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Doog、積載重量120kgの汎用運搬ロボット「サウザー」を販売開始

~レーザーセンサーとリードで犬のように人を追従

汎用運搬ロボット「サウザー」

 ロボットベンチャーの株式会社Doog(ドーグ)は、汎用の運搬台車として使えるロボット「サウザー」を開発したと発表し、受注販売を開始した。重量物を載せて移動できるロボット台車で、レーザーセンサーを使うことで人を認識して追従できるほか、犬のようにリードを介して操作することで、人が入り混じって通行する環境でも、利用者ならびに周囲に対して、より安心感を持ったままロボットを操作できる。重量物の運搬自体には力がいらなくなるため、建築や土木、物流、農業のほか、商業施設やホテルでも活用できるとしている。税別価格は150万円で、受注生産。

【2017年5月22日追記】上記は発売当時の価格であり、部品変更を伴う機能向上、オプションのラインナップ拡充や、各販売パートナーの追加付加価値などと併せて販売されるため、オープンプライスへ改定となった。製造体制や機能搭載は変化するため、今後も定価設定は廃止される。

600×940×455mm(幅×奥行き×高さ)
積載重量120kg
建築や土木、物流、農業のほか、商業施設やホテルでも活用できるという

 サウザーは長さ600×940×455mm(幅×奥行き×高さ)。本体重量は70kgで、最大積載重量は120kgだが、実際にはもう少し重いものでも運べそうだ。駆動車輪は2つで、それぞれに電磁ブレーキ付きDCモーターが付いており、その場旋回も可能(最小回転半径は720mm)。それ以外に受動車輪が全部で4つ付いている。段差乗り越え能力は数cm程度で、登坂能力は9度。屋内でも使える静音性があり、出荷する製品版には防滴処理も行なう予定で、屋内外で使えるが、完全防水ではない。バッテリは12V/34Ah×2で、1回の充電での航続距離は20km。

 特徴は人を追従すること。レーザーレンジファインダーを本体下部に1基搭載しており、人の形と位置を認識して追従する。本体にも操作ボタンがあり、追蹤操作自体は、リードなしでも使える。一方、リードを使う場合は、リードを引っ張ることでロボットに対して指示を与える。リード手元のボタンを押してリード自体の伸縮をロックして引っ張ると、ロボット本体のジョイスティックを離れた場所から操作できる。それによって指示を与える形だ。

テザーを使った操作

 具体的には、引っ張るだけである。一回引っ張るとロック(ブレーキ)がかかる。そのままの状態でもロボットを引っ張ると、軽いアシストをした状態で動くことができる。ダブルクリックのように2回引っ張ると追従を始める。追従する時の速度は2種類あり、低速で時速4km程度、高速で時速8km程度となり、小走りの人にも付いていくことができる。なお、追従時にも障害物検知などの機能は働いており、間に障害物や人などが入ると回避あるいは停止する。またリードを使うことで、ロボットと人との間に別の人が入り込む状況を減らせるとしている。レーザーセンサーの最大検出距離は10m。水平視野角は270度。

サウザーを操作するDoog代表取締役・大島章氏
テザーを引っ張って操作する。あくまで操作であって引っ張るわけではない
本体下部
レーザーレンジファインダー1基を装備
テザーなしでも人追従は可能
小走りの人についていく速度も出せる

 レーザーセンサーを使った追従という形なので手放しも可能だが、あくまで人がその場で操作するロボットであり、自律移動ロボットではない。「高機能なアシスト台車」という位置付けのロボットだ。同社は電動車椅子や自律移動ロボットの研究用にも用いられているPGドライブズテクノロジー(PGDT)製モーター制御装置(VR2)と自前の制御ソフトウェアを連携しやすくするための「ロボット化中継コントローラ」や、電動運搬台車に移動ロボット機能(自動走行コントローラ)を供給する事業も展開しているが、今回のサウザーもそれらを利用したシステム構成となっている。要するに、電動車椅子のコントローラの上位に、同社のロボットコントローラを入れ、割り込み操作できるようにしたものだ。

テザーなしでの追従

犬のような賢さと簡単に使える「道具」のような移動ロボット

 株式会社Doogは、「道具」のようなロボットを開発することをミッションとしているロボットベンチャーで、2012年11月に設立された。社名には簡単に使える「道具」のようで、かつ、犬のような賢さを持った移動ロボットを作るという意味が込められている。メンバーは移動ロボットの研究者3人(代表取締役の大島章氏、同社執行責任者の城吉宏泰氏、営業責任者の内山祐介氏)だ。これまでに、ロボット数台が連なって移動する「カルガモ走行」ができる移動ロボット「カルガモ隊」や、2人が横に並んで乗りこめるレジャー施設用のモビリティ「モビリス」などを開発している。

 今回のサウザーも追従機能を展開したもので、カルガモ走行も可能だ。今回はテザーをインターフェイスとして使うことで一般の人がいる中でも動け、何かあってもリカバリしやすい提案を行なっているが、周囲に一般の人がいない状況では、ロボットを連ねたような使い方もあり得ると考えているという。大島氏はサウザーについて「パワーと速度を備えたことで、大型犬のように頼もしくて人を助けられる機械として開発した」と語った。

Doogのメンバー3人
サウザー2台によるカルガモ走行
サウザー2台によるカルガモ走行

 サウザー本体上部の積載部はカスタマイズが可能で、荷物だけではなく、装飾や人形などを載せることも可能。既にレジャー施設向けにイベント事業者による業務用途およびエンタメ用途での活用がスタートしているだけでなく、レンタル事業者が導入を検討しているという。また、より大型の積載重量があるものを一部事業者と検討している段階だという。月産目標は10台。

 サウザーは10月22日、23日に東京ビッグサイトで開催される「レジャー&サービス産業展2015」にも出展される予定。