Qualcomm、Snapdragon S4の白書を公開
~“コンパニオンコア”なしで高性能/低消費電力を実現

MSM8960のブロックダイヤグラム

10月7日(現地時間)公開



 米Qualcommは7日、次期モバイル端末向けSoC「Snapdragon S4」のホワイトペーパーを公開した。

 Snapdragon S4には、CPUのコア数などによっていくつか派生品があるが、本文書では、「Krait」CPUコアを2基内蔵する、「MSM8960」について解説している。Kraitの概要については、3月に国内でも説明会が持たれているが、本文書にはGPUコア「Ardeno 225」のより詳しい情報も公開されている。

 Snapdragon S4は、モバイルCPUとして初という28nmプロセスを採用し、チップサイズの縮小と電力効率の向上を実現。同社第2世代となるKrait CPUコアは、新しいパイプライン技術により、現行のScorpionと比べ性能を60%強化。128bitの浮動小数点演算およびSIMDユニットも搭載する。また、電圧やクロックをコア毎に制御可能な、aSMP(非同期SMP)構成としており、シングルスレッドでは使わないコアの電力をゼロにできるので、一般的な同期型SMPより消費電力を25~40%削減できるという。

 これにより、“コンパニオン”あるいは“小型”のコアを持たせる必要がないとまとめているが、これは、先だって5つの目コンパニオンコアを持つことが公開されたNVIDIAの「Kal-El」について言及しているものと思われる。

 また、40nm世代の製品と比べ、ピーク性能をより長時間維持でき、バッテリ駆動時間も延びるとしている。

 MSM8960に搭載されるGPUコアは「Adreno 225」と呼ばれ、OpenGL ES 2.0に準拠するプログラマブルな統合シェーダアーキテクチャとなった。メモリバンド幅も2倍となり、性能はAdreno 220と比べ50%増、Adreno 200に対しては6倍に伸びた。また、DirectX 9.3にも準拠し、Windows 8への対応を謳っている。

 このほか、MSM8960は、LTE、Bluetooth、Wi-Fi、NFCなどのネットワーク機能と、独自のメモリ管理ユニットを持ち、マルチプロセシングに対応するDSPも統合している。

 同チップは現在、サンプル出荷中。

40nm世代との性能と消費電力の比較GPUの世代間の性能比較

(2011年 10月 11日)

[Reported by 若杉 紀彦]