イベントレポート
Intel、世界初のグローバル周波数対応5Gモデム
~RFICは今年前半、モデムは今年後半にサンプル出荷
2017年1月4日 23:45
Intelは、CES 2017の記者会見期間の1月4日に、同社が開発してきた5G(第5世代携帯電話)向けのモデムソリューションを発表した。
同社が発表した5GモデムとRFIC(高周波集積回路、無線信号を処理するチップのこと)は、5Gモデムとしては初めてグローバルで利用できる帯域をサポートしており、OEMメーカーはこれによって世界中で5Gの実証実験ができるとアピールしている。
2018年の平昌オリンピック、2020年の東京オリンピックに向けて開発が進む5G
Intelは昨年(2016年)のMWC 2016において、5Gの開発プラットフォームの提供を発表し、既に通信キャリアや機器ベンダーといったパートナーとの開発を進めている。
5Gは、現在のLTEの延長線上にある無線通信の規格で、今は3GPPなどの業界団体で仕様の策定が進められている。5Gの最大の特徴は、4Gに比べてレイテンシ(遅延)が減ることと、帯域幅の増加が期待できることだ。
5Gでは現在の4Gなどに利用されている5GHz以下の帯域に加えて、28GHzなどのミリ波と呼ばれる高周波数帯がサポートされ、5Gbpsを越える通信速度が可能になる。
さらに複数の帯域を利用すれば、トータルで実現できる帯域幅が4G世代に比べて大幅に増大。それにより、通信キャリアがパケット料金を下げたり、容量制限を緩和したりといった可能性が考えられるため、エンドユーザーにとってのメリットは小さくない。
現在通信業界は、業界を挙げて5Gの開発に取り組んでおり、2018年に韓国で行なわれる平昌オリンピックでのデモ、そして2020年の東京オリンピックでの商用サービスを目指し、インフラ側や機器側の開発が進められている。
今回Intelが発表したグローバル対応5Gモデムもそうした流れの一環で、昨年(2016年)Intelが提供した5G開発プラットフォームでは、RFICでミリ波と一部の6GHz以下の周波数だけがサポートされていたのに対して、今回発表された製品では、グローバルに各国で利用される6GHz以下の周波数をサポートするRFICが提供される。
Intelによれば、グローバルに5Gで利用される周波数をサポートできるようになった5Gモデムは世界初とのこと。これにより、IntelのOEMメーカーは世界各国の周波数帯に合わせた5G対応製品を開発することができる。
新しい5GモデムのGold Bridgeと6GHz以下のRFICのMonumental Summitの提供を今年開始
新しい5Gモデムソリューションは、開発コードネーム「Gold Bridge(ゴールドブリッジ)」と呼ばれるモデムチップ、ミリ波(28GHz)対応のRFICとなる「Segula Peak(セギュラピーク)」、そして新しく追加される6GHz以下の周波数に対応するRFIC「Monumental Summit(モニュメンタルサミット)」から構成されている。Segula Peakは、昨年のMWCで発表され、既にIntelがパートナーに提供している5G開発キットでも利用されていたRFICで、今回新たにGold BridgeとMonumental Summitが追加されたことで、ミリ波と6GHz以下の両方の帯域に対応できるようになった。
さらに、4G/3Gとの下位互換性が必要な場合には、同社のLTEモデム「XMM7360」などをシステムに追加すればいい。ただ、その場合はチップ数が増えることになるので、現状のソリューションは開発やプラットフォーム向けになるだろう。
6GHz以下に対応したRFICのMonumental Summitは今年(2017年)の前半にサンプル出荷が始まり、Gold Bridgeは今年後半にサンプル出荷が開始される。その後さほど遠くない時期に製品版の出荷が行なわれる予定のようだ。