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2013年PC春モデルは不調で台数/金額ともに2ケタ減、BCN調べ

〜PCメーカーはタブレット端末への“覚悟”が必要

4月11日 発表

BCNアナリスト 道越一郎氏

 株式会社BCNは11日、直近のPOSデータを分析し「なぜタブレットがPC市場を激変させるのか」と題した記者向け説明会を都内で開催した。冒頭では、同社アナリストの道越一郎氏が、PC市場の現状および今後の展望について語った。

 「iPad」が2010年4月に発売されて以来ゆるやかに伸びるタブレット市場は、低価格で手にしやすい7インチクラスの「Nexus 7」および「iPad mini」などの登場により、第2幕へ突入。iPad登場月比から現在では台数で6倍、デスクトップ/ノート/タブレットを統合した構成比だと約3割のシェアを占めるようになった。

 タブレットがブレイクした背景としては、同時に普及が進んだスマートフォンの画面の大きさの不満への解消、低価格化による“衝動買い”のしやすさ、大量のCM投下による消費者の認知度の向上、タッチという直感的でわかりやすい操作体系、閲覧用途に最適化したフォームファクタ、そしてPCとは異なりアプリの入手のしやすさなどがあるという。

 その一方で、従来型のデスクトップ/ノートPCは、新OSであるWindows 8をリリースした直後の3月商戦期に入ったにも関わらず、台数で-6.2%、金額で-10.5%の前年割れとなった。不振だった理由は、OSがタッチに対応しているにもかかわらず部材不足によるタッチ対応モデル構成比の低下、消費者の買い替え需要の低下、スマートフォンと対照的なアプリ販売経路の複雑さ、新製品登場による割高感、そしてタブレットに押されたことなどが影響したと分析している。

 道越氏はこの状況に対し、「現在PCを製造している国内メーカーは、このタブレットの波に対して“覚悟”するべきだ」と指摘する。PCを製造する上でこのタブレットとの共存は避けて通れない道であり、「本腰でタブレットにも取り組むか、それともタブレットを中心とし、その周辺機器としてPCの使用をユーザーに提案するか」のどちらかの選択肢を迫られることになるとした。

 本腰でタブレットに取り組む場合、ユーザーインターフェイスの完成度の高さが何よりも大切であるが、そこには莫大な投資をしなければ実現できない課題がある。また、Appleのようなソフトとハードの一体環境の実現や、デザインによる差別化も今後の課題になるだろうとした。

 一方でタブレットを中心とし、PCでそれを取り囲むような使い方を提案する際には、本質的なPCのアドバンテージを再定義しなければならない。そしてタブレットとの共存/併用の提案、3万円というタブレットの価格帯に対して共存できるだけの製品力、もしくはノートPCなどに出戻ったユーザー層の心をつかむ製品力や提案が必要であるとした。

 今後、PCが生き残るための道越氏の提案としては、腕時計のような高級PCブランドの確立、薄型TVやデジタルカメラを含めた機器連携のしやすさへの追求(現在は無線LANなどで連携できるが、まだ設定が煩雑でユーザーが分かりにくい)、そしてiOSやAndroidのようなアプリストアのような展開が必要ではないかと説明した。

タブレットが伸びる理由
春商戦ではデスクトップ/ノートともに振るわなかった
PCメーカーが“覚悟”すべきこと
PC市場の今後の可能性

2013年春モデルは「高すぎて売れなかった」?

森英二氏

 続いて、同社アナリストの森英二氏が、実際のPOSデータを用いた市場傾向の分析を説明した。なお、今回のデータは全国22社/2,440店舗のデータに基づいて算出されているが、AmazonとMicrosoftの意向により「Kindle」シリーズと「Surface RT」シリーズはデータに含まれていない。

 タブレットについてはスマートフォンと同様、高い水準で市場が拡大。特にNexus 7とiPad mini登場以降は、iPad初代発売時と比較して約6倍の指数を維持し、それ以外でも約2倍に近い水準で拡大しているとした。メーカーシェアではやはりAppleとASUSの二強である。

タブレットとスマートフォン市場の推移
タブレット端末の推移
メーカー別とサイズ別のタブレット市場の推移

 しかしタブレットがこれだけ牽引しているにもかかわらず、デスクトップ/ノート/タブレット全体の動きを見ると、本来新生活需要で好調なはずの2013年3月期はマイナス成長となった。これはやはりデスクトップ/ノートの不調が大きく影響しているという。

 PC市場の中で比較的好調なはずのノートPCを例にあげても、3月は台数/金額共に前年比で2ケタ減となった。先述の通り、Windows 8でタッチ対応モデルが少なかったというのも影響しているが、森氏は主要原因として「メーカーとコンシューマの思惑にギャップがあるため」と分析している。

 各メーカーの2013年ノートPC春モデルのCPU別構成比を見ると、Core i7が34.8%、Core i5が47.2%、Core i3が6.7%、Pentium Dual-Coreが6.7%、Celeron Dual-Coreが5.6%だった。つまりメーカーが用意した8割を超えるPCがCore i7/i5搭載だった。しかし実際の販売台数構成比を見ると、Core i7が22.7%、Core i5が22.3%、Core i3が12.1%、Pentium Dual-Coreが12%、Celeron Dual-Coreが30.6%と、低価格なCeleronモデルが圧倒的だった。

 森氏は、「2012年3月はCore i7とCeleron Dual-Coreの間の価格差が3.5万円程度だったが、2013年3月は6万円に拡大している。この割高感が消費者に嫌気を刺し、低迷したのではないか。平均売価は上がっているが、決して良い状況とはいえない」と分析している。

 なお、デスクトップに関しても同じことが当てはまり、搭載CPUはCore i7が5割を超えていたが、実際の販売台数構成比ではCeleron Dual-Coreが4割近く占めていた。ノートPCと同様、Core i7モデルに割高感がある。

 それぞれのモデルに割高感がある」は言え、Coreシリーズの搭載が必須で高い単価のUltrabookは好調で、販売台数構成比で言うと1割超えを実現した。スペックだけで割高感があるスタンダードノートやデスクトップと比較すると、薄型軽量などのファクタがプレミアとして消費者に受け入れられていることが伺える。

PC市場(タブレット含む)の推移
3月期のデスクトップ/ノートは台数/金額ともに2ケタ減
ノートPCのCPU別モデル構成比と販売台数比
デスクトップPCのCPU別モデル構成比と販売台数比
Ultrabookは1割超となった

 一方でOS別に見るとWindows 8は順調に推移し、2013年3月でノートPCは84.5%、デスクトップは68.7%とWindows 7並みの推移となった。しかしWindows 8のウリでもあるタッチパネル搭載製品の構成比を見ると、ノートPCは16.5%、デスクトップは8.1%に留まった。

 メーカー別シェアでは、タブレットも含めた結果だとアップル、NEC、富士通、ASUS、東芝が堅調に推移。平均単価を見ると、アップルの5万円〜6万円台を境目に、国内メーカーが7万円台以上、海外勢が5万円以下で推移している。

 このほか、スマートフォンやPC周辺、タブレット/スマートフォンアクセサリのデータも合わせて公開された。

OS別の販売台数構成比
タッチパネル搭載モデルの販売台数比
メーカー別シェアと平均単価
スマートフォン市場の推移
2013年第1四半期の販売機種は例年より少なかった
iPhoneが堅調に推移
PC周辺機器の推移。マウスや無線LANが好調だという
タブレット端末のアクセサリ
スマートフォンのアクセサリ

(劉 尭)