日本電気のTK-80 ※2010年撮影 |
一般社団法人情報処理学会は23日、第3回目となる情報処理技術遺産および分散コンピュータ博物館の認定を行なった。
この認定制度は、国内のコンピュータ技術発達史上、重要な研究開発成果や国民生活、経済、社会、文化などに顕著な影響を与えたコンピュータ技術や製品などの中で、現存する貴重な史料の保存を目的としており、2009年より毎年認定が行なわれている。
今回は、情報処理技術遺産として、早川電機工業(現シャープ)が1964年に製造発売した世界初のオールトランジスタ式電子卓上計算機「CS-10A」、日本電気が1976年に発売したマイコン・トレーニング・キット「TK-80」など9件が認定。分散コンピュータ博物館は、北陸先端科学技術大学院大学JAIST記号処理計算機コレクションが認定された。
情報処理技術遺産 | |||
認定品 | 製造者 | 製造年 | 説明 |
翻訳実験用計算機 KT-1 論理パッケージ、磁気ドラム | 九州大学 | 1958~1959年 | 日・英・独3カ国語相互実験翻訳のため、間接翻訳方式の言語処理用計算機として開発された実験用計算機 |
14-B | カシオ計算機株式会社 | 1959年 | カシオ計算機創業の機械、14Aに続いて発売され、現在でも稼働するようメインテナンスされている科学計算用リレー計算機 |
NEAC-2206 | 日本電気株式会社 | 1963年 | コアメモリの内部記憶、磁気テープ装置の外部記憶を備えた大型汎用の電子計算機システム |
CS-10A | 早川電機工業株式会社 | 1964年 | 1964年に製造発売された世界初のオールトランジスタ式電子卓上計算機 |
USAC-3010 | ウノケ電子工業株式会社 | 1967年 | 後年のオフィスコンピュータの源流のひとつとなったトランジスタ式の超小型コンピュータ |
FACOM 230-25システム一式 | 富士通株式会社 | 1973年 | 我が国のコンピュータ普及期を代表する中型機のひとつで、当時のまま揃って保存されているシステム構成一式 |
HITAC 8700 | 株式会社日立製作所 | 1973年 | 国産初の32ビット仮想アドレス方式、主記憶共有マルチプロセッサ、バッファ記憶方式を特徴とする汎用大型機 |
TK-80 | 日本電気株式会社 | 1976年 | 1976年に発売されたマイコン・トレーニング・キット |
PANAFACOM Lkit-16 | パナファコム株式会社 | 1977年 | 我が国初の1チップ16ビットマイクロコンピュータを内蔵した、コンピュータ知識普及用の学習キット(世界同時初と言える) |
分散コンピュータ博物館 | |
北陸先端科学技術大学院大学JAIST記号処理計算機コレクション | 1980年代に開発されたLISPマシン「ELIS」など記号処理用計算機が約20台保存されており、一部動態展示も予定されている |
(2011年 2月 23日)
[Reported by 若杉 紀彦]