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マカフィー、台数無制限の個人向けクロスデバイスセキュリティツール

~生体認証オンラインストレージや端末ロック機能などを統合

マカフィー コンシューマ事業統括 取締役 常務執行役員 田中辰夫氏
6月14日 開催

米McAfee Vice Chairman of the McAfee Board of Directorsのトッド・ゲブハート氏

 マカフィー株式会社は14日、5月15日にワールドワイドで発表した個人向けセキュリティツール「McAfee LiveSafe」(マカフィー リブセーフ)の製品説明会を開催。年額7,980円のサブスクリプションを1つ購入するだけで端末/台数無制限で利用できるセキュリティツールだ。

 冒頭、挨拶に立った同社コンシューマ事業統括の田中辰夫氏は「個人情報保護のために“インターネット情報保護の革新”というビジョンを持っている、それに対してIntelとともに開発したもの」と紹介。

 また、米McAfee本社からVice Charmanのトッド・ゲブハート氏が来日。同氏は「コンシューマのコンピューティング活動が変化している。その変化に伴って、セキュリティソフトも進化させなければならない」とし、近年のコンピューティングのトレンドを紹介した。

 昨今は新しいIPデバイス(インターネットに繋がるデバイス)が爆発的に増え、TVという1枚のディスプレイで生活していた時代から、TVとPCという2台のディスプレイを経て、スマートフォンとタブレットを加えた4枚のディスプレイで生活する時代になっている。現在はこうしたデバイスが10億台存在するが、2020年には500億台に到達するという予測があるという。

 こうしたデバイスの増加に伴って、個人情報、ソーシャルな情報が端末間で共有されるようになっており、「人々の懸念はデバイスの保護からデータの保護へ移っており、コンシューマの半分は財布をなくすよりスマートフォンをなくすことに怯えている」とした。実際、米国の空港では1週間に10,000台のスマートフォンが紛失または盗難に遭っているという。

 一方で、パスワードを入力するシーンは増えており「人々は毎日5カ所のパスワードを入力しなければならないWebサイトを見に行っているが、50%が同じパスワードを使い回し、数字の羅列のような簡単なパスワードを使っている」と指摘。

 このような課題を解決すべくIntelとともに取り組み、製品化したものが今回のLiveSafeであるとした。

デバイスが増え、個人情報や決済などの重要な情報を取り扱うことが増えた昨今のコンシューマの行動
IPデバイスの爆発的な増加は今後も続き、2020年には500億台に到達するという予測
今は4枚のディスプレイで生活をする時代になり、ゲブハート氏はこのような時代になったことを「偉業」と表現した
データ流出に繋がるIPデバイスの紛失に不安を感じる人は非常に多いという調査結果を紹介

 説明会では、インテル執行役員 ソフトウェア・サービス戦略本部 本部長の板越正彦氏も登壇。「重要な情報がものすごいスピードでデジタル化され、クラウドへ保存されている。またBYODも増えており、パーソナルとビジネスの境界がどんどんなくなっている。こうした時代に合わせて、個人のクラウド、無数のアプリ、複数の端末を包括的に守ることが重要で、これをIntelとマカフィーはセキュリティの新標準と呼んでいる」と紹介。

 また、LiveSafeは、インテル・アンチセフト・テクノロジーを活用したセキュリティツールなども統合された“ハードウェア支援型のセキュリティソリューション”であるとし、「エアバッグのようにシステムの設計段階から組み込むことでセキュリティのクオリティは格段に向上する。それぞれの分野でグローバルナンバーワンの2社の強味が合わさっており、“インテル入ってる、マカフィー入ってる”の安心安全な環境を提供できる」とコメントした。

インテル執行役員 ソフトウェア・サービス戦略本部 本部長 板越正彦氏
Intelとマカフィーの協業で端末からクラウド環境までセキュリティを提供
LiveSafeをセキュリティの“新標準”とした
性能面、保護機能の向上、永続型であること、個人情報の保護にフォーカスして両社の協業/開発が進められている

1サブスクリプションでデバイスや台数は制限なし

 続いて説明会ではLiveSafeの概要紹介やデモが実施された。

 LiveSafeの大きな特徴となっているのは、1サブスクリプションでPC、モバイル端末の全てを台数無制限で保護できる点。多くは同社既存製品の機能をそのまま利用できると考えてよく、例えばウィルスやスパイウェア対策、ファイアウォール機能、モバイル版のセキュリティツールでリモートロックやリモートワイプなどの機能を持つ「Mobile Security」の機能などを利用できる。

 PCにおいては「McAfee Anti Theft」が利用可能。ノートPC盗難時にリモートでロックしたり、位置情報を確認できる。また、「McAfee Central」と呼ばれる、Windows 8のModern UIでの管理画面が提供される。これはデスクトップ版の管理画面と同期しており、警告などはどちらの画面でも同じように確認できる。

製品説明を行なったマカフィー CMSB事業本部 コンシューママーケティング部 PMマネジャー 小川禎紹氏
製品デモを行なったマカフィー CMSB事業本部 パートナープロダクトマネージメント グループマネジャー 風見裕樹氏
従来のセキュリティ製品との違い。台数/端末の種類に制限なく包括的に提供される
LiveSafeで提供される機能
Windows 8のModern UIに対応するMcAfee Central
McAfee SafeKeyの登録画面。グループ化なども可能

 そのほかクラウドサービスとして「McAfee SafeKey」、「McAfee Personal Locker」が提供される。

 SafeKeyは、クラウド型のパスワード管理ツール。ほかのオンライン型パスワード管理ツールと同様、オンラインの認証パスワード1つで全てのアカウントとパスワードを保管し、ブラウザ上のフォームなどへ自動入力するなどの機能を持つ。データをクラウドへ保管しているので、Windows/Mac/iOS/Androidなどデバイス間で共有して利用できる。

 Personal Lockerは、いわゆるクラウドストレージサービスで、1GBの暗号化ドライブが提供される。同社はこのサービスを“貸金庫”と表現している。データアップロード時に、セキュリティレベルを2段階で設定でき、“高”セキュリティに設定したものは、アクセスの際にログイン時のPINコードの再入力と生体認証を求められる。生体認証は顔および音声で、音声は2パターンを入力して認証を行なう。現在はこの2つの認証方式のみだが、今後のアップデートで指紋などへの対応も検討されている。

 LiveSafeは同日よりプリインストールされたDellのPCが順次出荷される。単体発売については2013年秋頃を予定しており、1サブスクリプションの年額は7,980円を予定している。

同社が“貸金庫”と表現するクラウドストレージのPersonal Locker。Android、iOSからも生体認証を利用したアクセスに対応
アップロード時にファイルのセキュリティレベルを設定。“高”に設定したものにアクセスする際に生体認証が用いられる
現在はWebカメラを利用した顔認証と、マイクを利用した音声認証を利用。音声は2パターンを登録/発声する

(多和田 新也)