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Samsung、ヘッドフォンから電気信号を耳の神経に送り、動きも体感できるVRハードを発表

「Entrim 4D」

 Samsung Electronicsは14日(米国時間)、ヘッドフォンに取り付けられた電極から耳の神経に電気信号を送ることで、ユーザーに“動き”も体験させられるVRハードウェア「Entrim 4D」を発表した。

 リリースの写真を観る限り、ヘッドマウントディスプレイとしては既存の「Gear VR」を利用しており、それに独自のヘッドフォンを組み合わせている。VRによって、ユーザーはさまざまな世界を体験できるが、そこから得られる情報は映像と音声のみである。

 そこでさらに没入感を高めるためSamsungが考案したのがEntrim 4Dだ。あらかじめ映像内の動きから生成されたデータを元に、ヘッドフォンから電気信号を耳に送る。リリースに詳細は書かれていないが、おそらく平衡感覚を司る三半規管の神経を刺激しているのであろう。これによって、ユーザーは映像と同期した“動き”も感じられるようになる。例えば、ドローンのモーションセンサーから直接得たデータを利用すると、ユーザーは、ドローン視点の映像を観ながら、実際に飛んでいるように感じられるという。

 また、Entrim 4Dを使うと、VR酔いも低減できるという。VRを体験していると、自分は動いていないのに、あたかも自分が動いているような映像を見せられることで、脳が錯覚を起こし気持ちが悪くなるVR酔いが発生することがある。そこで、Entrim 4Dを使うことで、ユーザーに自分が動いていると感じさせることで、VR酔いを低減できる可能性があるとしている。

 神経に電気信号を送ることに不安も感じられるが、この信号は脳卒中患者が治療で平衡感覚を取り戻すのに使われているのと同等のものといい、Entrim 4Dの開発にあたっては、ハードおよびソフトの開発者に加え、生体医学のエキスパートも参加し、既に1,500人に対して検証を行なっているという。

(若杉 紀彦)