イベントレポート

ZOTACからも(ちょっぴり雑な?)VR向けバックパックPCが登場

~水冷仕様の小型ベアボーンPCやビデオカード新製品も展示

MAGNUS EN980。ZOTACのZBOXシリーズと比べるとかなりサイズが大きい

 ZOTACは、COMPUTEX TAIPEI 2016会場ブースで小型ベアボーンPCやビデオカードなどの新製品を展示した。

MAGNUS EN980

 「MAGNUS EN980」は、ZOTAC得意のPCベアボーンだ。従来までのZOTACのベアボーンは小型筐体を追求したものが多かったが、それらと比べるとMAGNUS EN980はかなり大きな筐体となっている。

 それは、MAGNUS EN980が「最小のVR対応PC」として位置付けられており、CPUにCore i5-6400、ディスクリートGPUにGeForce GTX 980を搭載するとともに、CPUおよびGPUを水冷で冷却するシステムとなっているため。ブースにはスケルトンモデルがおかれていたが、CPUとGPUを冷却する120mmラジエータが内蔵されており、その影響でサイズが大きくなっている。ただし、VRを楽しめるだけの優れた性能を備えつつ、コンパクトな筐体を実現できているとする。

 製品としては、ストレージ内蔵でOS導入済みのシステムと、ストレージ非搭載のベアボーンシステムが用意されるそうで、北米での価格はOS導入済みシステムが2,000ドル前後、ベアボーンシステムが1,599ドル前後を想定しているという。出荷は6月末を予定している。日本での発売については、現時点では未定。

本体正面
後部側面
上部はハニカム状のメッシュとなっている
高性能システムを搭載し、水冷システムを内蔵している
CPU、GPUとも水冷で冷却
マザーボード底面

スティック型PC「PICO PI220」、「PICO PI221」

 「PICO PI220」および「PICO PI221」は、ディスプレイのHDMIポートに直接接続して利用する、いわゆるスティック型PCだ。違いは、PICO PI220が空冷ファン内蔵、PICO PI221がファンレスとなっている点で、システムのスペックは同じとのこと。PICO PI221はファンレスのため、本体がヒートシンクのような形状になっている。

 CPUはAtom x5-Z8300を採用し、メインメモリは2GB、内蔵ストレージは32GBのeMMC。外部ポートは、ディスプレイ接続用のHDMIコネクタ以外には、Ethernet、USB 3.0×1、microSDカードスロットを用意。無線機能は、IEEE 802.11acおよびBluetooth 4.0を搭載する。OSはWindows 10 Home。日本でも6月中の発売を予定しているとのこと。価格は未定。

PICO PI220
PICO PI220。ファン内蔵で排気口が見える
ディスプレイ接続用のHDMIコネクタ
microSDカードスロットと、内蔵無線LAN用アンテナポートがある
USB 3.0、Ethernet、電源用Micro USBポートがある
PICO PI221
PICO PI221。ファンレス仕様で、表面がヒートシンクのようになっている
ディスプレイ接続用のHDMIコネクタ
PI220同様、microSDカードスロットと、内蔵無線LAN用アンテナポートがある
USB 3.0、Ethernet、電源用Micro USBポートを用意している点もPI220同様だ

GeForce GTX 1080搭載ビデオカード

 GeForce GTX 1080搭載ビデオカードは3製品を展示。2連ファンの空冷システムを搭載する「ZOTAC GeForce GTX 1080 AMP Edition」、3連ファンの空冷システムを搭載する「ZOTAC GeForce GTX 1080 AMP Extreme」、そして水冷対応モデルの「ZOTAC GeForce GTX 1080 ArcticStorm」だ。ただし、GPUやビデオメモリの動作クロックなど、細かなスペックはまだ固まっていないとのこと。出荷時期は、ZOTAC GeForce GTX 1080 AMP EditionおよびZOTAC GeForce GTX 1080 AMP Extremeが6月中旬、ZOTAC GeForce GTX 1080 ArcticStormが6月下旬を予定。価格はいずれも未定。

ZOTAC GeForce GTX 1080 AMP Edition
ZOTAC GeForce GTX 1080 AMP Extreme
ZOTAC GeForce GTX 1080 ArcticStorm

ZOTAC Mobile VR

 ZOTAC Mobile VRは、バックパックにMAGNUS EN980ベースのPCと大容量バッテリを内蔵することで電源ケーブルを接続することなく動作するようにし、ワイヤレスでVRシステムを利用できるようにしたものだ。ZOTACブースでは、HTC製のVRシステム「HTC Vive」を利用した、ワイヤレスVRシステムとして展示され、実際にデモも行なわれていた。

 布製のバックパックを利用し、内部にバッテリーとMAGNUS EN980ベースのカスタムPCを取り付けるとともに、HTV Viveとコントローラを内蔵PCに接続。そして、バックパックを背負って身につけるとともに、VRヘッドセットを装着、手にコントローラを持てば、ワイヤレスでのVR体験が可能となる。

 今回、実際に身につけて体験してみたが、性能の優れるMAGNUS EN980ベースのPCを利用していることもあって、ゲームの動作は非常に軽快で、かなり没頭して楽しめた。ただし、バックパックは重量が4.5kgほどあるため、長時間の利用は疲れそうな印象。バッテリ駆動時間は3時間ほどとのことだったが、VRはそこまで長時間体験するものではないため、もう少し駆動時間を短くして軽くした方が良さそうに感じた。

 なお、スペックもGPUをNVIDIA Pascalベースに変更したり、AMDのシステムに変更する可能性もあるとのこと。ZOTAC Mobile VRは、実際に8月中旬以降を目途に商品化を予定しているという。価格は未定。

バックパック型のVRシステム「ZOTAC Mobile VR」
内蔵PCは、水冷PCの「MAGNUS EN980」をベースにカスタマイズしたものを利用しているという
大容量バッテリを利用し、3時間ほどの駆動が可能とのこと
HTC Viveを接続した、システムの全体像。これを背負って利用する
ZOTAC Mobile VRを装着している様子
ゲームはスムーズに動作し、快適なプレイが可能だった