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HDDの世界市場、2016年は1.3%減の4億6,500万台と予測
~日本HDD協会2016年1月セミナーレポート(HDD編)
(2016/2/15 12:04)
ハードディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)関連の業界団体である日本HDD協会(IDEMA JAPAN)は、1月28日の午後に東京都港区で、「2016年の業界動向~HDDと大容量データ活用の最前線」と題するセミナーを開催した。
本セミナーでは市場調査会社テクノ・システム・リサーチの調査員を務める蜂谷友樹氏が、「HDD and SSD Market」と題して講演した。HDDとSSD(Solid State Drive)の市場動向を明快に把握できる非常に重要な内容であったので、その概要をご紹介したい。
講演のテーマは前半がHDD市場、後半がPC市場とSSD市場である。HDD市場に関する講演内容をまずは紹介する。
HDDの出荷台数は減少傾向が続く
HDDの年間出荷台数(世界市場)は2010年に6億5,140万台でピークを迎えてから、減少傾向が続いてきた。2015年の出荷台数は前年比16.5%減の4億7,100万台と推定した。かなり大きなマイナス成長である。
2016年の出荷台数は、前年比1.3%減の4億6,500万台と予測した。ほぼ横ばいである。ストレージ業界ではもう少し弱く、おおよそ4億5,000万台と予測する声が多いという。
フォームファクタ別:2.5インチが3.5インチを置き換え
続いて、HDDの出荷台数推移をフォームファクタ別(エンタープライズ、ニアライン、3.5インチ、2.5インチ、1.8インチ)に説明した。主力である3.5インチと2.5インチはいずれも、2015年に大きく数量を減らした。また2014年に微量だった1.8インチは、2015年にはついにゼロとなった。そして数量の比率は少ないものの、ニアラインはわずかに台数を増やした。
2016年のフォームファクタ別出荷台数(世界市場)は、3.5インチが微減(3.2%減)、2.5インチは横ばいと予測する。2.5インチが横ばいなのは、3.5インチ市場の一部を置き換えているからだ。デスクトップPCで2.5インチを搭載する製品が増えてきたことが原因である。
出荷先別:PC向けの減少が続く
HDDの出荷台数を出荷先別(IT産業、PC、その他OEM、リテール/サードパーティ)に見ていくと、2015年はPC向けとリテール/サードパーティ向けが前年に比べて大きく減少した。2016年はPC向けは減少するものの、リテール/サードパーティ向けは増加する。
その他OEM(コンシューマ、主にHDDレコーダーとゲーム機)向けは、減少傾向が続く。IT産業向けは、僅かながら増加していく。
3.5インチと2.5インチの減少傾向は一段落
ここからはPC関連のHDDを中心に、講演内容を紹介しよう。初めはフォームファクタ別の市場動向である。2010年~2016年の出荷台数と売上高の推移を示していた。
3.5インチHDDの出荷台数は2015年に1億6,120万台と推定した。前年比21.4%減と大きく減少している。出荷先別の内訳はPC向けが最大で、58%を占める。次いでリテール/サードパーティ向けが大きく、20%となっている。2016年の3.5インチHDDは減少傾向が一段落し、微減に留まると予測する。
2.5インチHDDの出荷台数は2015年に2億4,040万台と推定した。前年比17.6%減とこれもかなり大きな減少である。出荷先別の内訳はPC向けが最大で、50%を占める。次いでリテール/サードパーティ向けが大きく、31%となっている。2016年の2.5インチHDDは、横ばいで推移すると予測する。
PC向け:SSDと2.5インチHDDの比率が増加
続いて出荷先別(用途別)のトレンドである。2010年~2016年の出荷台数を示した。PC向け、その他OEM向け、リテール/サードパーティ向けのトレンドを紹介しよう。
PC向けHDDの出荷台数は、2015年に2億1,760万台と推定した。前年比では17.3%減とかなりのマイナス成長となった。内訳は3.5インチHDDが44%、2.5インチHDDが56%である。
PCが搭載するストレージをフォームファクタ別に見ると、デスクトップPCは3.5インチHDDが90%、2.5インチHDDが9%、SSDが1%となっている。2.5インチHDDとSSDの比率が増加傾向にある。ノートPCは2.5インチHDDが75%、SSDが25%となっている。SSDが4分の1を占める。
SSDの搭載率は増加を続けている。2016年における搭載率はデスクトップPCが3%、ノートPCが35%になると予測する。
コンシューマ向け:厳しい状況が続く
その他OEM(コンシューマ)向けHDDの出荷台数は、2015年に6,960万台と推定した。前年比では4.9%減である。内訳は3.5インチHDDが40%、2.5インチHDDが60%。OEM(コンシューマ)向けHDDは、2014年に出荷台数が前年比で伸びた。これは、ゲーム機向け2.5インチHDDの出荷増が主な要因だと説明した。
HDDレコーダーに代表されるビデオの録画再生向けには3.5インチHDDが主に使われている。平均の記憶容量は2TBで頭打ちになっており、録画再生向け市場はピークを過ぎたとする。
2016年の出荷台数は、前年比9.5%減の6,300万台と予測する。
リテール/サードパーティ向け:2016年は生産調整の反動でプラスに
リテール/サードパーティ向けHDDの出荷台数は2015年に1億600万台と推定した。前年比29.6%減と非常に大きなマイナス成長となった。この大きなマイナスは前年(2014年)の出荷台数が過剰だったことの反動だとする。2015年はHDDベンダーによる生産調整が長引き、出荷台数の大幅な減少を招いた。
2016年の出荷台数は前年比12.3%増の1億1,900万台と2桁成長を予測する。生産調整の完了によって実需ベースの出荷に戻る。
なお、本セミナーの講演内容は報道関係者を含めて撮影と録音が禁止されている。本レポートに掲載した画像は、講演者と日本HDD協会のご厚意によって掲載の許可を得たものであることをお断りしておく。