日立マクセル株式会社は3月2日、2月25日より発売中のWi-Fi対応SDカードリーダ「AirStash」に関する説明会を本社において実施した。
AirStashは、USBコネクタを備えPC上から通常のSDカードリーダとして使えるほか、IEEE 802.11b/g/n対応無線LANおよびバッテリを内蔵し、別途iOS用のアプリを利用することで、Wi-Fi経由でSDカード内の動画/写真/文書データにアクセスできる。
バッテリはUSB接続時に充電され、約7時間の駆動が可能。対応メディアはSD/SDHCカードで、最大32GBまでをサポート。体サイズは33.2×92.5×13mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約41g。
キャップ付きで、SDカードリーダよりはやや大柄の筐体 | 本体後部にSDカードスロットを備える | 小原浩志氏 |
説明会の冒頭では、同社 グローバル商品開発本部 商品部 部長の小原浩志氏が挨拶。「我々は2011年から、スマートフォン向けに“ちょっと嬉しい、ちょっと楽しい”をコンセプトとした商品開発を行なってきた。iPhone/iPadのスタンド、液晶フィルム、補助バッテリなどをリリースしてきたが、AirStashはそのコンセプトを踏襲した製品である」と紹介した。
2012年初頭のInternational CESでAirStashを発表して以来、北米では良い反響を呼んでおり、売れ行きも順調に伸びているという。今回、日本市場へ投入するわけだが、世界では2番目になる。
善斉数之氏 |
続いて、同社グローバル商品開発本部 商品部 企画グループ 主任の善斉数之氏が製品の機能を紹介した。
本製品は先述の通り、iOS上からWi-Fi経由でSDカード内の写真/動画/文書データにアクセスできるが、善斉氏は1つずつ具体的に例を挙げ、AirStashのメリットを訴求した。
AirStashでできること | AirStashの利用イメージ |
写真においては、一眼レフカメラで撮った写真をすぐiOSデバイスなどに転送して、Twitterなどへ投稿できるようになる。これによりFacebookやTwitterへ「~なう」と現状を友達に伝える際に、iOSデバイス内蔵カメラより高画質な写真で共有できるようになる。
また、競合と想定される「Eye-Fi」や「FlashAir」との比較では、デジカメから一旦取り出す手間が増えるものの、アドバンテージとしては、使い慣れたSDカードやSanDisk製の高速製品などをそのまま流用できること、デジカメ側のバッテリを消耗せずに使えること、そして後述する動画/音楽/文書の共有機能などを挙げた。
写真の共有機能 | 一眼レフやデジカメで、iOSデバイスより高画質で写真を共有できる | AirStashで共有されている写真を閲覧しているところ |
動画共有では、iOS上で再生できるものであれば対応でき、複数台で同時にアクセスできる(ただし動画のビットレートなどに注意する必要がある)。iTunes経由で転送する必要がないのもメリットとした。
なお、写真と動画については、International CES発表後に専用アプリがアップデートされ、iPhoneの「写真」(カメラロールなど)内の写真と動画をAirStashにアップロードする機能を追加した。これも複数人で集まった時の写真/動画共有において有効だとした。
動画の共有機能 | 動画を再生しているところ |
International CES発表後のアップデートで、iOSデバイス内の写真や動画をAirStash側に転送できるようになった |
文書共有では、PDF文書の閲覧をはじめ、Word/Excel/PowerPoint/テキストデータも閲覧できるよう、独自のビューアを内蔵する。本来こうしたデータをiOSデバイスに転送するためには、クラウドサービスを利用するなど、ちょっとした工夫が必要だが、AirStashならSDカードにコピーするだけで容易に利用できるとした。
文書の共有機能 | PDFデータを閲覧しているところ。ただしiPhone内蔵の機能を使っているため、縦スクロール専用となる | Excelのデータを閲覧しているところ。デバイスによってはレイアウトがやや崩れる場合もあるという |
このほか、MP3/AAC/Apple Lossless/AIFF/WAVデータなどの音声も再生できるようになっている。
説明会の最後で「One more thing...」として紹介されたのが、Webブラウザ経由でもAirStashのファイルをブラウズできる機能。本体にWebサーバー機能が盛り込まれており、URLに「http://airstash.net」を入力するとファイルをブラウズできるようになっている。当然だが、Webブラウザ側が対応していればそのまま写真や動画、各種文書の再生/閲覧が可能だ。現時点ではうまく動かない端末もあるため、大々的に謳われていないが、ファームウェアのアップデートで順次改善していきたいとした。
このほか、今後のアップデート予定などについても触れた。Android専用アプリは、2012年春のリリースを予定。また、現時点ではアドホックモードでiOSデバイスと直接接続する「DirectLink」モードをサポートしているが、将来的にファームウェアのアップデートにより、ルータ経由でインフラストラクチャーモードで接続できる「SideLink」モードをサポートする予定とした。
製品の主な仕様 | リリースに盛り込まれていないが、実はWebブラウザ経由でアクセスできる機能を搭載している |
なお、バッテリ駆動についてだが、USB機器へ充電できるACアダプタや、eneloop Mobile BoosterのようにUSB端子がついているバッテリなどを利用することで、バッテリ駆動時間を延長できる。ただしPCと接続すると自動的にWi-Fi機能が無効となりSDカードリーダとなるため、PCに接続しながらWi-Fi機能は利用できないとした。
(2012年 3月 2日)
[Reported by 劉 尭]