シャープ株式会社は20日、次世代「XMDF」ソリューションに関する説明会を都内で開催し、年内に電子書籍事業に参入することを明らかにした。
次世代XMDFは、縦書きやルビといった日本語ならではの表示環境を重要視した従来のXMDFフォーマットをさらに発展させたもの。テキストや静止画に加えて動画や音声が楽しめるほか、コンテンツの電子化においてはInDesignのデータを一気に変換できる点などが特徴であるとしている。
発表会で登壇した執行役員 情報通信事業統括 大畠昌巳氏は、従来のXMDFフォーマットが日本の書籍文化を踏まえたフォーマットであるとし、国内では携帯電話事業社を中心に7,000万台以上の端末への採用実績があると紹介。省メモリ/高速アクセスなどのメリットや、日本語特有の縦書き/ルビなどの表現への対応といったXMDFの優位性を紹介した。
その上で、従来のXMDFはケータイ向けの小説といったテキスト系、コミックのような画像系が中心であったが、端末のディスプレイの大型化、高精細化、インフラの進展など環境の変化により、インタラクティブ性や動画や音楽など表現力の向上、紙の本と同時に発行できるリアルタイム性などさまざまなニーズが求められるようになったと指摘。これらに応えるのが次世代XMDFソリューションであるとした。
次世代XMDFソリューションについて、「リッチなコンテンツを効率的に作成可能」、「紙媒体と同時に電子化(サイマル配信)」、「自動定期配信」、「高精細画面を活かした豊かな表現力」、「ワンソースマルチユース」といった5つの特徴があるとコメント。中でも、コンテンツを電子化する流れについては、InDesignのデータを一気に変換できる自動化コンバータにより、版下出力と同じタイミングでXMDFファイルを生成することで、紙の書籍と同時に配信するサイマル配信も可能であるとした。
また、動画や音声の挿入はもちろん、レイアウトを変えないまま文字サイズのみを変更することで読みやすくする機能を搭載。さらに、1つのコンテンツを電子ブック専用端末だけではなく、スマートフォンやネットワークTVなど、さまざまな画面サイズに最適化するワンソースマルチユースも実現したとしている。今後はこれら新しいビジネスモデルを電子教科書やeコマースなど多様なサービスにも広げていきたいとし、すでにさまざまな事業者への提携を打診していることを明かした。
発表会では、シャープエレクトロニクスマーケティング カンパニーオブアメリカ 家電マーケティング本部長 ボブ・スキャグリオン氏も登壇し、海外展開の第一弾となる米国での展開についても言及。パートナーとして交渉中とされる、米ベライゾンワイアレス社のバイスプレジデント、アンソニー A.ルイス氏からのビデオレターも紹介された。
このほか発表会では、詳細は未定としながらも、年内のサービス開始に合わせてタブレット端末2製品を投入されることが明らかにされた。
(2010年 7月 20日)
[Reported by 山口 真弘]