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ソニー最後のVAIO決算は売上6.9%減で917億円の赤字に
~今後数年間もPC事業赤字は継続の見込み
(2014/5/15 06:00)
NECパーソナルコンピュータ、富士通の国内PCメーカー2社が相次いでPCの新製品を発表した5月14日、ソニーは2013年度連結業績を発表。この中で同社通期決算としては、最後のPC事業の業績開示を行なった。
ソニーの発表によると、2013年度のPC事業の売上高は前年比6.9%減の4,182億円、営業損失は前年度の386億円の赤字から拡大し、917億円の赤字となった。917億円の赤字の中には、PC事業の収束を決定したことによる費用として583億円が含まれている。
出荷台数は560万台で、前年度の760万台から26.3%減と、約4分の3の水準となった。2月公表値の580万台も下回る結果となった。四半期別の出荷台数は、第1四半期が130万台(前年同期が180万台)、第2四半期が150万台(同200万台)、第3四半期が170万台(同220万台)、第4四半期が110万台(同160万台)と、全ての四半期で前年実績を下回った。
ソニーは、2014年2月6日に、日本産業パートナーズへのPC事業の譲渡を発表。5月2日に、譲渡契約が正式に完了したことを発表していた。
一方で、同社では、2014年度連結業績においても、PC事業の赤字として、800億円を見込むことを明らかにした。その内、カスタマサービス費用などを含むPC事業の収束に伴う費用として約360億円、販売会社の固定費負担額として約270億円が含まれるという。
ソニーの吉田憲一郎最高財務責任者(CFO)は、「さらに2015年度には、PCの減収に応じた販売会社の規模縮小を進めることになるが、カスタマーサービス費用は残ることになる。2014年度見通しほどの規模にはならず、(赤字は)大幅に減ることになる」としたが、今後数年はカスタマサービスにおいて、PC事業の赤字が続く可能性を示唆した。
なお、ソニー全体の2013年度の連結業績は、売上高が前年比14.3%増の7兆7,673億円、営業利益は88.3%減の265億円、税引前利益は89.4%減の257億円、当期純損失は前年の415億円の黒字から、1,284億円の赤字に転落した。
また、2014年度の連結業績見通しは、売上高が前年比0.4%増の7兆8,000億円、営業利益は428.4%増の1,400億円、税引前利益は405%増の1,300億円、当期純損失は前年の1,283億円の赤字からは回復するものの、500億円の赤字見通しとした。
吉田CFOは、「2013年度は、3回の下方修正を経て、約1,300億円規模の最終赤字となったこと、2014年度も構造改革に取り組み、500億円の最終赤字となったこと、2012年度に掲げた2014年度の経営目標を達成できないなど、期待に応えることができない内容であり、申し訳なく思っている」とし、「ソニーのエレクトロニクス事業は6年間に渡って、構造的な赤字となっている。2014年度は、なんとしても構造改革をやり遂げる。CFOとして重視している施策の順番がある。まずはコスト構造を最適化し、次にコア事業に集中する。PC事業の売却はコア事業へ集中するという意味でもある。そして、新規事業にチャレンジする。同時並行でやることも大切だが、優先順位を間違わないようにしなくてはならない」などと述べた。
2014年度は構造改革費用として1,350億円を計上。そのうち、約4分の1にあたる360億円がPC事業収束に伴う費用となる。