インテル株式会社は15日、記者会見を開催し、取締役副社長の宗像義恵氏が2009年の業績、および2010年の事業展開などについて説明した。
2009年通期では、売上高が前年比7%減の351億ドル、営業利益が同36%減の57億ドル、純利益が同17%減の44億ドル、1株あたり利益が同15セント減の77セントと、やや厳しい結果に終わった。
一方、2009年第4四半期の決算は、売上高が前年同期比28%増の106億ドル、営業利益が同62%増の25億ドル、純利益が同875%増の23億ドル、1株あたり利益は同36セント増の40セントに好転した。この成長の要因としては、サーバー系ではXeon 5500へ、コンシューマ系ではAtomからCULVへ需要が移り始めたことなどがあるという。
今回の業績について宗像氏は、2009年は経済環境が不透明な中スタートしたものの、後半から徐々にではあるが回復の兆しが鮮明になってきたとの感想を述べた。また、2009年初めに32nmプロセスの量産に向け、70億ドルの投資を行なったのと同様、2010年も研究開発に62億ドル、設備投資には約48億ドルを投じる計画であることを語った
2010年に関して、インテル日本法人では、1) 日本PC市場の拡大、2) 国内PCメーカーの海外事業の展開支援、3) PC以外の成長分野への取り組み、という3つの点に力を注いでいく方針を明らかにした。
1)については、ネットブックからCULVへの移行に見られるように、モビリティへの需要が大きいとして、この分野に注力する。PC本体だけでなく、2009年7月に商用サービスが始まったモバイルWiMAXなど、周辺インフラについても積極的に普及を推し進めていく。
2)については、特にBRICsなど今後、市場の拡大が見込まれる新興国へ国内PCメーカーが展開を図れるよう後押ししていく。国内メーカーは強いブランド力を持つので、インテルが持つワールドワイドの拠点を活用して、支援プログラムなどを実行していくという。
3)については、デジタル家電や組み込みシステムへのIA普及を図っていく。サーバー、PC、携帯電話へと展開したように、ネットへ繋がる機器は今後、数だけでなく種類も増加する見込みで、2015年には150億台の機器がネットにつながるようになるという。その中でもインテルは、産業用組み込み機器、車載インフォテイメント、デジタル家電といった分野への参入を目指す。
最後に宗像氏は、低電圧CPUや、タッチセンサー、LED液晶など新しい製品を創ることが、新しいニーズを生み、ひいては新しいビジネスをもたらすとし、今後も業界と協力しながら、IT技術革新に努める。また、医療や教育、環境と言った社会的テーマにも今まで以上に積極的に取り組んでいきたいとの抱負を語った。
(2010年 1月 15日)
[Reported by 若杉 紀彦]