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タカラトミー、トランスフォーマー完全変形ロボット発表会詳報

~2017年までに1/2サイズ、将来的には実物大のバンブルビーを商品化

 タカラトミーは18日、「東京おもちゃショー2015」の会場内で、トランスフォーマー完全変形ロボットに関する発表会を開催した。18日に速報をお届けしたが、ここではより詳しい内容をレポートする。

石田氏が長年取り組んできた変形ロボット技術を結集

 今回行なわれた発表会は、「トランスフォーマー完全変形ロボット発表会 ~Supported by Project J-deite~」というタイトルが付けられている。Project J-deite(プロジェクト ジェイダイト)とは、アスラテック株式会社と株式会社BRAVE ROBOTICSの両社が参画している変形ロボット製造プロジェクトであり、2014年10月には、全高約1.3mの変形ロボット「J-deite Quarter」を開発、さらに人が乗れるサイズの変形ロボット「J-deite RIDE」の開発に着手したことを表明している。

 J-deite RIDEは、J-deite Quarterと同じく、人型(ロボットモード)と車型(ビークルモード)に完全自動変形できるロボットであり、ロボットモードでは2足歩行が可能で、ビークルモードでは人が乗って運転できるようになる予定。J-deite RIDEの完成は2017年中を目指しているとのことだ。Project J-deiteは、トランスフォーマー公式認定プロジェクトであり、タカラトミーもサポーターとして参画している。

 今回発表されたトランスフォーマー完全変形ロボットも、このProject J-deiteで培われた技術を利用したものである。Project J-deiteの中心人物が、BRAVE ROBOTICSの代表取締役社長の石田賢司氏であるが、石田氏は中学2年生のときに、トランスフォーマーシリーズや勇者ロボットシリーズなどのロボットアニメを見て、巨大変形合体ロボットに憧れ、独学でロボット技術を学び、10年以上前から変形ロボットの開発に取り組んできた。

 石田氏がこれまでに開発したロボットについては、こちらのサイトを見ていただきたいが、石田氏の変形ロボットが動画共有サイトで話題になったことを覚えている読者もいるだろう。トランスフォーマー完全変形ロボットは、石田氏が長年取り組んできた変形ロボット技術の集大成ともいえるのだ。

全高1.3mのバンブルビークォーターと全高26.5cmのバンブルビーツーオーを披露

 発表会ではまず、昨年(2014年)、生誕30周年を迎えたトランスフォーマーの歴史をまとめた映像が上映された。

 次に、タカラトミーボーイズ第一企画部長田島豊氏による趣旨の説明が行なわれ、このプロジェクトは、タカラトミー、アスラテック、BRAVE ROBOTICSの3社が共同で進めていることと、今後のロードマップを明らかにした。そのロードマップによると、2017年に全高3.5mの変形ロボットを完成させる予定で、その次がバンブルビーと同じサイズ(全高約7m)の変形ロボットの開発に挑戦するという。

 田島氏の次に登壇したのが、BRAVE ROBOTICS代表取締役社長の石田賢司氏である。石田氏の合図で、「バンブルビー」をモチーフにした完全自動変形ロボット「バンブルビークォーター」がビークルモードで登場した。バンブルビークォーターは、その名の通り、実物の約1/4サイズであり、全高約1.3mとなる。ステージの正面まで走行してきたバンブルビークォーターは、ロボットモードへの見事な自動変形を披露。その後、車輪による移動や足を上げての2足歩行、上半身の動きなどを見せ、観衆からどよめきの声が聞かれた。

トランスフォーマーシリーズ30年の歴史を映像で振り返った
毎年新しいアニメや映画などのコンテンツが誕生している
タカラトミーボーイズ第一企画部長田島豊氏
タカラトミー、アスラテック、BRAVE ROBOTICSの3社が共同で開発を行なっている
今後の開発ロードマップ。2017年には全高3.5mの約1/2サイズの変形ロボットを完成させる予定で、その次はいよいよ原寸大(全高約7m)の変形ロボットの開発に挑戦する
BRAVE ROBOTICS代表取締役社長の石田賢司氏
ビークルモードのバンブルビークォーター
ロボットモードのバンブルビークォーター
左がアスラテックの吉崎航氏。V-Sidoの開発者である。バンブルビークォーターのサイズ感がよく分かる
ロボットモードのバンブルビークォーターの上半身アップ。今年(2015年)のアニメ「トランスフォーマー アドベンチャー」バージョンを元にしたデザインになっている
ロボットモードのバンブルビークォーターの上半身の斜め後ろから。大きなギアが見える
ビークルモードのバンブルビークォーターの登場の様子
バンブルビークォーターが、ビークルモードからロボットモードへ変形する様子
ロボットモードのバンブルビークォーターの車輪を利用した旋回の様子
ロボットモードのバンブルビークォーターの2足歩行の様子
ロボットモードのバンブルビークォーターの上半身の動き。手や指も自由に動かせる

 発表会のステージには、最初から黒い布がかぶせられたテーブルが用意されていたが、この布の下に隠れていたのが、「バンブルビーツーオー」である。バンブルビーツーオーは、実物の約1/20サイズであるため、ツーオーという名前が付けられたのだが、こちらも、ビークルモードからロボットモードへの滑らかな自動変形、ロボットモードでのさまざまな動作、ロボットモードからビークルモードへの再変形のデモを行ない、注目を集めていた。ロボットモードでは、ビークルモードでの移動に利用する車輪を使った移動やその場での旋回(いわゆる超信地旋回)が可能なほか、足を上げた2足歩行も可能だ。

ビークルモードのバンブルビーツーオー
ビークルモードのバンブルビーツーオーの正面
ロボットモードのバンブルビーツーオー
ロボットモードのバンブルビーツーオーの側面
ロボットモードのバンブルビーツーオーの背面
バンブルビークォーターとバンブルビーツーオーのサイズはこんなに違う
バンブルビークォーターとバンブルビーツーオーの特徴。両機ともに制御システムとして「V-Sido」を採用。サーボーモーターの数はかなり違うが、アクションの相互リンクが可能だ
バンブルビーツーオーが、ビークルモードからロボットモードへ変形する様子
ロボットモードのバンブルビーツーオーの車輪を利用した旋回の様子
ロボットモードのバンブルビーツーオーの2足歩行の様子
バンブルビーツーオーが、ロボットモードからビークルモードへ変形する様子

2016年、5万円以下での商品化を目指す

 今後の展開について、石田氏は「まずは原寸サイズ、人が乗れる1/1を目指します」と語ったのに対し、田島氏は「石田さんはリアルサイズという大きな夢をお持ちですが、私どもはタカラトミーとして、お客様に実際に届けられる商品としてのトランスフォーマーを目指したい」と語った。

 バンブルビークォーターは、技術検証用の実験機体という位置付けであるのに対し、バンブルビーツーオーは、タカラトミーでの商品化を前提とした玩具化検討モデルである。今回、デモが行なわれたバンブルビーツーオーは、あくまで試作第1号機であり、今後商品化を目指してさらなる改良が行なわれることになる。

 発表会では、具体的な商品化のスケジュールや価格については明らかにされなかったが、発表会終了後に田島氏に尋ねたところ、「発売時期の明言はできませんが、そう何年も先になることはないと思います。来年にも商品化に関する何らかの発表をしたいと考えています。また、価格についても一切未定ですが、5万円以下を目指しています」とのコメントを得た。

 サーボモーターを21個搭載して、5万円以下という価格は、2足歩行ホビーロボットを多少かじっている筆者にはかなり驚異的な安さに思える。通常の2足歩行ホビーロボットに使われている国産サーボモーターは、安いものでも1個5,000円程度はするので、普通に考えると10万円くらいになりそうだ。

 その点をさらに田島氏に訊いたところ、「実はこのバンブルビーツーオーのサーボモーターには、i-SOBOTの技術が使われています。そのため、5万円以下という価格も可能だと考えています」という返答をもらった。

 i-SOBOTとは、タカラトミーが2007年10月に発売した世界最小の2足歩行ロボットである。i-SOBOTは、独自開発の超小型サーボモーターを17個採用し、31,290円という低価格を実現したことで、大きな話題となった。その後、直接的な後継製品は出ていないものの、タカラトミー内部ではその後も研究開発を続けており、今回のバンブルビーツーオーにもその技術が使われているとのことだ。

 もちろん、i-SOBOTとバンブルビーツーオーではサイズや重量がかなり違うため、i-SOBOTのサーボモーターがそのまま使われているわけではない。i-SOBOTのサーボモーターを改良し、より強力にしたものが使われているのであろう。確かに、17個のサーボモーターを搭載したi-SOBOTが3万円強で発売できたのであれば、21個のサーボモーターを搭載したバンブルビーツーオーを5万円以下で発売するというのも決して不可能ではなさそうだ。トランスフォーマーのファンは世界中にいるため、販売台数もi-SOBOT以上を見込めるのだろう。トランスフォーマー完全変形ロボットの今後の展開に期待したい。

(石井 英男)