マイクロソフト、下半期の公共事業向け事業方針を発表

マイクロソフト大井川和彦氏

2月10日 発表



 マイクロソフト株式会社は10日、2010年1月からスタートした同社下半期(2010年1月~6月)の公共向け事業方針の説明会を開催した。

 公共事業を担当する同社執行役常務パブリックセクター担当の大井川和彦氏は、「上半期のパブリックセクター向けビジネスは、自治体向けは厳しいものの、ヘルスケア分野(医療向け)は前年比15%増、教育分野も15%増と好調となっている。企業市民活動として取り組んでいる自治体支援については、上半期(2009年7月~12月)は地域活性化協働プログラムとして高知県、佐賀県、鳥取県、徳島県の4県と地域活性化協働プログラムを締結することができた」と上半期の公共向け事業の実情を明らかにした。

 下半期についてはビジネス分野では、以下の3つの分野に注力する意向だ。

 (1)自治体分野=予算が厳しく、IT予算もカットされPCの耐用年数を延ばすなど一部のコスト削減に終始する自治体が多いが、本当に適切なコストカットが実現されているのか、全体最適が実現できているのかなどを提案。住民サービス向上につながるIT活用を海外での事例の紹介など地域活性化を支援

 (2)ヘルスケア分野=これまでの病院向け業務ソリューションや電子カルテではなく、病院内や地域の診療所と病院との連携などさまざまな人が連携して取り組むチーム医療実現に向け、SharePointやExchangeなどを利用したコミュニケーション、コラボレーションを強化する仕組みを提案

 (3)アカデミック分野=高等教育機関との連携によるITを活用した教育環境整備を通じた人材育成、初等中等教育機関との連携による学校と家庭をつなぐシームレスなIT環境による先進的な教育環境の実現

本日の会見タイトルパブリックセクター(公共)ビジネス下半期の注力分野

 特にアカデミック分野について大井川執行役常務は、「政府の原口総務大臣に、マイクロソフトが実証実験を行なっている東京都港区立青山小学校を見学してもらい、タブレットPCを活用した学習現場を見てもらった。友達に意見をもらい、議論を引き出すといったことがICT(情報通信技術)によって実現している様子に、ICTの持つ可能性を実感してもらうことができた」と地方自治体だけでなく、政府にもICT活用の可能性をアピールしていることを明らかにした。

 こうしたビジネスと共に、マイクロソフトが企業市民活動の一環として取り組んでいる地域活性化協働プログラムは、ビジネスとは切り離して地域活性化支援を目的として実施している。

 2009年度は、(1)地域において持続可能で自立的な体制を確立し、地域でITを学び、活用できる人材の育成、地域産業振興につながるITベンチャー企業の育成、(2)人口減少、少子高齢化が著しく進展し、新産業創出に積極的な自治体と連携を基本方針としている。

 「マイクロソフトでは講師の派遣、コンテンツの提供を行なうが、地域で自立的な活動とするため協力期間は1年間に限定。自立的活動ができる礎を作ることを目指している。昨年は経済環境が厳しかったこともあり、経済的に厳しい自治体を中心にプログラム提供を行なってきた。」(大井川執行役常務)

 佐賀県では、シニアのICT活用を支援するために「佐賀ICTビジョン2008」を実施し、500人が参加したセミナー開催や教育ができる人材40人程度を育成し、地域のシニアネット会員の増加といった成果を出すことに成功した。

 鳥取県でも同様にシニア支援を実現し、高知県では地域のITベンチャー支援を行なった。

 2010年についても同様に自治体との連携を実施する計画で、「現段階では3つの自治体との覚え書き締結を予定している。1つ目の提携は近日行なう予定」(大井川執行役常務)としている。

ビジネスではなく企業市民活動として実施している地域活性化協働プログラムの2009年度基本方針昨年実施したプログラム連携自治体と連携内容佐賀県での活動実績
鳥取県での活動実績高知県での活動実績その1高知県での活動実績その2
2010年度に実施予定の自治体連携の方針

(2010年 2月 10日)

[Reported by 三浦 優子]