【詳報】全機種Android 4.0となったNTTドコモの2012年夏モデル

5月16日 発表



 既報の通り、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ(NTTドコモ)は16日、携帯電話の2012年夏モデルを発表した。NEXTシリーズは8機種9モデル、Withシリーズは7機種が紹介されている。タブレット製品は1機種、さらにシルバー層をメインターゲットとしたらくらくホンシリーズにも、スマートフォン1機種を投入する。らくらくホンを含めたいずれのスマートフォン・タブレットもOSはAndroid 4.0(Ice Cream Sandwitch)を搭載して、6~8月に順次発売される予定。

 ほかに同社のLTEブランドである「Xi(クロッシィ)」に対応するWi-Fiルーター、そしてキッズケータイがそれぞれ1機種ずつ発表された。いわゆるフィーチャーフォンであるiモード携帯の新製品はない。総合的にみて、Androidを中心に据えた同社のスマートフォン戦略が伺えるラインナップとなっている。本稿では発表会の模様を中心にお伝えする。

2012年夏モデル発表会のプレゼンターを務めた山田隆持代表取締役社長

 2012年夏モデルの発表会には代表取締役社長の山田隆持氏が登壇した。NTTドコモは今後の役員人事として山田氏の退任と加藤薫常務の社長就任を内定しており、来たる6月の株主総会での承認を経ることで正式人事になる見通し。ドコモによる新製品や新サービスのプレゼンターとして4年に渡ってこうした発表会を盛り上げてきた山田氏にとっては、今回が最後の新製品発表の舞台になる。

 山田社長は2012年も引き続きスマートフォンの市場は拡大を続けると説明。2010年度、2011年度にはそれぞれ525万台、882万台だった同社スマートフォンの年間販売台数だが、2012年度は1300万台を目標に取り組むという姿勢を示した。この日発表された全19機種のうち、キッズ向けとWi-Fiルーターを除いた17製品すべてがAndroid 4.0を搭載するスマートフォンになる。この数は多様なユーザーの様々なニーズに応えるための機種数としている。


●「スペック」で選ぶスマートフォンから「使い方」で選ぶスマートフォンへ
「スペック」から「使い方」で選ぶスマートフォンへ

 多彩なラインナップを用意した上で、強調されたのは「スペック」で選ぶスマートフォンから「使い方」で選ぶスマートフォンへの移行だ。製品紹介はNEXT、withといったカテゴリではなく、Xi対応、NOTTV対応、パネルのサイズバリエーションによる選択といった方向性がそれぞれに示された。ちなみにXi対応機種はWi-Fiルーター1機種を含む12機種、NOTTV対応は5機種となる。パネルサイズとしては3型台に4機種で、4型台10機種、5型台2機種のラインナップとなる。

 使い方の1つとして提示されたのがらくらくホンだ。今回発表された「らくらくスマートフォン F-12D」は、累計2,000万台以上を販売したらくらくホンシリーズでは、初めてのスマートフォンになる。大きなボタン表示と読みやすい文字サイズ。3つのワンタッチダイヤルボタンは従来モデルを継承する。はっきりボイス、ゆっくりボイスを搭載するなど、今までどおりに簡単な操作体系を維持することを強調した。また、買ってすぐ使えるように「あえてGoogleアカウントの設定には対応していない」として、Google Play(旧Android Market)や、アカウントが必要なGoogle製アプリケーションは利用できないようになっている。例えばメールサービスは、キャリアメールであるiモードメールのアドレスがspモードで利用できるという仕組みだ。

 また料金プランの施策として、パケット定額の「らくらくパケホーダイ」を導入する。らくらくスマートフォンユーザーを対象に、月額2,980円で提供される。通常のパケホーダイに比べて安価ではあるが、転送容量のキャップを月間500MBに抑えた。課金期間内にこの容量を超えた場合は、それ以降の転送速度が128kbsに制限される。

 質疑応答では、以前に数値として示された3GBという転送容量よりも低いのではないかという質問があったが、これは質問者の誤解を含むものとして、あらためて説明と根拠が示されている。3GBという数値は一般的なパケホーダイにおけるXiの転送容量のキャップ位置として検討している数値例として以前コメントされた。

 今回のらくらくスマートフォンに関しては、従来のらくらくホンユーザーがスマートフォンに切り替えている事例をもとに、大多数が200MB程度の転送容量で収まるという数値を導いており、その上で500MBという設定値が提示されているとのこと。一般的なフラットレートの考えとしては、大容量使用者と一般的なユーザーを区別する段階料金を設定する適切な数値を今後も検討するとしている。

らくらくスマートフォンのユーザーを対象に、「らくらくパケホーダイ」を導入「らくらくスマートフォン F-12D」

 シニア層についても、スマートフォンへの興味は高いとみている。その上で、使い勝手がどうか? 使用料金がどうか? というユーザーからの疑問や不安がある。累計2,000万台以上売れたシリーズの中で、今でも1,000万契約弱が利用している。これらの人々に今後はスマートフォンを使ってもらえるような機種なり利用料金の施策などの取り組みを継続していくという。

 画面スクロールの滑らかさの向上も目標値として50fpsという数値をあげ、CPUの高性能化やAndroid 4.0の導入や最適化などで実現し、こうしたユーザー体験を向上させていく。

 また、春モデルとして発表済みのヱヴァンゲリヲンコラボモデルに加え、夏モデルではOptimus Vu:と「ジョジョの奇妙な冒険」のコラボレーションモデル、F-09Dとファッションブランドの「ANTEPRIMA」のコラボレーションを発表した。こうしたコラボ展開は個性化を含めて顧客ニーズも高く、積極的に展開している分野としている。加えて、冬春モデルに比べて平均値としてバッテリ容量を約20%増量している点や、約1時間で全体容量の80%を急速に充電できる充電アダプタに対応する製品2機種「MEDIAS x N-07D」「ELUGA Power P-07D」など、夏モデルにおける特徴的な取り組みを紹介した。

サイズバリエーションの紹介冬モデルの平均値に対してスクロールの滑らかさを2倍へ。目標値は50fps
タッチ&トライのエリアではこうした展示も目立った個性化を含めて顧客ニーズも高く、積極的に展開している分野としているコラボレーションモデル
コラボレーションモデルの数々

●Galaxy S III

 Galaxy Sシリーズとしては初めておサイフに対応する。「GALAXY S III」は、Qualcomm製の1.5GHzデュアルコアMSM8960、メモリ2GB、ストレージ32GB、720×1,280ドット表示対応の4.3型有機EL、インターフェイスは、800万画素外側カメラ、190万画素内側カメラ、おサイフケータイ、ワンセグ、Wi-Fi(テザリング対応)、Bluetooth 4.0、GPSなどを搭載。

 本体サイズは約71×137×9.0mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約139g。バッテリ容量は2,100mAh。本体色はペブルブルーとマーブルホワイト。6~7月発売予定。

●AQUOS PHONE ZETA SH-09D

 新開発のパネルで独自ののぞき見防止機能なども備える。おくだけ充電にも対応する全部入りケータイ。「AQUOS PHONE ZETA SH-09D」は、Qualcomm製の1.5GHzデュアルコアMSM8960、メモリ1GB、ストレージ16GB、720×1,280ドット表示対応の約4.7型液晶、インターフェイスは、1,200万画素外側カメラ、30万画素内側カメラ、おサイフケータイ、赤外線通信、ワンセグ、Wi-Fi(テザリング対応)、Bluetooth 3.0、GPS、防水機能などを搭載。

 本体サイズは約67×130×10.8mm(同)、重量は約140g。バッテリ容量は1,900mAh。本体色はホワイト。6~7月発売予定。


●Xperia GX SO-04D

 キャリアより先行して製品発表の行なわれたXperiaのニューモデル。Xperiaとしては初めてXiに対応する。「Xperia GX SO-04D」は、Qualcomm製の1.5GHzデュアルコアMSM8960、メモリ1GB、ストレージ16GB、720×1,280ドット表示対応の約4.6型液晶、インターフェイスは、1,300万画素外側カメラ、130万画素内側カメラ、おサイフケータイ、Wi-Fi(テザリング対応)、Bluetooth 3.1、GPSなどを搭載。

 本体サイズは約69×131×10.5mm(同)、重量は約127g。バッテリ容量は1,700mAh。本体色はブラック、ホワイト。7月発売予定。


●ARROWS X LTE F-10D

 NVIDIAのクアッドコアCPU「Tegra 3」を搭載するハイスペックモデル。「ARROWS X LTE F-10D」は、1.5GHzクアッドコアTegra 3、メモリ1GB、ストレージ16GB、720×1,280ドット表示対応の約4.6型液晶、インターフェイスは、1,300万画素外側カメラ、130万画素内側カメラ、おサイフケータイ、赤外線通信、ワンセグ、Wi-Fi(テザリング対応)、Bluetooth 4.0、GPS、防水機能などを搭載。

 本体サイズは約67×135×11.8mm(同)、重量は約155g。バッテリ容量は1,800mAh。本体色はブラック、ホワイト、ブルー。7~8月発売予定。


●REGZA Phone T-02D

 最新のモバイルレグザエンジンを搭載し、REGZAブランドでNOTTVに対応する映像コンテンツ重視ともいえる製品。「REGZA Phone T-02D」は、Qualcomm製の1.5GHzデュアルコアMSM8960、メモリ1GB、ストレージ8GB、540×960ドット表示対応の約4.3型有機EL、インターフェイスは、1,300万画素外側カメラ、130万画素内側カメラ、おサイフケータイ、赤外線通信、ワンセグ、Wi-Fi(テザリング対応)、Bluetooth 4.0、GPS、防水機能などを搭載。

 本体サイズは約64×130×9.9mm(同)、重量は約139g。バッテリ容量は1,800mAh。本体色はブルー、ブラック、ピンク。7~8月発売予定。


●Optimus Vu: L-06D

 スマートフォンとしては珍しいアスペクト比4:3の約5.0型液晶を搭載。タッチペン入力も可能な製品。2月のMWCではグローバルモデルとして発表されたが、日本市場向けにはおサイフ、ワンセグ、赤外線のすべてと、NOTTVまでも搭載して投入される。カラーはブラック。

 また、コラボレーションモデルとして「L-06D JOJO」が発売される。製品名のJOJOから想像できるように、少年ジャンプに長期連載されている荒木飛呂彦氏による「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズの世界観とコラボレート。本体には書き下ろしイラストとサインがプリントされるほか、オリジナル壁紙やコミックス、専用アプリなどをプリインストイールして発売される。

 「Optimus Vu: L-06D」は、Qualcomm製の1.5GHzデュアルコアAPQ8060、メモリ1GB、ストレージ32GB、768×1,024ドット表示対応の約5.0型液晶、インターフェイスは、800万画素外側カメラ、130万画素内側カメラ、おサイフケータイ、Wi-Fi(テザリング対応)、Bluetooth 3.0+HS、GPSなどを搭載。

 本体サイズは約90×140×9.4mm(同)、重量は約176g。バッテリ容量は2,000mAh。本体色はブラックおよびJOJOホワイト。7-8月発売予定。


●ELUGA power P-07D

 バルセロナで開催されたMobile World Congress(MWC)において、パナソニックのグローバル向けブランドとして発表された「ELUGA」が国内市場にも登場する。「ELUGA power P-07D」は、Qualcomm製の1.5GHzデュアルコアMSM8960、メモリ1GB、ストレージ8GB、720×1,280ドット表示対応4.3型液晶、インターフェイスは、800万画素外側カメラ、130万画素内側カメラ、おサイフケータイ、Wi-Fi(テザリング対応)、Bluetooth 3.0、GPSなどを搭載。

 本体サイズは約70×136×9.6mm(同)、重量は約133g。バッテリ容量は1800mAh。本体色はブラック。8月発売予定。


●AQUOS PHONE sv SH-10D

 「AQUOS PHONE sv SH-10D」は、Qualcomm製の1.5GHzデュアルコアMSM8960、メモリ1GB、ストレージ8GB、720×1,280ドット表示対応4.3型液晶、インターフェイスは、1,200万画素外側カメラ、30万画素内側カメラ、おサイフケータイ、赤外線通信、ワンセグ、Wi-Fi(テザリング対応)、Bluetooth 3.0、GPS、防水機能などを搭載。

 本体サイズは約64×126×9.9mm(同)、重量は約138g。バッテリ容量は1900mAh。本体色はオレンジ、シルバー、ブラック。8月発売予定。


●MEDIAS X N-07D

 「MEDIAS X N-07D」は、Qualcomm製の1.5GHzデュアルコアMSM8960、メモリ1GB、ストレージ8GB、720×1,280ドット表示対応の約4.3型液晶、インターフェイスは、810万画素外側カメラ、130万画素内側カメラ、おサイフケータイ、赤外線通信、ワンセグ、Wi-Fi(テザリング対応)、Bluetooth3.1、GPSなどを搭載。

 本体サイズは約67×130×7.8mm(同)、重量は約127g。バッテリ容量は1,800mAh。本体色はホワイト、ピンク、ブラウン。6~7月発売予定。


●Optimus it L-05D

 「Optimus it L-05D」は、Qualcomm製の1.5GHzデュアルコアMSM8960、メモリ1GB、ストレージ8GB、480×800ドット表示対応の約4.0型液晶、インターフェイスは、1,300万画素外側カメラ、130万画素内側カメラ、おサイフケータイ、赤外線通信、ワンセグ、Wi-Fi(テザリング対応)、Bluetooth 4.0/2.1+EDR、GPSなどを搭載。

 本体サイズは約62×124×9.9mm(同)、重量は約135g。バッテリ容量は1,650mAh。本体色はブラック、ホワイト、ピンク、パープル。6~7月発売予定。


●Xperia SX SO-05D

 「Xperia SX SO-05D」は、Qualcomm製の1.5GHzデュアルコアMSM8960、メモリ1GB、ストレージ8GB、540×960ドット表示対応の約3.7型液晶、インターフェイスは、1,300万画素外側カメラ、130万画素内側カメラ、おサイフケータイ、赤外線通信、ワンセグ、Wi-Fi(テザリング対応)、Bluetooth 3.1、GPSなどを搭載。

 本体サイズは約54×115×9.4mm(同)、重量は約95g。バッテリ容量は1,500mAh。本体色はブラック、ホワイト、ピンク、オレンジ。8月発売予定。

●ELUGA Livs P-08D

 タブレット製品はパナソニック製の「ELUGA Livs P-08D」で、NOTTVに対応する防水モデル。ワンセグの試聴も可能だ。同社のBDレコーダ、DIGAとの連携機能もある。「ELUGA Live P-08D」は、Qualcomm製の1.2GHzデュアルコアOMAP4460、メモリ1GB、ストレージ16GB、720×1,280ドット表示対応4.3型液晶、インターフェイスは、810万画素外側カメラ、おサイフケータイ、Wi-Fi(テザリング対応)、Bluetooth3.1、GPSなどを搭載。

 本体サイズは約181×262×11.7mm(同)、重量は約95g。バッテリ容量は1,900mAh。本体色はノーブルシャンパン。8月発売予定。


●L-04D

 LGエレクトロニクス製のXi対応Wi-Fiルーター「L-04D」。重量89g。バッテリ容量は1,650mAh。最大10台のクライアントをIEEE 802.11b/g/nで接続可能。カラーはホワイトとレッドの2色。


●ドコモクラウドをブランド化。土管化しないネットワークサービスを強調

 新サービスとしてはクラウドサービスの充実をポイントとしている。以前、2015年に向けた中期ビジョンとして、パーソナルクラウド、ビジネスクラウド、ネットワーククラウドを提唱した。ネットワーククラウドは同社による造語。この3月からサービスがはじまった「しゃべってコンシェル」を、ネットワーククラウドの1つの事例としてあげている。

クラウドサービスに4つの拡充や新サービス

 ネットワーククラウドの定義としては、ネットワーク自体がインテリジェンスを持ち、高度な処理を行なう付加価値を提供する。これは利用する端末を問わない回線上のサービスとして通信事業者が提供するのが目標。対極にあるネットワークの土管化を避けるという考えだ。既存、新サービスを含めて同社の回線利用者に利用する端末を問わないサービスを「ドコモクラウド」としてブランド化していく。まず、具体的には「しゃべってコンシェル」の機能拡充をあげた。現在は質問に対して検索結果を表示している段階だが、6月には質問の答えを推定して回答するサービスを提供する。

 この「しゃべってコンシェル」のデモンストレーションは、これまでに続いてイメージキャラクターを務める俳優の渡辺謙さんと女優の堀北真希さんが登場したトークセッションでも披露された。

 堀北さんが手にしているのはXperia SX。撮影用とデモ用ではデモ時に画面を投影する必要からケーブル接続されたものに持ち替えられていたものの、

 「渡辺謙さんの出身地はどこ?」という堀北さんの問いかけに対し、『「渡辺謙さんの出身地はどこ? 」で、ご質問をうけたまわりました。私の知っている情報では、渡辺謙さんの出身地は新潟県です。』と回答した。

 一方、同じようにARROWS X F-10Dを手にした渡辺さんの「堀北真希さんの誕生日を教えて」という問いかけには、『「堀北真希さんの誕生日を教えて」で、ご質問を承りました。私の知っている情報では堀北真希さんの生年月日は1988年10月6日です』と回答した。

 いずれも正解とのことで、渡辺さんは「1人、物知りな友達が増えた感じ」という感想を述べた。堀北さんも「ちゃんと、答えが返ってくるのが嬉しい」とのこと。

ARROWS X F-10Dを手に「「堀北真希さんの誕生日を教えて」。そして、その回答
スマートフォンもタブレットも使っているという渡辺謙さん。「画面の大きさが違うぐらいで、機能的には同じものと感じている。資料や写真を見るのにはタブレットが便利。日常的に使うのはスマートフォン」とのこと。「地方にいることも多いので、まずつながることが重要。通信速度がはやければ快適さにもつながります」とコメントXperia SXを手にした堀北真希さんは「手の小さい女性にも持ちやすい大きさ。色やデザインも気に入りました」とのこと。拡充するサービスに触れて「どんどん便利になっていくのだから、皆さんの生活を充実させて、より便利で楽しい毎日をすごしてほしい」とメッセージを送った

 さらに6月から提供されるのが、「メール翻訳コンシェル」。文字通りメールを他国言語に翻訳して送受信する。日本語でメールを送っても他言語のユーザーにその国の言語のメールとして届き、返信がその言語でなされても、読む際には日本語に翻訳されて読める仕組みだ。最初は「英語、韓国語、中国語」の3カ国語を対象にサービスを開始する。専用アプリケーションが必要になるが、サービスは無料で提供される。あわせて、通訳電話の対象国を10カ国に拡大する。

 そのほか「フォトコレクション」を8月から提供予定。写真や動画などを対象とした5GBまでのクラウドストレージで、Evernote、Eye-Fi、そして現時点では日本でサービスが開始されていない「HighCam」といった外部サービスとも連携する。

 dマーケットのマルチデバイス対応を8月から実施。dマーケットの「VIDEOストア」、「MUSICストア」、「BOOKストア」などで購入したり利用したりしたコンテンツを複数のデバイス(スマートフォンやタブレット)で共有する。これは例えばAppleのiTuens Storeなどでもすでに提供されているサービスと同等。そして、このdマーケットに「アニメストア」が7月から加わる。アニメストアもこのマルチデバイス化の対象。

 新設されるアニメストアは月額420円(税込)で、登録されているアニメが見放題となるサービス。1~2年で百万契約を目指す。サービス開始当初は、約500タイトルの10,000話を提供。発表によると、月額固定制のアニメ配信サービスとしては、最大級の作品数が揃うことになるという。この「アニメストア」の企画・運営に際して、NTTドコモは株式会社角川書店と合弁会社を設立することで合意した。出資比率はNTTドコモ側が60%、角川書店側が40%。角川書店の安田猛取締役が新会社社長に就任して、5月下旬に「株式会社ドコモ・アニメストア」の設立を予定する。前述したアニメストアへのコンテンツ配信サービス事業を軸に、アニメのライセンス事業、新作アニメ作品等への出資も事業目的に含まれる。

 アニメストアの発表に際しては、角川グループホールディングスの角川歴彦会長と角川書店の安田猛取締役も登壇。日本が世界に誇れるコンテンツとして、スマートフォン時代の新たな体験を提供するとコメントした。提供されるのは角川グループの作品ばかりではなく、他社の作品も含まれる。これはアニメ業界のネットワークを活かし、前述した新作アニメなどへの投資などを含めて、アニメ業界全体の活性化を目指す意図もある。

登壇した角川グループホールディングスの角川歴彦会長(中央)、と設立される新会社の社長になる安田猛角川書店取締役(右)新会社「ドコモアニメストア」の概要

 質疑応答では映像系サービスであるNOTTVとビデオストア、アニメストアの連携も問われた。直接連携することはないが、相乗効果はあると見込むという。またNOTTVについては、商品戦略としてはできるだけ多くの端末に搭載することが重要としている。(機能追加で)コスト高になるようではだめだが、次の冬モデルではさらにラインナップを強化していく意向も示した。

 今回の新製品発表に際してiモード端末がないことから、質疑応答での今後の市場性の有無と継続性についての質問もあったが、スマートフォンへとシフトしていることも認識したうえで、市場性がなくなったわけではないと回答。前回の冬モデルとして発表した製品で1年程度の対応を続けるとし、製品としてのサイクルが以前と比べて長期化していくという見通しを示している。

 同じく端末関連では、もはや定番の質問となったApple社のiPhone導入に関する意向も問われたが、ネットワーククラウドとして土管化ではなくネットワークのインテリジェンス化を目指す現在の環境では難しいという従来の見方を繰り返した。いっぽうで、Windows Phoneについては、最終決定ではないものの、次の冬モデルでの導入を検討していることも明らかにされている。

(2012年 5月 17日)

[Reported by 矢作 晃]