日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下:日本HP)は25日、本社においてメディア向けグループインタビューを開催し、米Hewlett-Packard(以下:HP)本社から来日したプリンティング&パーソナルシステムズ事業担当 上級副社長のトッド・ブラッドリー氏が、同社がPC事業部とプリンタ事業部を統合した後のHP全体の展望を説明した。
HPは2012年5月に、PC事業を担当してきたPersonal Systems Group(PSG)と、プリンタ事業を担当してきたImaging and Printing Group(IPG)が分かれていたが、5月より両部門をPrinting and Personal Systems Group(PPS)に統合した。そのPPSを率いるリーダーが今回来日したトッド・ブラッドリー氏である。
ブラッドリー氏は冒頭で、「HPはインフラストラクチャーを提供する会社であるという概念の下、最高のソフトウェアやサービスを組み合わせることでより良いソリューションを提供することを目指している。PPSは、このインフラストラクチャーにおいて重要な役割を果たしており、何が提供できるか、それについて日々努力している」と説明した。
現在PPSが注力しているのは、「いかにしてコンテンツを作り、それを活用できる製品づくりができるか」という点。同社のワークステーション、プリンタ、ノートPC、デスクトップPCなどの新製品は、いずれもコンテンツの作成能力、活用能力を重視して開発しているという。
ノートPCを例に挙げ、その実現には性能はもちろんのこと、薄さ、軽さ、バッテリ持続時間なども重要なポイントであるとし、Windows 8の市場投入にあわせてさらに注力していくだろうとした。
またプリンタ事業についても、秋に向けてラインナップをさらに充実させていく。その際もソリューションとしての提案をはじめ、「印刷すること」のみならず、複合機ならではの機能として、ドキュメント管理や、スマートフォンからも印刷できるePrint機能の充実などによって他社製品との差別化を図って行きたいとした。
PPS全体としては、イノベーションに集中していき、顧客にとって重要となるものを提供していくことを目指す。HPはPCでもプリンタでも世界ナンバーワンのシェアを誇っているが、それを強みにしてさらに展開していき、今がそのチャンスだと認識しているという。PCとプリンタを1つのリーダーシップのもと展開していくことで、市場投入の早期化を図って行きたいとした。
岡隆史氏 |
同席した日本HP 取締役 副社長 執行役員 パーソナルシステムズ事業統括の岡隆史氏は、日本の市場について補足をし、「日本においてPCとプリンタ両方がHPのブランドで揃えられていることは少ない。それはコンシューマにおける認知度が低いことも起因していると分析している。しかし事業が統合したことによって、HPブランドをより訴求しやすくなるメリットが生まれるだろう」とした。
インタビューでは、PCやプリンタ、クラウドに関する質問がされた。
先週MicrosoftがWindows 8のタブレットPC「Surface」を発表したが、これに対するHPの立場に関してブラッドリー氏は、「我々は1つの製品に対してのコメントはできない。ソリューションとして提供し、どういった体験をユーザーに提供するかが重要になってくる。もちろん、我々もWindows 8を搭載したタブレットを、企業向けに用意している」とコメントした。
アナログからデジタルへと変化する流れの中で、プリンタ事業の立場はどうなるのか、といった質問に対し、「我々は生産性向上に向けた取り組みを行なっており、これを武器にして訴求していきたい。今秋予定されているドキュメント管理のスイートの提供で、企業ユーザー向けにうまく訴求できるだろう」と答えた。
ソリューションを提供していくHPの姿勢の中で、Appleが提供しているクラウドサービス「iCloud」のような、コンシューマにも利便性の高いクラウドサービスを提供する予定があるかどうかについて尋ねたところ、「我々もクラウドサービスを提供しているが、それは利便性よりもセキュリティに重視した企業向けのものとなっている。コンシューマ向けにはもちろん興味があるが、それは我々が独自で展開すべきなのか、パートナーと組んで実現したほうがいいのか、今後課題になるだろう」と答えた。
ENVY SPECTRA XT Ultrabook PCを手にする岡隆史氏 | Officejet 150 Mobile AiO | Z1 |
(2012年 6月 25日)
[Reported by 劉 尭]