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東芝 PC事業の行方、第1四半期までにVAIO/富士通と再編の意向

〜全社収益の柱としてメモリ事業に注力

東芝 代表執行役社長の室町正志氏

 東芝は、2016年度事業計画を発表し、その席上、同社の室町正志社長が、PC事業の構造改革および再編の状況について言及した。

東芝の本社ビル

 同社では、富士通およびVAIOとのPC事業の再編の行方が注目されているが、東芝の室町社長は、「他社との再編を検討しており、現在、集中して交渉している段階にある。だが、方向性は一致しているものの、さまざまな条件について集約ができていないという課題がある。私の期待としては、少なくとも2016年度第1四半期までに決着を付けたいと考えて、交渉をしているところである」と述べた。

 その一方で、4月1日付けで、東芝クライアントソリューション株式会社を発足することを発表。また、海外B2C事業を終息させたこと、これまで行なっていたODMベンダーへの生産委託を中止することも明らかにした。

 ODMベンダーへの生産を中止することで、今後は生産面においても、富士通やVAIOとの繋がりは強化される可能性が高まりそうだ。

 また、東芝の不適切会計処理問題の温床となっていたODMベンダーとのBuy-Sell取引も、これによってゼロになる。

 一方、PC事業部門において実施してきた人員削減については、3月18日時点で、予定していた1,300人の人員削減を達成したという。内訳は海外900人、国内400人。なお、TVなどの映像事業では当初計画の3,700人に対して3,820人、家電事業では1,800人の計画に対して2,100人と、いずれも計画を上回る予定。これら3事業部門を合わせたライフスタイル部門全体では、6,800人の計画に対して、7,230人の削減が見込まれている。東芝グループ全体の人員対策については、10,840人の削減計画に対して、13,820人の人員削減見込みとなり、2014年度末には217,000人だった社員数は、PC事業や家電事業の売却なども影響し、183,000人にまで削減する。

PC事業に関する計画
人員削減策

 また、室町社長は、PC事業においては、再編を優先する一方で、2016年度に向けて事業構造改革が計画通り進捗していることを強調。「PC事業は、2016年度の黒字体質転換に向けて、一定の目途が付き始めている。2016年度は販売台数および拠点を絞り込んでいくことになる」と語った。

 ちなみに、今回の事業計画の発表では、2016年度の売上高は4兆9,000億円、営業利益は1,200億円、当期純利益は400億円を目指すとともに、全事業部門での黒字化を目指すことが明らかにされたが、この中には、売却を予定しているPC事業および家電事業の売上高は含まれておらず、2015年度見通しの6兆2,000億円からは大幅に減少することになる。新年度からの事業計画には、PC事業が連結対象から外れることが前提となっているというわけだ。

2016年度は売上高4兆9,000億円、全事業部門での黒字化を目指すが、ここにはPC事業と家電事業の売上高は含まれていない

 一方、2016年度の事業計画の中では、エネルギー、社会インフラ、ストレージの3つを、今後の注力事業領域と位置付けた。

 中でも、ストレージ事業を担当するストレージ&デバイスソリューション社は、従来のセミコンダクター&ストレージ社から名称を変更。世界2位のシェアを持つNANDメモリを核に、今後成長が見込めるSSD、構造改革を進めているディスクリートおよびシステムLSIによって、ストレージ事業領域を、全社収益の柱とする。

注力事業領域

 室町社長は、「ストレージ事業は、革新的な市場へ、先進的な製品を、高度な製造技術で提供。最先端のストレージ技術を通じて、情報社会のインフラづくりに貢献する」とした。

ストレージ事業領域

 売上高は2016年度に1兆4,300億円を、2015年度見通しの1兆5,600億円から落ち込むが、営業利益は320億円と黒字回復を見込んでいる。そのうち、メモリ事業の売上高は7,400億円を目指す。

 「メモリは、2016年度前半は、スマートフォンの新製品の影響などもあり、需給環境が変化。売価ダウンの影響があるものの、物量は伸張。後半からは需給バランスが回復することによって収益が改善すると予測している。さらに、2017年度以降はSSDなどの拡大により、売上高の拡大が見込める」としている。

 さらに、課題事業であるディスクリート/システムLSI、HDDは構造改革を進め、2016年度にはこれら分野においても黒字展開を実現。その後の収益安定化に繋げるという。2018年度の売上高は1兆6,800億円を計画。そのうち、メモリでは9,500億円を目指すとしている。

 ストレージ事業の成長エンジンとなるメモリにおいては、3次元メモリである「BiCS Flash」が重要な鍵を握る。

 「BiCSの開発を加速することで、積層化による大容量化を促進。コスト力を強化することができる。BiCS2は、2016年3月から量産を開始し、2016年上期には、BiCS3のサンプル出荷を開始したい」としたほか、「2016年第1四半期には新第2棟建屋を竣工。さらに2016年には、次期新棟の土地造成を始め、2017年度には次期新棟の建設を開始する。これにより、BiCSへの生産切り替えを促進していく」とした。

メモリの生産を行なう東芝四日市工場

 2016年〜2018年度までの3カ年で、フラッシュメモリの生産体制強化に向けて、累計8,600億円規模の投資を行なう計画であり、「ストレージへの資源投入は緩めずに継続してく。この分野には継続的な投資を行なっていくことが大切だと考えている。新規投資は、BiCSの量産設備の導入や、次期新棟建設に限定し、そのほかの事業では原則老朽更新のみに留める」と、メモリ領域に優先的に設備投資を行なう考えを示した。

 さらに、「サンディスクとの強固なパートナー関係は今後も継続することになる。さらに、ナノインプリントの採用により、将来的なコスト削減にも繋げていきたい」と語った。

 SSD領域においては、SSDの開発リソースの強化と、オンサイトサポートを強化するために北米SSDデザインセンターを開設。高速SSD領域への対応やストレージクラスメモリの開発などにも取り組む。

メモリ事業の中期計画

 課題事業となっているディスクリートおよびシステムLSIについては、「パワー半導体や画像認識を中心に産業分野や、車載分野に集中して事業を拡大させ、2016年度には売上高で前年比20%増を見込む。さらに製造会社として、2016年4月にジャパンセミコンダクターを設立し、製造ラインの効率運営によるコスト削減や、ファンダリの拡大に繋げる」と述べた。

 さらに、HDDについては、エンタープライズ向けおよびニアライン製品の拡大によって、前年比30%増の売り上げ拡大を見込んでいる。

3Dメモリの「BiCS Flash」を成長の柱に

 なお、ストレージ事業と並ぶ注力事業領域である、原子力事業を注力成長領域に位置付けるエネルギーシステムソリューション社は、2016年度には売上高1兆7,100億円、営業利益520億円を目指す。また、同じ注力事業領域とされるインフラシステムソリューション社は、昇降機事業、空調事業、水事業、電池事業を注力成長領域に位置付け、2016年度の売上高は1兆3,300億円、営業利益は510億円を目指す。

(大河原 克行)