イベントレポート
欧州最大の半導体国際学会「ESSDERC/ESSCIRC」レポート
2016年9月20日 12:20
欧州最大の半導体国際学会「ESSDERC/ESSCIRC」が、9月12日~15日にスイスのローザンヌで開催された。「ESSDERC (European Solid State Device Research Conference)」は半導体デバイスの研究開発成果を発表する国際学会で、今年で第46回となる。「ESSCIRC (European Solid State Circuits Conference)」は半導体回路の研究開発成果を発表する国際学会で、今年で第42回となる。
両者は、当初は別々に開催されていたが、最近では統合し、一体化して運営、開催されている。9月12日がプレカンファレンスのチュートリアル、13日~15日がメインイベントの技術カンファレンスである。
VLSIシンポジウムとESSDERC/ESSCIRC
半導体デバイスと半導体回路の研究成果が一同に介する国際会議としては、ESSDERC/ESSCIRCのほかに「VLSIシンポジウム (VLSI Symposium)」が知られている。VLSIシンポジウムは、西暦の偶数年に米国のハワイ、奇数年に日本の京都で開催されてきた。会場となるホテルは、ハワイがヒルトン・ハワイアン・ビレッジ、京都がリーガロイヤルホテルで、ずっと同じである。馴染みがあるとも言えるし、変化がないとも言える。
これに対して「ESSDERC/ESSCIRC」は毎年、開催地を変えてきた。今年はスイスのローザンヌである。来年はベルギーのルーベンで開催することが決まっている。
またVLSIシンポジウムの技術カンファレンスは、デバイスが1日早く始まり、回路が1日遅く閉幕する。VLSIシンポジウムに10回近く参加してきた感想だが、始まりの火曜日~水曜日あたりは賑やかなのだが、最終日の金曜日が閑散としていてなんとも寂しい。
その点、「ESSDERC/ESSCIRC」は技術カンファレンスの期日が全く同じなので、同時に賑やかになり、同時に閉幕し、閑散とする。実際に体験してみると、同じ期日が良いように個人的には感じた。
27カ国・地域から218件の論文を採択
ESSDERC/ESSCIRCの技術カンファレンス初日は、カンファレンスの概要を紹介するオープニング及びウェルカムセッションから始まる。このセッションでの説明によると、投稿論文数は458件、採択論文数は218件である。採択率は56%で、VLSIシンポジウムよりもかなり高い。
興味深いのは、採択論文の国・地域が多彩であり、ほかの半導体国際学会とはいささか違うことだ。27カ国・地域とそもそもの数が多い。しかも件数のランキングを作成してみると、ESSDERCはトップの米国は当然として、2位にインドが食い込んでいる。これにはかなり驚いた。インドからの発表(共同発表を含める)が40件もある。
欧州からの発表が多く、半導体大国である米国の発表が多いのは当然として、日本の健闘も目立つ。ESSDERCでは4位、ESSCIRCでは5位に付けている。
技術カンファレンスでは、独自性の強い発表が少なくなかった。追ってご紹介するので期待されたい。