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ワコム、創業30周年を迎えて新たな事業戦略を紹介
(2013/9/4 16:12)
株式会社ワコムは4日、Intuosの新モデル発表に合わせて記者説明会を開催。同社のブランディング戦略の変更を含む事業の現状や、新製品の説明を行なった。
ワコム取締役兼執行役員 ジャパン・アジアパシフィック統括本部長の小見山茂樹氏は冒頭で、「EMR(電磁誘導式)ペンがSamsungのGalaxy Noteなどいろいろなところに使われ、昨年(2012年)、今年(2013年)と業績を伸ばした。EMRペンはグローバルで累計1億本以上が人々の手に渡っている。スマートフォンやタブレットなどが普及したことで、ワコムのEMRペン技術や静電容量タッチ技術が、世の中の主流に躍り出るステージに来ている」と、昨今のトレンドに対する手応えを示した。
また同社は、1983年7月12日に創業して、2013年でちょうど30周年に当たるという。この30年で、コンピュータの世界も大きく変わり、手のひらで使える携帯電話(スマートフォン)でも、画面上で直感的に利用できるタッチやペンが使われる時代になった。
同社はこれまで、グラフィックス産業を中心に展開してきたが、さらに新しいジャンルへツールへ提供する。「クリエイティビティとは人々の奥底にあるネイチャーだろうと考えている。生きるということは自分の意思でアイデアを生み出して実現することで誰でも日々新しいものを生み出して創造性を発揮すること。当社の中心にはクリエイティビティがある」と述べ、同社が提供するシンプルなツールによって、グラフィックス以外も含めた分野を支援していきたいとした。
具体的な売り上げ目標については、中期計画として2016年3月期決算までに、連結売上高で1,200億以上、利益率15%以上という数字を提示。2012年実績が約407億円、2013年3月期は約610億円を目指す。
また、これまでは液晶ペンタブレット、プロシューマタブレット、コンシューマタブレットといった具合に製品の種類によって分類してきたブランドを見直し、対象となる顧客をベースとした分類へ変更。事業としては大きく4セグメントに分けて展開していく。
各ブランドの詳細や製品については、タブレット事業本部マーケティング部ジェネラルマネージャーの岸田茂晴氏が説明した。
これまでは、クリエイティブワーク向けに液晶ペンタブレットの「Cintiq」、ペンタブレットの「Intuos」があり、コンシューマ向け製品として「Bamboo」が存在。その中間の製品としてBambooのタブレット製品が用意されていた。
今後は、Bambooをコンシューマ向けブランドとし、クリエイティブワークに向けてはCintiq、Intuosにブランドを統合。位置付けの見直しに伴い、各ブランドのキーメッセージやロゴも変更された。
Cintiqブランドでは、8月20日にWindows 8を搭載する「Cintiq Companion」、Androidを搭載する「Cintiq Companion Hybrid」を発表。タブレット/スマートフォンにペンやタッチが搭載される一方で、外出先で妥協なく仕事をするためにはCintiqそのものを持ち出すというニーズが強かったため、その声に応えるべく投入された製品だという。
説明会では、Cintiq Companion Hybridにバンドルされている「Wacom Creative Canvas」を用いたデモを実施。Android上でラフスケッチレベルで描画し、それをPCへ転送。PSDファイルで保存されているので、そのままAdobe Photoshopで開いて完成品へと仕上げていくという一連の作業を実演した。
Intuosについては、プロからアマチュアまでを対象として、「クリエイティブのための強い1つのブランドを構築」する。本日発表された一連の新製品については別記事を参照されたい。
このほか同社では、海外では高い評価を受ける一方で、ビジネスとしては飽和状態になっているという国内のクリエイティブ産業に対し、アワードへの協賛や、製品体験会、レビューを投稿できるWebサイトを提供するなど、活性化に向けた支援を行なっていくとした。