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「VAIO終息は苦渋の決断だった」、ソニー平井CEO

〜一方、ソニーとしてのWindows Phone投入に一定の含み

平井一夫氏
2月6日 発表

 ソニーは6日、既報の通り、2013年度第3四半期の決算および、「VAIO」ブランドのPC事業の譲渡とTV事業の子会社化などを発表。リリース発表後に行なわれた会見で、同社代表執行役社長兼CEO(最高経営責任者)の平井一夫氏は、VAIO PC事業の売却について、「苦渋の決断だった」と話した。

 ソニーのPC事業とTV事業の変革の理由は売上/収益の不振にある。この3四半期で、PCおよびスマートフォン/タブレットを含むモバイル・プロダクツ&コミュニケーション(MP&C)分野では、スマートフォンが前年度(2,490万台)を大きく上回る3,030万台の出荷となり、平均販売価格も上昇したが、それとは対照的にPCの出荷台数は前年度の600万台から450万台へと縮小。通年でも前年を大きく下回ることは必至となった。TVについては、高付加価値/高価格帯の4K製品が日米において成功するなど、事業構造、商品力を改善し、赤字は大幅に圧縮されたが、目標としていた通期での黒字化は達成困難な見通しだ。

 こういった情況を踏まえ同社では、抜本的な改革を実施。具体的には、VAIOブランドのPC事業を日本産業パートナーズ(JIP)に譲渡、TV事業は分社化して子会社化するほか、販売/製造/本社間接部門で、リストラを行なう。

 TV事業は分社化こそされるが、情況はソニーモバイルコミュニケーションズが「Xperia」を、ソニー・コンピュータエンタテインメントが「PlayStation」を受け持つのと同じ形態に移行するわけで、「Bravia」はワン・ソニーの下、主力事業の1つとして生き続ける。

 一方のVAIO PC事業は、ソニーからは完全に分離されることとなる。言い換えるなら、ソニーは今後PC事業の黒字化は不可能だと判断した形だ。

 コンシューマ向けコンピューティングデバイス市場において、いわゆるPCはスマートフォン/タブレットに取って代わられつつあり、ソニーとしてもMP&C分野で、スマートフォン/タブレットに事業を集中させることを決意した。ソニーから発売されるVAIOは、2014年春モデルが最後となる。

 平井氏は、会見で自身にとってのVAIOの位置付けを聞かれ、「一言では難しいが、VAIOは常にソニーらしい製品で、他の一般的なPCとは違うデザイン、機能を実現し、場合によってはフォームファクタも違っていたりと、PC市場に一石を投じてきたブランド。同時に、生産/販売のオペレーション面でも、他の分野に先立ってノウハウや資産を築き上げてきた。そして、ユーザーや、社員、関係者の貢献によってここまで大きなビジネスになった。終息は苦渋の判断だった」と胸の内を明かした。

 実際、1996年から2013年末までで世界で約7,275万台を売り上げたVAIOには、まだ大きなブランド価値が残っている。また、VAIOに携わる社員の雇用機会なども考慮した結果、VAIO PC事業はJIPへと事業譲渡する運びとなった。

赤羽良介氏(2013年6月COMPUTEXにて撮影)

 JIPが今後設立するVAIO新会社は、ソニーでVAIOの陣頭指揮を執ってきた業務執行役員SVP VAIO&Mobile事業本部本部長の赤羽良介氏を中心に構成される。拠点は、「VAIOの里」であるソニーイーエムシーエス長野テクノロジーサイトとなる。細かな製品戦略などは未定だが、コンシューマ向けだけでなく、これまで同社が苦戦していた法人市場においても、商品構成を見直した上で販売していくとしており、テコ入れをしていくものとみられる。

 このように、VAIOに携わる人員や拠点は、新会社へと引き継がれるが、その規模は大幅に縮小される。現在、国内では販売関連を除き、約1,100人がVAIO事業に従事しているが、新会社に移管されるのはその内約250〜300人だ。また、当面、販売は日本国内のみの継続となり、海外販売は、今後の復活を否定するものではないが、ひとまず終了となる。

 なお、PCとしてのVAIOは、ソニーの手を離れるが、VAIOというブランドについては、ソニーにおいて今後全く使わないと決定したわけではないという。また、Windows PCは、新会社の管轄だが、平井氏は、「MicrosoftのOSはPC向けだけではなく、モバイル向けもあり、そこでどういう商品展開をするかはソニーの商品戦略として考えていく」と述べ、ソニーとしてのWindows Phoneの展開に一定の含みを持たせた。

(若杉 紀彦)