PFU、Wi-Fi接続できるiOS/Android対応ドキュメントスキャナ
~3年ぶりのScanSnap S1500後継、ストレート排紙に

ScanSnap iX500

発売中
価格:BTO



発表会場で展示されたiX500

 株式会社PFUは、ドキュメントスキャナ「ScanSnap」シリーズの最上位モデル「iX500」を11月30日に発売する。価格はオープンプライスで、直販価格は49,800円。

 2009年2月に発売した「S1500」の正統後継モデルで、新たにIEEE 802.11b/g/nによるWi-Fi接続に対応し、iOSとAndroidからのスキャンが可能なった。また、PCとの接続もUSB 3.0となり高速化した。

 Wi-FiとUSB 3.0対応にあたり、新開発のハードウェア画像処理エンジン「GI」プロセッサを新たに開発し、基板上に搭載。これによりiOSとAndroidなどのタブレット/スマートフォンにおいてもPCと同じ画像処理を実現し、JPEGとPDF形式のスキャンを可能とした。

 また、読み取り速度もカラー300dpiで25枚/分に強化。業務用イメージスキャナで培った給紙技術を反映し、ScanSnapシリーズとして初めてブレーキローラによる原稿分離方式を採用。排紙もストレートパスとなり、より多くの種類の紙やクレジットカードのようなプラスチックカードへの対応と、20万枚の耐久性を実現した。さらに、超音波方式によるマルチフィードセンサーで重送を防止できる。

 デザインはブラックを基調とし、閉じた時はインテリアにマッチする風合い、開いた時は高機能性や力強さをイメージした。排紙トレイを開くとピアノブラックのパネルとブルーLEDバックライト付きのインジケータが見え、高級感を高めた。

新製品のデザイン面特徴iX500に内蔵される基板GIプロセッサの搭載によりPC並の画像処理を実現
新開発のGIプロセッサ。デュアルコア内蔵としているスキャン速度の高速化処理の並列化により高速化を実現
給紙はストレートパスとなったストレートパスになることで、より多くの用紙への対応を実現製品の実際のストレートパス
ScanSnapシリーズ初のブレーキローラの採用ブレーキローラの実物USB 3.0への対応
Wi-Fi経由でタブレット端末で直接読み取りAndroidやiOSでもクラウドへの共有などが可能スマートフォンやタブレットでもPDF形式の読み取りが可能

 ソフトウェア面では、スキャン直後にPCで表示されるクイックメニューの操作性を向上し、新たに好きなアプリケーションやクラウドサービスを追加できる「お気に入り機能」を追加。また、名刺スキャンやレシートスキャン時は、自動的に名刺管理ソフトやレシート関連ソフトを先頭に表示する「おすすめ」機能も備える。さらに、Macではクイックメニューから検索可能なPDFに変換する機能や、Word/Excel/PowerPoint形式に変換する機能が利用できるようになった。

 また、スキャンとOCR処理は並列処理を行なうことで、検索可能なPDFの作成を高速化。一例として、A4サイズの3枚のドキュメントでは、従来36秒かかっていた処理が、iX500では約17秒に短縮できるという。名刺管理ソフトは「CardMinder」に刷新/統合され、日本語のみならず、グローバル化する企業に対応するため、英語、ロシア語、中国語など11言語に対応となった。

名刺を読み取ると、クイックメニューで名刺管理ソフトへのリンクがトップに表示されるCardMinderを起動したところ。11カ国語に対応する
Mac OSでWord/Excel/PowerPoint形式への変換が可能Mac OSではバックグラウンドのOCRに対応するDeluxeモデルでは「楽2ライブラリ Smart V1.0 with Magic Desktop」を同梱

 主な仕様は、センサーがCIS×2で、最大解像度はカラーが600dpi、モノクロが1,200dpi相当。読み取り速度はカラー600dpi時が7枚/分、150/200/300dpi時が25枚/分。読み取りサイズはA4~B6、はがき、名刺、レター、リーガルなど。A3キャリアシート利用時ではA3/B4の読み取りも可能で、最長863mmまでの長尺読み取りもサポートする。

 ADFの読み取り枚数は最大50枚。原稿は40~209g/平方m、A8以下は127~209g/平方mに対応可能。電源はACアダプタ。本体サイズは292×159×168mm(幅×奥行き×高さ)、重量は3kg。

 付属ソフトは、ドライバ「ScanSnap Manager V6.0」、PDF/JPEGファイル整理/閲覧ソフト「ScanSnap Organizer V5.0」、名刺管理ソフト「CardMinder V5.0」、「名刺ファイリングOCR V3.2」、PDF編集ソフト「Acrobat X Standard 日本語版」、OCRソフト「ABBYY Fine Reader for ScanSnap 5.0」、EMC連携ソフト「Scan to Microsoft SharePoint 3.4」、家計簿ソフト「やさしく家計簿エントリー2 for ScanSnap」、クラウドサービス「Evernote for Windows 4.5」。ドライバ、名刺管理、OCR、EvernoteはMac OSにも対応する。

 このほか、ファイリングソフト「楽2ライブラリ Smart V1.0 with Magic Desktop V1.0」同梱モデル「ScanSnap iX500 Deluxe」も用意され、直販価格は54,800円。

●2015年には年間85万台を目指す

 12日に都内で開かれた製品発表会では、同社 代表取締役社長 長谷川清氏が挨拶。「ScanSnapシリーズは2012年までに、100カ国以上で累計200万台販売された実績のあるスキャナ製品である。我々は2001年にフラットベッドスキャナの不便さを解消したADF付きドキュメントスキャナとして、初ScanSnapブランドの“fi-4110EOX”をリリース。PCに紙のコピーを取るような感覚で、オフィスにある大量のドキュメントの電子化を実現してきた」とした

 また、「HDDの大容量化と高速化、そしてブロードバンドの普及により、イメージデータがより扱いやすくなった2007年には、Scan to Mail、Scan to Folderといったイメージデータを有効活用する機能を追加。モバイル環境が普及した2009年~2010年にかけては、小型の“S300”や350gの“S1100”を投入した。そして2011年には、SugarSyncやEvernote、Dropboxなどを台頭とするクラウドサービスとの連携を図るなど、常時ユーザーのニーズに応える製品を投入してきた」などと語った。

 そして2012年は、スマートフォンやタブレット端末といった「デバイスのスマート化」のトレンドを踏まえて、Wi-Fiを搭載した今回のiX500を投入。社長自らタブレット端末で、紙をすぐにスキャンし電子化できることをデモし、利便性の高さをアピールした。

代表取締役社長 長谷川清氏ScanSnapのこれまでの実績ScanSnap登場前はオフィスにおける紙ドキュメントの管理が課題になっていた
フラットベッドスキャナによるスキャンは手間がかかり、読み取れる画像も1枚1ファイルだった同社初のドキュメントスキャナ「ScanSnap fi-4110EOX」2007年の業界のトレンド
メールやフォルダへの保存を積極的に行なうことでブロードバンドやHDD容量を活用モバイルニーズの高まりに沿って開発された小型/超小型モデルクラウドサービスへの対応
スマートデバイスの普及に対応するのが新モデル投入の目的より便利で簡単に使える製品群の実現

 製品の特徴や販売戦略について説明した同社 取締役専務 宮本研一氏は、「ScanSnapシリーズは、簡単・コンパクト・スピーディ、そして『ワンタッチ』への追求をしてきたが、新製品はその基本コンセプトを踏まえて開発した。GIプロセッサの搭載で、これまでPCで行なっていた画像処理機能を、スキャナ本体に内蔵することで、ScanSnapならではの画質や機能性を維持しつつ、タブレット端末に直接PDFやJPEGで保存ができるようになった。また、OCR処理の並列化により快適なスキャンを実現し、さらには業務用スキャナ技術の搭載により、安定給紙を実現するとともに消耗品によるランニングコストを半分以下に抑えた」などと紹介し、ScanSnapが追い求めてきたコンセプトを忠実に再現したことをアピールした。

 また、iPadをはじめとするタブレット端末の普及により、ユーザー自身が手持ちの書籍の電子化(いわゆる自炊)を行なう機会が増え、ScanSnapの販売も約2倍に伸びたという。市場全体で見ても、年平均伸長率は10%であるという。宮本氏は「今回の新製品の投入により、PCがない家庭内環境においてもスキャンによる利便性を訴求できるようになった。これにより市場平均伸長率10%を上回る20%を目標に、2015年にはグローバルで85万台規模(国内では30万台)の販売を行なって行きたい」と意気込みを語った。

宮本研一氏ScanSnapのコンセプト
ドキュメントスキャナの平均市場予測より広い層へのScanSnapの訴求ScanSnapシリーズの販売目標

 質疑応答では、現行の下位モデル「S1300」、「S1100」へのWi-Fi対応時期についての質問がなされ、これについては「もちろん対応する予定はあり、時期的に近い将来」との解答があったが、具体的な時期の明言は避けた。

歴代ScanSnapシリーズも展示された歴代ScanSnapの推移初代ScanSnapとなるfi-4110EOX
2004年2月投入の「fi-5110EOX」2007年1月投入の「S510」2007年10月投入の「S300」
2008年4月投入の「S300M」2008年4月投入の「S510M」2009年2月投入の「S1500」
2009年2月投入の「S1500M」2010年11月投入の「S1100」2011年2月投入の「N1800」

(2012年 11月 12日)

[Reported by 劉 尭]