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富士通「Floral Kiss」を紹介する執事との夕べに潜入してみた!
(2013/3/29 00:00)
執事が女子会中の女性に、富士通の女性向けPC「Floral Kiss」をアピール--。富士通がこんな前代未聞のプロモーションを実施した。最近では女性をターゲットとしたPCのアピールイベントも増えている。しかし、アピールの現場が女子会の会場で、アピールを行なうのが執事姿の男性というのは聞いたことがない。果たしてこんな珍しいプロモーション活動を実施した狙い、そして効果はどんなものか? 執事が接待している会場に潜入した。
やったことがないプロモーションをやりたい
3月某日、執事がプロモーションにやって来ると聞きつけて潜入したのは、銀座にある「砂漠の薔薇」。イタリア料理やお酒を楽しみながら、会場で開催されるパフォーマンスを楽しむことができるスポットである。
実は会場に足を踏み入れるまで、「プロモーション用に用意されたイベント会場なんじゃないの?」と穿った見方をしていた。ところが会場に着くと、そこはリアルな飲み会の場で、週末ということもあり、お客さんで一杯。それも筆者のような取材のためにやって来た人ではなく、女子会中のテーブルもあれば、男女入り交じって飲み会を行なっているテーブルもある。今回のプロモーションのために用意された会場ではなく、リアルな飲み会の場だった。
富士通が執事プロモーションを仕掛けたのは3月中旬から下旬にかけて。木曜、金曜、土曜の3日間、筆者がお邪魔した銀座の会場以外にも、新宿、青山など、各地の店舗でプロモーション活動が行なわれた。
何故、ビジネス街やPCを売っている量販店ではなく、飲み会の場でのプロモーションを企画したのか?
「企画が持ち上がった当初は社内でも色々な声が挙がったのですが、やったことがないプロモーションなので、面白いじゃないか、ということで今回の企画が実現しました」と話すのは富士通ユビキタスビジネス戦略本部プロモーション統括部パーソナルプロモーション部の川口茉莉子氏。
2012年に発売されたFloral Kissは女性をターゲットしたPCだ。発売直後は女性誌でのプロモーションも行なったが、企画は単発で、製品の知名度はまだまだ低いという。「知名度を上げるために、何か面白いプロモーションが出来ないだろうか」という発想の中から登場したのが、執事が女子会にやって来てFloral Kissをアピールする企画だった。
「せっかく女性がターゲットとなっているのですから、女性が好きな『イケメン』を起用したプロモーションが出来ないだろうか、ということになったのです。どうせやるなら、ターゲットである30代女性がくつろいでいる場に行って、そこで商品説明をしてみてはどうだろう、ということで企画が進んでいきました」(川口氏)。
この企画を社内で説明する際、比較として挙がったのは男性がお酒を飲んでいる場で行なわれるたばこのプロモーションだ。新しいたばこが発売される際、居酒屋などにキャンペーンガールが出向き、試供品のたばこを配布する。このPC版、しかもターゲットを男性ではなく女性にしたのが執事を使ったプロモーションだという。
確かにその女性版といえなくもない。要はリラックスした場でアピールすることを狙ったプロモーションということだ。
現れたのはモデルが本業の執事
説明を聞いて待っていると現れたのは、2人のイケメン執事、ピエールとアレックスであった。2人とも長身のイケメン。それもそのはず、実は本業はモデルだという。
「こんばんは、お嬢様! 私どもはFloral Kiss家からやって来た執事でございます。本日は女性向けPC、Floral Kissを説明させて頂くためにやって来ました。お時間頂いてよろしいでしょうか?」。笑顔で流暢に話すのは執事ピエール。彼がMC役で、アレックスはそれをサポートする役割のようだ。
「お嬢様、Floral Kissのことはご存知ですか?」というひと言からFloral Kissの説明が始まる。カラーバリエーションが豊富な特徴をアピールするため、全カラーを持っての登場である。
製品の1つを持って、「どうぞ開けてみてください」と促されて天板を開けると、「爪が引っかからなくて開けやすいですよね?」とニッコリ。Floral Kissの特徴であるクラッチバッグ型の開け口は、爪のオシャレをしている女性の爪を傷つけないデザインとなっていること、パールに見立てた電源ボタンやゴールドリングで囲んだキーボード、女性が日常的に利用できる専用アプリが3つ用意されていることなどをピエールがアピール。
その様子を見ていたアレックスは、手が小さな女性でも使いやすい小型のラウンドフォルムのマウスと、ダイヤモンドストーンをあしらったキラキラかわいいACアダプタを備えていることを紹介してくれた。
こうして2人の執事から説明を聞いていると……ちょっと楽しいぞ!
正直に告白すると、筆者は執事に接待されるのも初めてだし、執事に接待されたいと思ったことは一度もないし、男性に(いや、正直いうと女性にも)接待されるのはあまり好きではない。それ故、会場に到着し、実際に執事に会うまではかなりの緊張状態だったのだが、思いの外、執事からの説明をすんなり聞くことができた。
その事実を川口氏に伝えると、「実は執事はモデルさん50人から審査しまして、見栄えがよく、しかも落ち着いたしゃべり方の方、9人を選ばせてもらいました。イケメンの中でも、さわやかで好感度の高さを重視した人選となっています」とのこと。なるほど、お酒を飲んでいる場とはいえ、あまり押しの強い執事がやってきたら説明を受ける女子の方がちょっと引いてしまう。爽やか系イケメンなので説明を受けるこちらもすんなり話を聞くことができたようだ。
ちょっと素に戻った執事役のお2人に話を聞くと、流暢に商品の説明をするため、さらに執事としてお嬢様を接待するための対応については、「特訓を受けて勉強しました」とのこと。着ている衣装は今回のためにオーダーメイドで作ってもらったもので、それぞれの執事のスタイルにピッタリ合うサイズとなっているそうだ。
執事が再登場する機会は果たして
執事の説明は大体10分弱。説明を聞き終わると、「一緒に写真を」と言われたので、気軽に「ハイ」と答えると差し出されたのはおもちゃのティアラ……。お嬢様を彩る小道具ということのようです。オモチャとはいえ、ティアラをつけたことなんて人生で初めて……。しかし、こういうことは躊躇していると余計にダメージが大きくなるので思い切ってやってみた。人生でなかなかない体験だが、やると決めたからにはやりましょう、ということで、笑顔で写真撮影した。
さらに、「撮影した写真は、是非SNSで紹介を」ということなので、筆者のスマートフォンで撮影した写真は、SNSに上げたりもしてみた。SNSに写真を上げると、当日の飲食代に利用できる500円チケットがプレゼントされる。これは飲み会では案外ポイント高いかもしれない。
さらにFloral Kissに入っているゲームにチャレンジして勝利すると、ステーショナリーをセットにした「春活スターターキット」がプレゼントされる。全6色でこれも結構お得感があった。
「それではお嬢様、ありがとうございます」と挨拶し、それぞれの名刺を残して2人の執事は去って行った。名刺には電話番号が書かれているが、「こちらに電話頂いても私たちはおりませんので……」とのこと。実はこの番号、富士通のPCを事前購入する際の窓口で、電話をして「執事が説明したPCが欲しい」と言ってみると特典があるとか、ないとか。
2人の執事のその後を見ていたら、本当に当日会場にやってきた女子会中のテーブルに、「ちょっとよろしいでしょうか?」とアプローチしている。おそらくそこのテーブルのお客さん達は、執事が来ることなど全く知らなかったと思う。しかし、2人の執事が説明する様子を楽しそうに聞いているようだった。少なくとも筆者が体験した会場では、執事の説明を聞いて不快に思った人はいなかったようだ。
執事をやっていた2人がちらりと漏らしていたが、本当に執事らしくホスピタリティの高い説明をしているので、お客さんは「富士通のPCをプロモーションするためにやって来た人」とは認識せず、お店の人スタッフと勘違いされることが多いそうだ。「すいません、生ビール追加で! なんて注文を頼まれることもありました」とアレックス。
とりあえず3月で今回のプロモーションは終了したそうだが、富士通に執事のその後を確認すると、「せっかくオーダーメイドで衣装を作ったのだから執事が再登場する機会もあるかもしれませんし、ないかもしれません」とのことであった。
Floral Kissに関しては「らくらくシリーズ」と同様、現行製品で終わり、ではなく、女性向けブランドとして継続して提供する予定だというから、いつの日か、執事が再登場する可能性も結構あるんじゃないのかと思った次第である。