やじうまPC Watch

ロシア発の低電力CPU開発企業、Baikal Electronics

Baikal-T1

 近年、中国ではCPUを開発する企業が雨後の筍のように出てきているが、実はロシアにもあまり知られていない新興企業が多い。Baikal Electronicsも、2012年に発足したばかりのCPU開発企業だ。日本語の情報が少ないので、記録として残しておこう。

 同社が開発したCPUの第1弾は、2015年に登場した「Baikal-T1」プロセッサだ。当時、世界で初めてImaginationのMIPS Warrior P5600コアを採用する製品となった。MIPS 32 r5準拠のカーネルを2つ内蔵し、駆動周波数は1.2GHz。28nmで製造され、5W以下という低消費電力で駆動するのが特徴。

 また、1MBのL2キャッシュ、DDR3-1600/ECC対応のメモリコントローラ、1ポートの10Gigabit Ethernet、2ポートのGigabit Ethernet、そしてPCI Express 3.0対応のコントローラ、2ポートのUSB 3.0、USB 2.0なども集積する。

 特徴は、いずれのインターフェイスからもDMAチャネル経由でRAMに高速/低遅延でアクセスできる点。このためブロードバンドルータをはじめとするネットワークシステムに好適としている。

 同社は2016年1月にロードマップを更新し、新たに「Baikal-M」と呼ばれる、デスクトップPC/組込みシステム/工場自動化向けの高性能ARMプロセッサを、2016年下半期にエンジニアリングサンプル提供すると発表した。ARMv8-A準拠のコアを8コア内蔵し、NEON SIMDコプロセッサ、および8コアのMali-T628 GPUを内蔵するとしている。

 2016年末には、「Baikal-MS」と呼ばれるネットワーク通信向けプロセッサのエンジニアリングサンプルを提供。こちらも8コアのARMv8-Aコアを内蔵するが、10Gigabit Ethernetを2ポート内包するという。この2製品はともに28nmプロセスで製造される見込み。

 そして来る2017年末には、サーバー向けの「Baikal-S」と呼ばれる、ARMv8-Aコアを32コアとハードウェアマネジメントコンソール集積した高性能プロセッサを投入。新たに16nmプロセスを採用し、TDPは50W以下に抑えるとしている。

 ちなみにARMv8-Aコアとしているが、Cortex-A57を根幹とした設計となるようだ。今のところ同社のホームページには、Baikal-T1プロセッサの写真しかなく、Baikal-M/MS/Sの商品化はまだのようである。