCI Expressコントローラ、USB 3.0×2、USB 2.0×4といった、x86 SoC顔負けのインターフェイスを取り揃えている。
製造はTSMCの28HPCプロセスを通じて行なわれ、駆動温度は0~70℃。TDPは30Wで、基本的にファンによる空冷環境下で動作する。ARMのプロセッサは通常、モバイルデバイスでの利用を想定しているのだが、Baikal-MはデスクトップPCでの利用を想定しているとのことだった。
サーバーにも利用できそうなプロセッサだが、本製品は主にハイエンドなLinux/AndroidデスクトップPCでの利用をターゲットにしているのだという。確かに、本製品の仕様からするにデスクトップアプリケーションを走らせるには十分な性能を備えていそうだ。2018年はロシアのPC製品からも目が離せない。