米Dellは15日(現地時間)、2013年度第3四半期(8~10月)の業績について発表した。
Dell アミット・ミダ氏 |
その中で、APJ(アジアパシフィック・ジャパン)担当副社長のアミット・ミダ氏は、本誌の質問に答え、「第3四半期の日本におけるサーバーおよびネットワーク事業に関しては、大変満足した結果になっている。日本の市場には継続的に投資していく」とする一方、「Windows 8の発売は、第3四半期の後半に発売されたものであり、コンシューマ事業への貢献を測定するには時期尚早。第3四半期の業績への影響も限定的となっている。だが、市場の関心は高まっており、商品に対する高いフィードバックを得ている」と、今後の成長の手応えには自信をみせた。
2013年度第3四半期の業績は、売上高が前年同期比11%減の137億2,100万ドル、純利益は47%減の4億7,500万ドル、1株あたりの利益は0.27ドルとなった。
「8月が厳しい状況であったことが響いているが、エンタープライズソリューションおよびエンタープライズサービス事業の成長がほかをカバーする形になっている。キャッシュフローは健全であり、自社株式買い取りプログラムを実行し、配当も実施できた」(アミット氏)などとした。
部門別では、エンタープライズソリューションおよびエンタープライズサービス事業の売上高は前年同期比3%増の48億ドルとなったほか、全社総粗利のうち50%以上を占めたという。またサーバーおよびネットワーキング事業の売上高は前年同期比11%増となり、これにより12四半期連続での成長を遂げたという。第12世代サーバーなどが高い評価を受けたほか、クラウドソリューションプロバイダーなどにおいて、高性能サーバーの採用が相次いだのがプラス要因だとした。ネットワーキングビジネスにおいては前年同期比14%の売上高成長を遂げたという。
サービス事業の売上高は、前年同期比で1%減となったが、コスト削減、高収益領域にフォーカスすることで、売り上げ総利益率を改善しているという。
ビジネスユニット別では、大企業向けビジネスが売上高が8%減の42億ドル、営業利益は3億3,500万ドル。公共ビジネスが前年同期比11%減の38億ドル、営業利益が3億5,200万ドルとなった。中小企業向けビジネスはが1%減の33億ドル、営業利益は3億4,900万ドル。「ソリューションサービスや、サーバーネットワーキング分野が牽引した」という。コンシューマ向けビジネスは、前年同期比23%減の25億ドル、営業損失は6,500万ドルの赤字となった。
地域ごとでは、米州の売上高は9%減、アジア太平洋および日本の売上高は11%減となった。
XPS 12 |
また、アミット氏は本誌の質問に対して、2012年10月26日に発売されたWindows 8についても言及。「Windows 8に対する期待感は高まっており、今後は、Windows 8の発売が、コンシューマ部門にも、ビジネス分野にもプラスの影響を及ぼすと予想され、楽しみである。法人向けのタブレット製品であるLatitude 10は、管理性が高く、法人向けの要件にも合致している。液晶一体型であるXPS 27は、Windows 8を搭載した製品として満を持して投入したものであり、XPSシリーズのフラッグシップであるXPS 13も、Windows 8によって販売に弾みがついている。さらにInspironシリーズでも積極的にWindows 8対応を図っている。
Windows 8によるタッチ機能に対しても前向きに取り組んでおり、エンドユーザーに新たな提案をできていると考えている。さらに、XPS 12は、タブレットとしても、PCとしても使えるものであり、市場からもいいフィードバックを得られている。競争が激しい市場ではあるが、他社と差別化した製品でアプローチしていきたい。特にセキュリティや管理性で付加価値を出したい」とした。
さらに、アミット氏は、「Dellは、エンド・トゥ・エンドのソリューション戦略を実行しており、SonicWALLや、Wyseといった企業を買収。さらにこの四半期においては、Quest Softwareの買収を完了した。セキュリテイ、クラウド、データバックアップ、プロテクション、管理などのサービス関連事業を成長させることができる体制が整い、今後の売り上げや利益の予測がしやすい環境になってきた。グローバルに見て環境は厳しいが、Dellが歩んでいる道は間違いではない。キーになる戦略に対しては投資を続けていく。この戦略に則って、事業を推進することが大切である」などと語った。
(2012年 11月 16日)
[Reported by 大河原 克行]