株式会社MetaMoJiは、手書き入力に対応したiPad向けメモソフト「7notes」をApp Store上で販売開始した。価格は1,500円。2月末まではキャンペーン価格として900円で販売する。なお、サポートはMetaMojiの100%子会社である株式会社7knowledgeが行なう。
●手書き入力機能の特徴記者説明会で機能説明を行なった 共通アプリケーション開発部 部長の植松直也氏 |
手書きでの入力を前提とした汎用メモソフト。手書き入力方式に独自の「mazec(マゼック)」を採用し、1文字1枠といった従来の制限にとらわれず好きな大きさで書けるのが特徴。また、手書き文字をそのまま入力する「書き流し入力」と、画数の多い漢字や思い出せない漢字をひらがなとして入力し、漢字と交えながらでも変換できる「交ぜ書き変換入力機能」を備える。
7notesならではの特徴としては、この書き流し入力モードにおいても1文字単位でデータを取り扱い、フォントサイズや書式スタイルの変更が行なえる。このため手書き入力においても文字単位での強調が可能になり、これまでにない文書の表現が可能になるという。
一方、交ぜ書き変換入力モードは、例えば「会議」と入力する場合、「会議」、「かいぎ」、「会ぎ」、「かい議」のいずれのように入力しても、「会議」へ漢字変換することができる。なお、変換にはOpenWnnの辞書を用いているが、インターネット上の新単語などをMetaMojiが独自に整理し、チューニングを施している。
また、同様にローマ字や数字などの入力においても、前後のパターンから自動的に判断し、適切な変換を行なうようになっている。一例として「2011/2/3」といった日付を入力する場合、「11/」まで入力すると、「ツ」として認識してしまうが、「2/3」を続けて入力することで、自動的にそれが日付だと判断され、適切な変換が行なわれるようになっている。
なお、「書き流し入力モード」と「交ぜ書き変換入力モード」はボタンで切り替えられるようになっており、メモでは2つのモードを混在できる。また、変換を行なわずにひらがなから漢字を検索する辞書機能も搭載する。
入力のスペースは、手書きとペン入力の2種類に配慮し2つのモードを用意。前者では画面の約半分、後者は画面の約3分の1のスペースといったように、1ボタンで切り替えられる。また、ノートライクな使い勝手を実現するために、ベースラインを表示しているが、英文の小文字入力にも配慮し、ベースラインをやや上に上げるモードも備える。
●編集機能
編集機能としての特徴は、上記に挙げた手書き文字の1文字ずつの編集に加えて、編集内容ブロックごとに分けて上下に移動できる「ユニット」の要素を取り入れ、上下に並べ替えられる。また、文書作成時に縦に2コラムまたは3コラムに分ける機能を搭載し、アイディアプロセッサのように、見出しをつけたり、要素を並べ替えたりして情報の整理に役立つ(ただしアイディアプロセッサのようなツリー構造は持たない)。
ユニットは文字のほかに、URLのクリップや画像を挿入することも可能。URLはクリップ時のスクリーンショットを撮るため、その万が一URLが更新されたときや変更された時でも本来の内容を保持できるようにした。また、URLのクリップと画像はいずれもピンチイン/アウトによる拡大/縮小が可能。
文字などの要素は「ユニット」と呼ばれる単位で編集できる。ユニットは自由に追加したり移動したりできる | ライブラリから写真を挿入し、「イメージユニット」として扱うところ。ピンチイン/アウトで拡大縮小できる | ホームページのURLもユニットとして追加できる。クリップはその時のスクリーンショットも撮られる |
●ファイル管理機能/共有機能など
メモの管理は、基本的にタグ付けして行なう。タグは色やジャンルを設定でき、1つのメモに複数のタグ付けをすることもできる。メモ管理の「キャビネット」画面では、指定したタグをすべて含む、指定したタグを除く、指定したタグのいずれかを含むといった条件で検索して絞り込むことができる。
インターネットに接続可能な環境であれば、メモを保存した時点で同社のクラウドサービス「デジタルキャビネットサービス」と自動的に同期が行なわれる。現時点でこのサービスの容量上限は2GBで無償で利用できるが、2011年5月から「プレミアムコース」を開始し、月額500円または年額4,900円で容量10GBまで利用できるようになる。
1,000個程度までローカルにキャッシュを持つため、インターネットに接続できない環境でも、文書の新規作成、およびキャッシュされている文書の閲覧や編集が可能。また、メモを印刷したり、PDFとして保存してメールに添付し、共有したりするこも可能。
なお、1つのメモの容量は特に上限を設けていないが、iPadのワーキングメモリの制限から、1つの文書あたり約1MBを想定している。テキスト文書だとかなりの量だが、手書き文字だとベクターデータになるため、およそ1,000~2,000文字程度になる。ファイルフォーマットに関してはHTMLをベースとしているが、現時点では7notes専用のものであり、PCなどでは閲覧できないようになっている。
キャビネットの画面 | 複数のタグ付けをしたりすることでメモを整理する | タグは自由に追加したり色を編集できる |
タグによってメモを絞り込んだところ | メモの印刷やメールの添付なども可能 | オンラインであれば、デジタルキャビネットサービスと自動的に同期される |
●コンピュータを人に近づかせる製品
2月3日に都内で開かれた製品発表会では、MetaMoji代表取締役社長の浮川和宣氏が挨拶。「近年は従来のPCだけでなく、スマートフォンのようなデバイスも登場し、コンピュータは人々の生活の中で欠かせないものとなった。その中でコンピュータが、いかに人々の生活の中に役立てられるようにするかが、MetaMojiを立ち上げたきっかけである。2010年5月にiPadが登場し、我々は“これならコンピュータと人の距離がさらに縮まり、使えるものだ”と思った。しかしそれはハードウェアとしての完成度であり、ソフトウェア面ではまだまだ改善の余地があるように思った。今回の7notesは、そのソフトウェアの改善にかける思いの第一歩だ」と語った。
同社代表取締役専務の浮川初子氏も「我々がiPadを最初に手にしたとき、これは生活のあらゆる局面において活躍できるハードウェアだと確信した。一方ソフトウェアについては、MetaMojiが溝を埋める役割だと自負している。その第一歩として、これまで多くの人がペンと紙でしていたメモをデジタル化できるソフトを開発した。この自然なインターフェイスによって、コンピュータと人間の距離がより一層近くなったと確信している」と説明した。
発表会では、浮川和宣氏自らデモを行ない、「7notesとmazecで追求したのは手書きによる日本語入力の快適さそのもの。漢字とひらがなは、ほかの言語と比較して複雑であり、莫大なパラメータで、曲線補完などを行なう必要がある。今回の開発ではiPad上で快適な速度を実現するのに苦労をしたが、その代わりあたかもペンと紙のように入力できる快適性を実現した」と話した。
浮川和宣氏 | 浮川初子氏 |
浮川和宣氏自らiPadを使って7notesをデモした | iPadのハードウェアとしての使いやすさ |
(2011年 2月 3日)
[Reported by 劉 尭]