エイサー、「2011年に日本で5位以内のシェアを目指す」

「日本のパソコンは高すぎた」という同社のメッセージ

1月27日 開催



同社代表取締役社長のボブ・セン氏

 日本エイサー株式会社は27日、記者向けの製品戦略説明会を都内で開催し、市場の現状、および今後の同社の目標について説明を行なった。

 発表会の冒頭では、同社代表取締役社長のボブ・セン氏が挨拶。同氏は、「2009年は、PC業界にとって、厳しい1年であった。我々も目標まであと一歩というところだった。しかし、2009年は我々にとって重要な年であった。なぜならば、PC全体のシェアでDellを追い抜き、2位を達成したからだ」と振り返った。また、日本におけるマーケティングも、消費者の認知度を高め、市場の拡大に成功した。

 一方、ワールドワイドのモバイルPCに注目すると、Acerは19.27%のシェアを達成し、1位のHPに迫る出荷台数を実現した。これはネットブックの「Aspire one」と、CULV CPU搭載のライトノート「Aspire Timeline」による貢献が大きい。セン氏は、「ネットブックとライトノートによって、我々は、市場破壊、価格破壊だと言われることが多いが、我々は価格だけで勝負しているわけではないことを強調したい」とする。

世界市場におけるシェアの推移。Acerは2009年でDellを抜いた日本におけるシェアの目標モバイルノートPCにおける世界シェアの推移

 その理由の1つとして、「Acerはシェアを成長させるために赤字営業をしているわけではない。我々の直近の決算で年間3%の利益を出しており、低価格はサプライチェーンとチャネルのマネジメントによって実現したものである」とした。

 また、2つ目としては、「実はAcerが最安というわけではない。ワールドワイドで展開しているメーカーで、我々と同スペックの製品を並べてみれば、我々より安いところは存在する。我々はあくまでもユーザーのニーズに応えた製品、価格のバランスを設定しているだけである」と説明した。

Acerの中長期的な目標

 これらを踏まえた上で、中長期的な目標として、「2010年の世界におけるモバイルPC市場で1位、2011年の日本におけるPC市場全体で5位以内、2012年の世界PC市場全体で1位を目指したい」と語った。


●誰もが購買を検討できる低価格
瀬戸和信マネージャー

 続いて、日本エイサー株式会社 マーケティング部 マーケティングコミュニケーション課 マネージャーの瀬戸和信氏が、日本における製品戦略を説明した。

 同氏はまず、日本市場における2009年を振り返り、「エイサーはシェア約6%、コンシューマのみで見た場合9%に上がった。また、CULV CPU搭載ノートPC市場シェアにおいては27%、日本国民の2.3人に1人はエイサーブランドを認知している結果となり、2007年と比較して結果が大幅に向上した」とした。

 比較的近い目標として、PC市場シェア7%を目指しているが、そのためにはモバイルに注力したラインナップで展開していきたいとする。そのためには、「10.1型以下のネットブックを柱に、ワンランク上を目指す人のための11.6~13.3型のライトノート、そして市場が最も大きい、我々にとって今後もっとも注力すべき15.6型以上のノートブックの3種類のラインナップで、シェアを牽引していきたい」とした。さらに2010年後半には、スマートフォンも投入する意向を示した。

同社が2009年に達成したことネットブックを主軸とする製品展開

 特にネットブックに関しては、既に世界で36%のトップシェアを獲得しているが、今後も引き続き注力していきたい分野とする。その理由として、ネットブックはPC市場の拡大と加速をさせる要素としてだけでなく、2台目需要に対する補完市場の形成、そしてユーザーとPCとの接触時間を拡大し、インターネットをもっとも身近な存在にさせるための重要な役割を果たすからだとした。

 一方、CULV CPU搭載の、同社が「ライトノート」として位置づけられている製品も、重要な市場だとする。日本のノートPC市場の平均単価を、画面サイズ別に見ると、10.3~14型未満の平均が135,960円であるのに対し、エイサーは64,342円と、71,618円も安価であることを強調する。

ネットブックの重要な位置づけライトノートの登場により、低価格モバイルのニーズへ応えた

 同氏は、「1年前は、薄く軽く、そして8時間のバッテリ時間を持つ10万円のノートPCが存在しなかった。ユーザーに実際そういうニーズがあったとしても、メーカーはそれにまったく応えられなかった。しかし我々が2009年4月にいち早くライトノートを投入することで、このニーズに応えられるようになった。今後も積極的に新製品の投入を継続していきたい」と語った。

国内競合メーカーとの同スペック搭載PCとの価格比較

 一方、15型以上のスタンダードノートPCに関しても、日本においては根強い需要と市場があるとし、「我々はこのクラスの製品に対しても、少ない費用で高い能力を提供する」と説明。競合する国内メーカーの、ほぼ同等のスペックを持つノートPCを引き合いに出し、「我々はほぼそれらの2分の1の価格で、同等のスペックを実現している」とした。

 しかし、その低価格を実現しても、“最安ではない”ということを強調する。「ワールドワイドで見れば、我々よりさらに安い価格で提供しているところもある。我々の価格は“世界の標準的な価格”にしか過ぎなく、日本のPCの平均価格が高いだけだ。我々は世界の標準的な価格を、日本のユーザーにもたらしたいと思っている」と語った。


ユーザーアンケートにより、価格に続いて、処理速度とアフターサービスへのニーズもあることがわかった

 それでも、なぜ価格について強調するかというと、「量販店でユーザーアンケートをとった結果、購入する際に最も重視するのが価格(57.8%)であったからだ」とする。しかし2位にはCPUの処理速度(39.9%)、3位には信頼性とアフターサービス(30%)が上がってきており、これらもエイサーとして取り組んでいるものだとした。

 ことアフターサービスに関しては、「24時間/365日のサポートは、日本のみで展開している」とする。さらに、パームレスト部へのサポート電話番号シールの貼付や、100%日本人電話対応なども展開しており、「我々が価格のみならず、価格性能比を重視しているのがお分かりいただけると思う」とした。

 瀬戸氏は、「すべての日本人へ、高性能なモバイルを提供したい。そのためには、誰もが購買を検討してもらえるる低価格を実現しなくてはならない。それが我々の使命であり、今後我々の日本におけるシェアを伸ばす上で重要なメッセージだと考えている」と語った。

パームレストにサポートの電話番号シールを貼付し、“マニュアルを探して、その中で電話番号を探すといったユーザーの手間を省く「すべての日本人の肩へ、高性能なモバイルを。誰もが購買を検討できる低価格」を訴求する

 最後に、2010年2月にバンクーバーで開かれる冬季オリンピックで、AcerのPCが約6,000台使われること、そしてAcerは台湾のモノづくりとイタリアのブランドが融合したメーカーであることを述べた。

バンクーバーの冬季オリンピックで6,000台のAcer PCを導入オリンピック記念モデルも発売したモノづくりの台湾とイタリアのブランドとのコラボレーションによる企業イメージを打ち出す

 質疑応答で、他のPCメーカーのように、BTOの手段を用いて、ユーザーの細かいニーズに応えるような製品ラインナップの展開予定の有無について尋ねたところ、セン氏は、「我々はAcerブランドだけでなく、GatewayやeMachinesというマルチブランドで展開している。他のメーカーとは違うアプローチで、幅広いユーザーのニーズをカバーしていきたい」と答えた。

発表会場では発表済みの春モデルを一斉に展示した

(2010年 1月 27日)

[Reported by 劉 尭]