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MIT、磁気を利用した遠隔冷却機構を考案

〜磁石を使ってPCを冷却

 米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者らは28日(現地時間)、磁力を利用して遠隔から物体を冷却する理論を発表した。

 これは、結晶格子中の電子のスピンの構造を量子化した準粒子であるマグノンを利用したもので、研究グループはマグノンの移動に関する2つの新しい方程式を考案し、そこからマグノンに冷却効果があることを見いだした。

 強磁性体において、局所的な磁気モーメントは、回転し、さまざまな方向に並ぶことができる。絶対ゼロ度では、局所磁気モーメントが整列し、最大の磁力を発する。一方、温度が上昇すると、スピンがばらつき、磁力が弱まるとともに、マグノンが増えていく。

 マグノンは電子に似ており、電子の熱電効果のように、マグノンにも温度勾配と磁場について相関関係があることが分かった。これは、磁場の勾配によって、磁石の温度にも勾配が生じることを意味し、磁場を使って、物体を冷却できるようになる。

 このマグノンを利用した“磁石冷蔵庫”は、従来の冷却機構と違い、遠隔から冷却を行なえるという点と、ポンプなどのような動く部品が不要という際立った特徴を持つ。例えるなら、磁石の入ったノートPCに磁場を与えるだけで、温度が下がっていくのだ。

 とはいえ、そのような応用にはまだ時間がかかる見込みで、まずは極冷の遠隔冷却が必要となる低温物理学の分野で研究者が利用するといった場面から導入が始まる見込みだ。

(若杉 紀彦)