日本マイクロソフト、Windows RTの概要や互換性などを解説
~Xbox SmartGlassもデモ

11月12日 開催



 日本マイクロソフト株式会社は12日、「コンシューマ製品メディアデイ」と題した報道向けイベントを開催。同社代表者が、Windows 8発売以降の総括や、今後の展開などを説明するとともに、Windows 8やWindows RTの技術的な情報を公開した。

 イベントは2部構成で、1部では同社代表執行役社長の樋口泰行氏らが説明を行なった。樋口氏によると、10月25日の発売前夜祭に1万人以上の集客があり、その様子を報じたニコニコ動画は23万アクセスがあり、コメント数は15万、そのうちの91.2%がポジティブなものだったという。また、今後に向け、全国の量販店などの19,000人の店員に向けたWindows 8のトレーニングが完了しており、体験会も1,800回を予定しているなど、これからの立ち上がりに大きな期待を抱いていると語った。

 続いて、Microsoftで北米以外の地域を統括するインターナショナルプレジデントのジャンフィリップ・クルトワ氏が、Windows 8の現状を総括した。Windows 8の発売3日間でのアップグレード版の売上は400万本におよび、同OSの高速性やなめらかさといった要素が受け入れられた結果だとした。また同氏は、Windows 8は「Windows Reimagined(再創造)」というコンセプトの下、コンテンツ作成と消費の両方を1台でこなすことができるほか、常に人や情報とつながることができ、パーソナライズされ、SkyDriveなどクラウド連携も標準搭載していると、そのメリットを語った。

樋口泰行氏ジャンフィリップ・クルトワ氏

香山春明氏

 最後に、日本マイクロソフト執行役常務コンシューマー&パートナーグループ担当の香山春明氏が、年末商戦への取り組みを説明した。

 注力するのは、Windows 8、次期Officeの無償アップグレード、Xboxエンターテイメントの3つ。

 Windows 8については、スタート画面や、ライブタイル、アプリ&ストアという目新しさのほかにも、SkyDrive、People、起動速度、セキュリティ、マルチアカウントといったOSの基本部分についても、競合や既存製品に対する優位点として訴求していく。また、タッチに対応しないPCでも、タッチパッドやマウス+キーボードでタッチ画面と同等の操作が可能である点も周知を進める。

 Officeは次期バージョンの2013が2013年第1四半期に登場予定だが、現在Office 2010は無償アップグレードキャンペーンを実施しており、これによって買い控えの抑制を図る。なお、Office 2010プリインストールPCには、アップグレードアイコンがデスクトップに配置される。

年末商戦で注力する3本柱Windows 8で訴求する8つのポイントOffice 2010プリインストール機にはアップグレードアイコンを配置する

 Xbox 360では、FPSの人気大作である「Halo 4」が11月8日に発売されたが、年末に向けてはこういったコア層だけでなく、「Kinect: ディズニーランド・アドベンチャーズ」同梱版によってファミリー層へのアピールを強化する。同パッケージは、29,800円の「Xbox 360 4GB + Kinect」に、5,800円の「Kinect: ディズニーランド・アドベンチャーズ」をセットにしたもので、価格は24,800円となる。

 また、Xbox SmargGlassアプリによって、WindowsタブレットをXbox 360のリモコンのように使うと言った機器連携が可能になる。国内でのXbox向け動画配信の強化と合わせ、Xboxブランドをゲーム機から総合エンターテイメントサービスへと拡大する施策も推し進める。

 質疑応答では、国内での「Surface」投入について、クルトワ氏が「日本はSurfaceにとって重要な市場であり、時期は言えないが、日本にも投入予定である」と答えた。

●第2部では、Windows RTやSmartGlassがデモ

 第2部では、実際の製品を用いた展示/デモのほか、Windows 8/RTに関する短い説明会も行なわれた。

 Windows 8については、タッチ対応のタブレットやハイブリッド機に注目が集まるが、性能や、操作性などの点で、現行のWindows 7 PCに入れ替えるだけでもメリットがあるという。具体例としては、2009年のPCのOSをWindows 7から8にすることで、起動時間は32.64秒から、15.74秒へとほぼ半分に短縮。アプリの起動時間についても、30%近く高速化されるという。

 Windows RTは、ARM版Windows 8と言える存在。薄型軽量で、長時間のバッテリ駆動が特徴だが、同社業務執行役員Windows本部本部長の藤本恭史氏によると、Intelプロセッサでも低消費電力なものが登場している現在では、この点においてWindows RTマシンとWindows 8マシンで劇的な差はないという。

 明確な差としては、Windows RTではすでにConnected Standbyが実装されている点が挙げられる。これにより、Windows 8機ではスリープからの復帰に1~3秒程度かかるものが、Windows RTではスマートフォンのように瞬時であり、かつスタンバイ時でも定期的に通信を行なうことで、回線がつながる場所なら、復帰時にメールやライブタイルなどの情報が最新のものに更新されている。

 もう1つのメリットは、Office 2013 RT Previewが付属する点。マクロは使えないが、基本機能はx86版と同じなので、業務用途にも応用できる。

 国内ではASUSから「Vivo Tab RT TF600T」が11月11日に発売され、NECパーソナルコンピュータからも「LaVie Y」が11月下旬以降に発売の予定。日本マイクロソフトでは、ノートPCスタイルで余りがりがりと作業する人ではなく、カジュアルな使い方に適したものと位置付けている。

Windows 8はOS/アプリの起動が高速化Windows RTの特徴
Vivo Tab RT TF600TLaVie Y

 Windows RTでは、既存のx86デスクトップアプリは動作しないが、周辺機器については同社がインボックスドライバを用意し、ある程度の互換性を確保している。これについては、10月26日から「互換性センター」というサイトを用意し、各種周辺機器の互換性情報を提供している。

 11月12日時点では、1,993のデバイスの情報があり、このうち306件が互換性なしとなっている。ただし、互換性ありとなっていても、複合機の場合、基本的な印刷機能は使えるが、スキャナ機能が使えないなど制限があることもある。これは、Windows RTではサードパーティ製ドライバが用意されず、Microsoftのインボックスドライバしか動作しないため。ただし、デバイスアプリという形で、高画質印刷したり、インクの残量を確認したりと、機能拡張できるものもある。なお、互換性センターは、Windows RTだけでなく、7/8の情報も公開している。

 このほか、Xbox SmartGlass(以下、SmartGlass)について、国内で実機によるデモが初めて広く報道に公開された。

 SmartGlassは、タブレットやスマートフォンをXbox 360のセカンドスクリーンや一種のリモコンとして利用できるようにする機能。すでに、10月末より、PC、Windows Phone、iOS、Android用のSmargGlassアプリが配信されている。

 使い方としては、ゲームでは、Forza Horizonでマップを表示させたり、Halo 4でプレイヤーの統計データを表示させたり、Dance Central 3でプレイする曲の選択やプレイリストの作成ができる。

 動画再生時は、SmartGlass端末をリモコン代わりに利用できる。また、Xbox 360用IEもSmartGlassに対応しており、マウス代わりに画面をスクロールさせたり、ソフトキーボードを表示して、URLを入力といったこともできる。

Windows 8タブレットでのSmartGlassこのようにWi-Fi経由でXbox 360の操作をしたり、セカンドスクリーンとして利用できる

(2012年 11月 13日)

[Reported by 若杉 紀彦]