ルネサス エレクトロニクス株式会社は5月28日、TSMC(台湾積体電路製造)と提携し、40nmプロセスのマイコンを共同で開発すると発表した。
両社は既に90nmプロセスのマイコンにおいて、ルネサスがTSMCに製造を委託する形で合意をしているが、今回の40nmプロセスでは、ルネサスが保有するMONOS関連のソフトウェア技術と、TSMCが保有するハードウェア製造技術を融合する形で共同開発を行なう。サンプル出荷は2014年を見込んでいる。
岩本伸一氏 |
28日に開催された記者会見では、ルネサス エレクトロニクス 執行役員兼MCU事業本部長の岩本伸一氏が、合意に至った経緯や意図を説明。「ルネサスはマイコン開発に関するソフトウェア面で、多くのパートナーシップを抱えており、その強みがある一方で、TSMCはマイコンのハードウェア製造に関するパートナーを多く抱え、ノウハウが豊富である。今回の協業により両社のシナジーを最大限に活かし、さらなるシェア拡大を目指したい」と語った。
また、「ルネサスはグローバル展開を行なっており、グリーン(エコ)を重視した製品群も有力である。さらに100万個出荷しても不良が1個もない高品質や、パートナー連携による手厚いサポートも強みである。40nmでは、特にルネサスが得意とするフラッシュ組み込み型マイコンが他社との差別化を図れるだろう」と述べた。
TSMCの40nmプロセスを選択した理由については、低消費電力化を実現できること、従来のダイサイズの半分以下でマイコンが実現できること、さらにTSMCが既に40nmプロセスにおいて量産可能なフェーズに入っていることを挙げた。ルネサスではこれらの利点を活かし、MONOS(メタル-酸化膜-窒化膜-酸化膜-シリコン)型の組み込みフラッシュの製造を行なっていく。これにより、他社に先駆けて40nmプロセスの製品を投入できるとした。
また、「40nmプロセスマイコンの投入や、TSMCとともに推進するエコシステムにより、マイコンのリーダーとして市場を牽引し、ルネサスのマイコン事業を拡大。さらに、MONOS型フラッシュ内蔵マイコンプラットフォームを構築し、通信なども統合したSoC分野に食い込むことで、さまざまな新しい分野における需要を喚起、さらなる顧客を創出したい」とした。
協業の狙い | ルネサスのシェア | ルネサスの事業ビジョン |
ルネサスの強み | ルネサスのパートナーシップ | 40nmプロセスの特徴 |
マイコンの小型化 | 採用プロセスルールのロードマップ | 世界で初めて40nmマイコンをワールドワイドでマルチファブで展開 |
エコシステムの融合 | マイコン事業の拡大 |
SoC分野への進出 | さまざまなソリューションの実現 |
また、TSMC スペシャルティー・テクノロジー担当 ディクターのチェンミン・リン氏も登壇し、「我々は幅広いポートフォリオを展開しており、多くのパートナーシップで非常に大きいエコシステムを構築している。製造能力も十分であり、ルネサスのマイコン製造においてもフレキシブルなキャパシティを用意している」とアピールした。
チェンミン・リン氏 | TSMCのポートフォリオ | TSMCのパートナーシップ |
TSMCのウェハ出荷量(予測) | TSMCのファブ |
(2012年 5月 28日)
[Reported by 劉 尭]