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Broadcom、PC/タブレット向けのエントリーモデルなど802.11ac対応チップを拡充
(2013/6/7 14:39)
ブロードコム・ジャパン合同会社(Broadcom)は7日、同社のIEEE 802.11ac対応製品シリーズ「5G WiFi」およびBluetooth関連の新製品に関する記者説明会を開催した。同社からは、ここ2週間ほど相次いで新製品が発表されている。
エントリー向け製品について説明した、ブロードコム・コーポレーション モバイル&ワイヤレスグループバイスプレジデントのラフール・パテル氏は、現状のインターネットトラフィックについて紹介。モバイルデバイスの普及と、動画の再生に対するニーズの高まりでトラフィックが急増しており、Cisco Mobileの調査では2010年から2017年で13倍のトラフィック増になるというデータを示した。
HD動画などのニーズにも応えられるというのが802.11acとなるが、Broadcomでは2012年から対応製品を「5G Wi-Fi」として展開。日本では3月に5GHz帯で総務省の認可が降りたが、ワールドワイドで見ても、アメリカ大陸、欧州、中国、インド、南アフリカ、東南アジアなど世界で利用可能になっているという。
また、米ABI Researchのデータでは、ワイヤレス接続される機器は2013年に20億台としており、2014年には802.11ac対応機器が半数以上を占めるマジョリティの立場になると予測している。
Broadcomが米国で5月23日に発表した「BCM43162」と「BCM4339」は、1x1(最大433Mbps転送)に対応する802.11ac対応チップで、エントリー市場に向けて投入される。前者はPC/タブレット、後者はスマートフォンを対象としており、ホストとのインターフェイスがPCI Expressか、SDIOかの違いがある。
これまでのチップとは異なりRF回路をオンチップにしたことが特徴で、RFを外付けする必要がないことから、システムレベルでのBOMコスト削減が可能になるという。ちなみに、802.11nは3x3により最大450Mbps転送に対応するが、802.11acは1x1で433Mbps転送が可能であることから、現行の802.11n/1x1(150Mbps)の置き換えを狙える。
また、PCやタブレット、セットトップボックスやTVなどの家電機器向けに、2x2(最大866Mbps転送)対応の新チップも発表。Bluetooth機能を統合したコンボチップも、米国時間の6月3日に発表。
「BCM4350」は802.11ac無線LANとBluetooth 4.0のコンボチップで、PCI ExpressとSDIO 3.0をサポート。「BCM43558」も同様に802.11ac/Bluetooth 4.0のコンボチップで、インターフェイスがUSB 3.0となる。さらにここからBluetooth対応を外した「BCM43556」も発表した。
他方、あらゆるものがインターネットを通じてコミュニケーションを行なう、いわゆる「モノのインターネット(Internet of Things)」に向けて、「WICED」(Wireless Internet Connected for Embedded Devices、ウィキッド)という組み込み向け製品群を投入する。
WICEDでは、Wi-FiとBluetooth Smartのソリューションが提供されるが、本件に関して説明を行なったワイヤレスコネクティビティコンボエンベデッドワイヤレスマーケティングディレクターのジェフ・ベアー氏は「我々がなぜWi-FiとBluetoothを提供するか、答えはシンプルだ。この世界はスマートフォンやタブレットが推進力になっている。これらに載っているWi-FiとBluetoothが重要だからだ」と説明している。
このWICEDシリーズにラインナップされる製品として、802.11n対応の「BCM4390」と、Bluetooth Smart対応の「BCM20732」を5月29日に米国で発表。いずれも必要なソフトウェアスタックやセンサーインターフェイスなどを統合したSoCで、それぞれに開発キットも提供される。