マイクロソフト、鳥取県と地域活性化に向けた包括連携を締結
3月26日 発表 マイクロソフト株式会社は、鳥取県とICT利活用の促進を通し、鳥取県のさらなる発展に向けて連携していく包括的な協定を結んだ。 具体的に実施するプログラムは、(1)ITベンチャー支援プログラム、(2)NPOキャパシティビルディングプログラム、(3)高齢者向けICT利活用促進プログラム、(4)ICTスキルアップオンライン、(5)ICT活用ゲートウェイプログラムの5つ。1年間の期限限定でマイクロソフトが支援を行なう。 今回の協定を行なう背景について、マイクロソフトの樋口泰行代表執行役社長は、「マイクロソフトでは約5年前から各自治体と個々のプログラムで連携を行なってきた。その成果をベースに、今回のような包括的な連携を佐賀県、高知県で発表しており、今回の鳥取県は3例目となる。ビル・ゲイツは社会貢献活動に専念しているが、マイクロソフトとしても会社としてきちんと社会に還元する企業市民活動を実施していく。経済環境がよい時期でも、悪い時期でも変わることなく行なっていくのがポリシーで、ビジネスと切り離した形で自治体との連携をしていく」と説明した。 鳥取県の平井信治知事は、「鳥取県は県の横断する国道9号線を活用し、情報ハイウェイを構築したことで、各市町村まではインフラが整っている。また、学校へのPC導入も早く、eラーニング導入なども率先して行なってきた。ただし、本来ならば地方であってもビジネス化できるはずのソフトビジネスが育成できていない。さらに、学校現場では導入された機器の利活用をリードする人材が足りないといった課題を抱えている。今回の連携で、我々だけでは足りなかった部分をカバーしてもらうことができるのではないか」とマイクロソフトとの連携への期待を寄せた。 連携を行なう記念として、樋口社長と平井知事、鳥取県教育委員会・中永廣樹教育長の3人が調印書に署名を行ない、今後1年間の連携の成果を祈ってがっちり握手した。
その後、プログラムの1つであるITベンチャー支援プログラムの認定書授与式が行なわれ、プログラム採択企業となった株式会社アクシスの坂本直社長、アカデミアシステムズ株式会社の鈴木元社長、田川尚士氏、準採択企業となった株式会社ITTRの名波俊兵取締役、井上法雄取締役、株式会社LASSICの妹尾範康氏、田島廣康氏が、樋口社長と平井知事から認定書を手渡された。 ベンチャー支援プログラムに採択された企業は、鳥取県内のIT産業底上げを目標にした支援を県及びマイクロソフトから受けることになる。 鳥取県内の小・中・高等学校及び特別支援学校の教職員を対象にした研修制度「ICTスキルアップオンライン」は、マイクロソフトとICTプログラム協議会が共同開発したeラーニング型教職員向け研修カリキュラム。このプログラムを活用し、教職員のICTスキルアップを実施する狙いについて、鳥取県教育委員会・中永廣樹教育長は、「教職員のICTスキルアップ向上によって、各学校に導入されているハードウェアを有効活用し、学校で利用する教材プログラムの改良に取り組むことができるような人材を増やしていきたい」と話した。 鳥取県内のNPO法人などを対象に、経営ノウハウやIT習得を支援する「NPOキャパシティビルディングプログラム」、県内の高齢者がICTスキルを習得できる地域コミュニティを育成する「高齢者向けICT利活用促進プログラム」を実施する狙いについて、鳥取県 企画部 協働連携推進課 秋元竜氏は次のように説明する。 「昨年12月に鳥取県の将来ビジョンが策定され、地域で地域をもっと活性化していく必要性があるとされたが、その際に欠かせないのが道具としてのIT。NPO法人では、申請書類の作成などの作業を手書きからPCを使ったものへの転換などを実現し、シニア向けプログラムではシニアがシニアにICT講習を行なえる人材を育成していくことを計画している」 シニア向けプログラムでは、佐賀県で利用されている教材を活用し、県内のシニアネットの人材を活用し、講師育成を行なう計画だ。1年間で10人程度の講師が行なえるスキルを持つ人材を育成し、継続的にシニア向けPC講習が行なえる体制を確立する。 自治体との連携業務を担当するマイクロソフトの大井川和彦執行役常務は、「1年間という期限を区切って支援するのは、常に無償で受けるサポートを宛にした自治体支援は健全ではないという考えからだ。1年後に我々がいなくなってもプログラムが回っていくような人材育成を実現していくのが今回の連携の最大の目標といえる」と、鳥取県と一緒になって恒常的にICT利活用を推進する人材を育成していくことの重要性をアピールした。
□マイクロソフトのホームページ (2009年3月27日) [Reported by 三浦優子]
【PC Watchホームページ】
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