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Amazonアカウントで他社サイトでの買い物が可能に

~Amazonが「Amazonログイン&ペイメント」を開始

Amazon.co.jpは、米国で2013年10月から導入された「Amazonログイン&ペイメント」の提供を日本でも開始した

 Amazon.co.jpは11日、他社の買い物サイト(ECサイト)でAmazonアカウントによる購入を可能にするサービス「Amazonログイン&ペイメント」の日本での提供を開始した。

左から、四季株式会社 代表取締役社長 吉田智誉樹氏、Amazon.co.jp ディレクター セラーサービス事業本部 事業本部長 星健一氏、夢の街創造委員会株式会社 代表取締役社長 中村利江氏

 ユーザーはAmazonログイン&ペイメントを使うことで、自身のAmazonアカウントに登録されている住所やクレジットカード情報を他社のECサイトで利用できるようになり、新規会員登録や個人情報入力の手間を省いて、即座に買い物ができる。Amazonアカウントのクレジットカード情報はAmazonのセキュリティシステムにより管理され、外部に情報が渡ることはない。ただし、発送先の住所情報などは渡される。

 2013年10月からAmazonログイン&ペイメントを開始した米Amazon.comでは、本サービスの導入により利便性が向上し、販売業者によっては注文成約率(カートでの購入から決済まで)が10~34%改善された。日本は同サービス導入の5カ国目にあたり、導入済みの4カ国ではすでに数千社がAmazonログイン&ペイメントのサービスを利用していると言う。

家具の販売を行なっている米Cymax。Amazonログイン&ペイメントの利用方法が紹介された
通常、新規利用する場合に長々と個人情報を登録する必要があるが……
Amazonログイン&ペイメント利用サイトなら、Amazonアカウントを入力するだけでOK
Amazonアカウントのメールアドレスとパスワードを入力
確認の「OK」をクリックするだけで、Cymaxでの登録が完了した
今後はAmazonアカウントでログインするだけで、買い物ができるようになる
配送先が複数登録されている場合は、指定場所を任意に選択することができる
クレジットカードが複数登録してある場合も、使い分けることが可能

 Amazonログイン&ペイメントの開始にあたり、「劇団四季」の四季株式会社、「出前館」の夢の街創造委員会株式会社の2社が本サービスを導入。劇団四季の吉田智誉樹氏は店舗間のチケット販売格差といった購入の不公平さをなくすために、常に販売方法の模索を行なってきた経緯を語った。1983年に初めてコンピュータによる販売方法を導入し、2000年にはオフィシャルサイトによるインターネットでの販売、2010年にはQRコードによる予約と、今回Amazonログイン&ペイメントを導入について、「人通りの多いWebの商店街であるAmazonを利用することで、より多くの新しいお客様と出会い、安心してチケットを購入していただきたい。」と述べた。

Amazonログイン&ペイメントを導入した劇団四季では、5月24日公開の「アラジン」を同社チケット販売サイトからAmazonアカウントで予約可能
劇団四季のWebサイトからのチケット予約でAmazonアカウントを使うには、通常の予約手順で進み、決済の画面でAmazonを選択する
支払い方法で「Amazonペイメント」を選択する
「Amazonアカウントでお支払い」を選択する
Amazonアカウントの情報を入力
手順を進めれば、チケットの予約が完了する

 また、ネットによる食べ物の宅配注文を行なっている出前館では、食の宅配サービスは2007年から2014年まで順調に推移し、年間4%の成長を遂げていると、夢の街創造委員会株式会社の中村利江氏が述べた。しかし、EC市場では約60%のユーザーがクレジットカードを利用しているのに対し、出前館では96.8%のユーザーが代引きを利用、クレジットカードユーザーが3.2%しかいないことを語り、Amazonログイン&ペイメントによって現金からオンライン決済での利用を促進し、利用者の多いAmazonを通すことで、出前館のさらなるユーザー拡大を狙う構えだ。

「食の宅配」の成長率は毎年4%以上と継続して拡大中
出前館は、加盟店や会員数は多いものの、クレジットカード決済は全体の3.2%と圧倒的に少なく、Amazonログイン&ペイメントで決済の簡素化などによるユーザー拡大を狙う
出前館のAmazonログイン&ペイメント導入による連携内容の概要図

 Amazon.co.jpの星健一氏は、Amazonログイン&ペイメントを利用するユーザー側のメリットとして、初めて利用するサイトでも登録が必要なくなるため、オンラインショップによる複数のアカウントを使い分ける必要がなくなること、Amazonアカウントに複数登録されている住所情報とクレジットカード情報を使い分けることができる利便性などを強調。

 また、導入企業についても、ECサイトではユーザーの多くが商品をカートに入れるものの、そのまま決済に至らない離脱率が高いことを挙げ、初回注文と新規会員登録のハードルを下げられるAmazonログイン&ペイメントの利点を挙げる。同サービスを導入した家具販売サイトの米Cymaxでは、同社新規会員の3人に2人がAmazonアカウントを利用しているという事例を示した。

 質疑応答では、企業が導入する場合に要する手続き期間についてなどの質問が出たが、これについて星健一氏は、サービスを即日提供できるわけではなく、審査が必要であるほか、導入企業側の技術的な部分も深く関わるため、具体的な期間を示すことはできないと解答した。前述の2社以外にも、今後提供サイトを拡大していく考えで、3社目がどこになるかはまだ未定とのこと。

Amazonログイン&ペイメント導入による注文成約率の改善度。すべて外国企業のものだが、多いところでは、34%も改善している
Amazonは新規会員登録や個人情報登録の手間が省かれることで、新規会員の登録が促進されると説明。画面は米Cymaxの場合で、新規会員の3人に2人がAmazonアカウントを利用して登録しているとのこと
クレジットカード情報はAmazonが管理するため、企業はセキュリティにかかるコストを削減できると言う

(中村 真司)