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MIT、Wi-Fi電波で壁の向こうを見通す技術を発表

~犯罪捜査や災害救助から、家電、ゲームなどへの応用が可能

6月28日(現地時間)発表

 米マサチューセッツ工科大学(MIT)電気工学/コンピューターサイエンス学科のディナ・カタビ教授らは28日(現地時間)、Wi-Fiの電波を利用して、壁の向こう側を見通す技術「Wi-Vi」を発表した。

 Wi-Viは、壁の向こう側を見通すと言っても、X線写真のように、ありのままを透視するわけではなく、人間など壁の向こう側や閉じた部屋の中で動いているものを探知するための装置。同様の機能を持った装置はすでに存在するが、それらは高価で大型であり、その周波数帯の電磁波は米軍に利用が限られている。カタビ教授らが開発したWi-Viは、誰もが利用可能な短波のWi-Fi電波を利用するため、安価かつ小型に収めることができるのが特徴。

 Wi-Viは、2つのアンテナを備え、そこから発せられた電波は、壁を通り抜け、壁の向こう側にいる人間などに当たり、反射して戻ってくる。壁を通り抜けられるのは、発せられた電波の内、1%程度で、人に反射して戻ってくるのは、さらにその1%程度で、その強度は元の0.0025%程度になってしまうため、増幅器を利用している。そして、99%は壁などに反射して戻ってくるため、壁から反射したものと、壁の向こうの対象から反射したものとを区別するため、2つのアンテナからは位相を逆にした電波を送出している。これにより、壁などに反射した2つの電波は互いに打ち消し合うが、動いている人間から反射したものは、打ち消されずにレシーバで受信される。

 レシーバで受信した電波は、リアルタイムで俯瞰図に変換され、壁の向こう側を上から覗いたレーダーやソナーのような画面になる。捉えられた人間は、ぼんやりとした染みのような映像として写るが、今後より分かりやすいよう、アイコン化などしていく。

 この技術は、地震などで倒壊した建物に取り残された人を救出するためや、警察が壁の向こうに隠れた犯罪者を検知するといったことを目的とするが、ジェスチャーを認識する解像度を持っており、例えば、Wi-Viの置き場がどこであれ、寝室から手を振ると、ほかの部屋の電気を消すといった、家電用途への応用も想定。また、Microsoft ResearchのVenkat Padmanabhan氏は、リリース中で、検出装置とユーザー間の見通しに制約されない、新たなゲーム向けインターフェイスにも適用できるとの期待のコメントを寄せている。

 今回、装置の詳細な写真は公開されていないが、解説の動画によると、小型のHubを3個並べたような外観をしており、大きさは幅約22cmとしている。

解説の動画

(若杉 紀彦)