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MSI、動画ストリーミングエンジン搭載のX99ゲーミングマザーなど

~オーバークロック向けのXPOWERは「殻割りダイ・ガード」付き

X99S GAMING 9 AC

 MSIは、次期Core i7 Extreme Editionに対応するIntel X99シリーズマザーボードの製品情報を公開した。8月30日より順次発売する。

 X99シリーズはZ97シリーズと同様、オーバークロック向けの「OVERCLOKING」シリーズ、ゲーミング向けの「GAMING」シリーズ、そしてメインストリーム向けの「CLASSIC」の3種類に分けられ、合計5モデルが用意される。

 X99からは新たにDDR4メモリ対応となったが、MSIの製品では8基のスロットを搭載。DDR4メモリ自体は既に市場に出回っており、チップはMicronとHynixが製造しているが、いずれも両社の工場にて製品テストにMSIの製品が使われており、問題なく動作することを保証する。現時点では4GB/8GBモジュールしかないが、2015年までには16GBモジュールも投入される予定で、合計128GBの容量を実現できるとしている。

 全モデル共通でM.2スロットを搭載したのも特徴。PCI Express Gen3 x4接続で、最大32Gbpsの転送速度を実現。将来の高速なSSDに対応できるとしている。また、Z97シリーズでは1モデルしかなかったSATA Expressが全モデルに搭載されるようになった。UEFI BIOSによって、すべてのM.2 SSDからのブートに対応済みとしている。

 また、Z97シリーズで導入された独自機能群「GUARD-PRO」を搭載。CPUやUSBの過熱/過電流からマザーボードを保護する「Circuit Protection」、ユーティリティ上から不要な機能の電源をオフにすることで最大19%省電力化する「ECO Power」、12V電源から安定した5V電源を独自生成する「USB Steel Power」、長いUSBケーブルでの信号劣化を防ぐUSB 3.0リドライバの搭載を特徴とする。

 Gamingシリーズを除く3モデルには、Intel製Gigabit Ethernetコントローラを搭載。また、ワークステーションでの利用を考慮し、NVIDIAのQuadroシリーズの動作確認を行なっている。このほか、独自品質基準「Military Class 4」へ準拠し、ワンタッチオーバークロック機能「OC Genie」、電源オフ時にもスマートフォンなどへ充電できる「SuperCharger」などの機能を備える。

OVERCLOKINGシリーズ

 オーバークロック向けは、「X99S XPOWER AC」と「X99S MPOWER」の2モデルが用意される。発売日および税別店頭予想価格はそれぞれ9月中旬/44,800円前後、未定/未定。

X99S XPOWER AC
X99S MPOWER

 オーバークロックを支える電源回路は、12フェーズでデジタル制御の「DigitALL POWER」を採用した。また、100MHz/125MHz/167MHzのベースクロック生成とPCI Express用クロック生成を完全独立させて供給を行なう「OC Engine」を搭載し、100MHz/125MHz/167MHzベースクロック以外で安定したビデオカードの動作を実現。Z97に搭載されたクロックジェネレータからさらに精度が向上し、安定したクロック生成が可能という。

 Windows起動時にクロックを一時低下させることで、高負荷によるハングアップを回避する「Slow Mode」を搭載。最低クロックはZ97の800MHzから1.2GHzに向上している。また、チップセット側から出ているPCI Express x1スロットをエッジフリーとし、PCI Express x16のビデオカードを装着可能とした。これによりCPU内蔵PCI Expressのオーバークロック時の不安定要素を排除できるとしている。また、バラック状態でもUSBメモリからBIOS更新をしやすいよう、基板上にUSB Aコネクタを装備した。

 さらに他社製品にない特徴として、LN2の冷却ポッドを装着しやすくするための専用バックプレートが付属。加えて、CPUのヒートスプレッダを取り除いた状態で、冷却ポッドやヒートシンクを直接ダイに付けてもコア欠けを防ぐ特製プレート「Delid Die Guard(殻割りダイ・ガード)」が付属する。なお、IvyBridge-Eまではヒートスプレッダとダイの間はハンダ付け(ソルダリング)されていたが、MSIによるとHaswell-Eではグリスに変更されているという。

LGA2011-3用に誂えた「Delid Die Guard(殻割りダイ・ガード)」。LGA1150用とは異なることが分かる

 このほか、ビデオカードを取り外ししなくてもディップスイッチ無効にできる機能や、基板上のハードウェアボタンでオーバークロック操作できる「Direct OC」、デバッグコードを表示する7セグメントLED、直接BIOSに入れるハードウェアボタン「GO2BIOS」スイッチ、電圧計測ポイント「V-Checkpoint」、2つのBIOS ROMを搭載する「Multi BIOS 2」などを備える。

 UEFI BIOSのオーバークロック機能などはZ97シリーズとほぼ共通だが、DDR4メモリ用のメモリオーバークロックプリセットが用意されている。DDR4メモリはX99が初めてであり、オーバークロッカーはまだ知識が浅い状態だが、このプリセットを参考にオーバークロックできるようになる。

 ソフトウェア面では、ホットキーで素早くオーバークロック設定を切り替えられ、インストール不要で軽量なオーバークロックユーティリティ「Command Center Lite」を付属。一時的に高いクロックに設定し、CPU-Zなどでクロック記録を採った後素早くショートカットで元の設定に戻して安定動作を維持する、といったことが可能になった。また、メモリタイミング設定をWindows上から読み取れる「Command Center Lite Memory」を新たに開発した。

 ほかの信号線から分離したオーディオ回路「Audio Boost」を搭載。拡張スロットは、X99S XPOWER ACがPCI Express x16×5、同x1×1。X99S MPOWERがPCI Express x16×4、同x1×2。フォームファクタは前者がExtended ATX、後者がATX。ストレージインターフェイスはSATA 6Gbps×10。バックパネルインターフェイスはUSB 3.0×8(XPOWERは×10)、USB 2.0×2、PS/2、Gigabit Ethernet(XPOWERは×2)、音声入出力など。X99S XPOWER ACはIEEE 802.11ac対応無線LAN+Bluetooth 4.0を備える。

GAMINGシリーズ

 ゲーミング向けとしては「X99S GAMING 9 AC」と「X99S GAMING 7」の2モデルが用意される。発売日および税別店頭予想価格はそれぞれ未定/47,800円前後、8月30日/29,800円前後の見込み。

X99S GAMING 9 AC
X99S GAMING 7

 GAMINGシリーズは、Z97で導入された新機能をほぼ受け継いでいる。全体的にシンプルな基板設計や、ドラゴンをモチーフとしたヒートシンク、基板やヒートシンクのみならず、I/Oバックパネルまで黒をベースに赤をアクセントとした一貫性のあるデザインを採用した。

 また、USB DAC向けの専用電源回路設計や、分離回路基板+オペアンプ+ニチコン製オーディオコンデンサ+ゴールドメッキ+専用電源入力+チップのEMIシールドを備えたサウンド回路「Audio Boost 2」など、オーディオに徹底的にこだわった。

 両モデルともにKiller E2200ネットワークコントローラを搭載し、ネットワークゲームにおけるパケット転送を最適化し、レイテンシを削減しながらバンド幅を向上させた。GAMINGビデオカード利用時にまとめてワンボタンでオーバークロック設定ができる「Gaming App」も強化され、新たにブルーライト削減機能を備えた。

 最上位のX99S GAMING 9 ACには、AVerMediaと共同開発したMini PCI Express接続の動画エンコーダ「Streaming Engine」を搭載する点がユニーク。ゲームプレイ画面をリアルタイムでキャプチャし、CPUやGPUに負荷をかけずにエンコードし、その動画をファイルに保存したり、ストリーミングを行なったりできる。なおAVerMediaでボード単体を提供しているが、150ドル程度の価値があるという。

 加えて、X99S GAMING 9 ACでは動画ストリーミング配信ソフト「XSplit」の2年間プレミアムライセンスが付属する。このライセンスの標準価格は99.95ドル(記事執筆時は40%ディスカウント中で59.95ドル)であり、ゲーマーはお得に利用できることになる。X99S GAMING 7は6カ月のプレミアムライセンス付き。このほか、X99S GAMING 9 ACではIntelのIEEE 802.11ac無線LAN+Bluetooth 4.0アダプタが付属する(Intel WiDiは非対応)。

 拡張スロットは、X99S GAMING 9 ACがPCI Express x16×5、X99S GAMING 7がPCI Express x16×4、同x1×2。フォームファクタは前者がExtended ATX、後者がATX。ストレージインターフェイスはSATA 6Gbps×10。バックパネルインターフェイスはUSB 3.0×8、USB 2.0×2、PS/2、Gigabit Ethernet、音声入出力など。

CALSSICシリーズ

 CALSSICシリーズは今回「X99S SLI PLUS」の1モデルのみを用意、8月30日発売で、税別店頭予想価格は24,800円前後の見込み。

X99S SLI PLUS

 最もスタンダードなモデルであるため、尖った特徴はないが、従来のCLASSICシリーズは黒をベースに青のアクセントが入っていたものの、X99S SLI PLUSではパッケージも含めて全面的に黒を基調としたものとなり、質感が向上した。2万円台の低価格も魅力。

 拡張スロットは、PCI Express x16×4、同x1×2。フォームファクタは後者がATX。ストレージインターフェイスはSATA 6Gbps×10。バックパネルインターフェイスはUSB 3.0×8、USB 2.0×2、PS/2、Gigabit Ethernet、音声入出力など。

(劉 尭)