楽天株式会社は10日、電子書籍ストア「Raboo(ラブー)」をオープンし、これに合わせて記者説明会と、同ストアの専用読書端末となるパナソニック製7型タブレット「UT-PB1」の体験会も合わせて催した。
●楽天スーパーポイントが利用できる「Raboo」は先行配信に注力楽天株式会社イーブック事業長 谷口昌仁氏 |
説明会の冒頭では、楽天の電子書籍ストアRabooに関して、同社イーブック事業長の谷口昌仁氏から説明が行なわれた。
Rabooは楽天が新たにオープンした電子書籍ストアで、フォーマットにはXMDFを採用し、楽天IDを用いて電子書籍が購入できる。当初の配信タイトル数は約15,000点とされる。現時点でPCからの閲覧には対応していないため、同日発売されたパナソニック製専用端末「UT-PB1」が、今のところ「Raboo」の唯一の利用手段ということになる。
谷口氏は、Rabooには3つの特徴があると説明。まず1つは著名作家や人気作品の先行配信。出版社との協力体制により、楽天でしか買えないタイトルを先行配信していきたいとする。オープン当初のタイトル数は15,000点と必ずしも多くないが、タイトル数よりも紙の書籍の売れ筋を電子化することに注力し、現在は売上ランキング1,000位圏内の書籍では10%程度にとどまっている電子書籍化の割合を、今後1~2年を目処に95%にしたいと目標を述べた。
またRabooでは、各電子書籍の10~40ページを購入前に見られる「チラよみ」を採用するほか、購入時にはコンテンツ価格の1%分のポイントを楽天スーパーポイントとして付与、さらに貯まったポイントを利用して新たに電子書籍を購入できる点など、他のストアと比べた際の優位性を強調した。
谷口氏は電子書籍の普及について「人間の根源的な欲求からして(今後は)電子書籍に行かざるを得ない」と語る。その理由として「欲しい本はすぐに読みたいというのが根源的な欲求であり、Amazonや楽天ブックスでは早く届いたとしても(多くの場合)翌日になってしまう。今すぐ読みたいというニーズは確実にあり、ダウンロードしてすぐに読むという形に慣れてもらえれば、必ずそちらの方に来ていただける」と自信を見せる。すでに紙の本の販売で実績がある楽天ブックスとの連携も含め、顧客の利便性をトータルで向上させていきたいとした。
また今後のロードマップとして、今秋に.bookに対応するほか、EPUB3についても積極的に推進する姿勢を見せた。プラットフォームについては、8月末に新たにPC用ストアをオープンするほか、すでに予告されているソニー製端末への対応や、Android端末、さらに「難しい面もある」としながらも、iOSの対応についても検討中であるとした。
当初はパナソニック「UT-PB1」用のストアを展開。8月末にPC用ストア、さらにソニー端末、Androidにも展開するほか、iOSについても検討中としている | 質疑応答では、購入した本を書店やデバイスを問わず読み続けられるための施策として、共有書庫の導入を検討中であることが明らかにされた |
●「本を探す楽しみをナビゲートする」7型の専用端末「UT-PB1」
パナソニック株式会社AVCネットワークス社事業開発センター事業推進第一グループ市場開発室室長 伊藤正男氏 |
続いて、パナソニック株式会社AVCネットワークス社事業開発センター事業推進第一グループ市場開発室室長の伊藤正男氏から、Rabooと連携する専用端末「UT-PB1」に関する説明が行なわれた。
UT-PB1は、7型のTFTカラー液晶画面を持つAndroidベースのタブレットで、直販価格は34,800円。約600冊の「チラよみ」コンテンツがプリインストールされており、気に入ったコンテンツは無線LAN経由でRabooに接続して購入することができる。端末単体で書籍をダウンロード購入できるコンセプトは、国内ではシャープの「GALAPAGOS」に近い。
また電子書籍のほか、ブラウザやメール、リモコンアプリなど16種類のアプリが搭載されているが、ユーザによる追加は不可能で、実質的に電子書籍を中心とした用途となる。
伊藤氏は、UT-PB1のコンセプトは「単に本を読むだけではなく、本を探す楽しみをナビゲートすること」にあると語り、プリインストールされた600のコンテンツのほか、楽天との協業によるランキングやオススメ情報の配信を通じて、新しい本との出会いを提供していきたいとした。
また、多くのユーザが電子書籍の入り口でつまずいているという調査結果をもとに、どの画面にいてもホームボタンを押せば元の画面に戻れるという、ユーザの迷いを減らすインターフェイスを採用したのも大きな特徴であるとし、UT-PB1の完成度に自信を見せた。
以下、会場での試用レポートを写真にまとめる。
(2011年 8月 11日)
[Reported by 山口 真弘]