情報処理技術遺産に「OASYS 100」親指シフトや初代「一太郎」が認定

富士通「OASYS 100」

3月2日 発表



 社団法人 情報処理学会は2日、第2回目となる情報処理技術遺産、分散コンピュータ博物館の認定を行なった。今回は情報処理技術遺産が11件、分散コンピュータ博物館が2件。ジャストシステムの初代「一太郎」は、ソフトウェアとして初めて情報処理技術遺産に認定された。

 情報処理技術遺産の制度は、国内のコンピュータ技術発達史上、重要な研究開発成果や国民生活、経済、社会、文化などに顕著な影響を与えたコンピュータ技術や製品などの中で、現存する貴重な史料の保存を目的としている。

 分散コンピュータ博物館は、小規模ながら貴重な史料の保存/展示を行なっている資料室、コレクションが国内各地に点在しており、それらをネットワーク化して利用拡大を促すのが狙い。

 第2回目に認定された情報処理技術遺産と分散コンピュータ博物館は以下の通り。

平成21年度 情報処理技術遺産
認定リスト製造者製造年説明
微分解析機昭和航空計器など1940年代前半黎明期の機械式コンピュータで当時の最高水準の技術を用いて実現された精巧な歯車機構を有する
HITAC 201日立製作所1961年初期のトランジスタ式コンピュータで装置全体が現存するものとしては最も古いものの1つ
NEAC-2203 NARC日本電気1961年わが国初の科学計算用コンパイラ
MARS-101日立製作所1963年MARS-1の後継として、全国の列車の予約関連業務全般を扱う日本初の本格的なオンラインリアルタイムシステム
NEAC-1210日本電気1966年当時ベストセラーのパラメトロン式オフィス用小型コンピュータ
MELCOM81三菱電機1968年オフィスコンピュータと称した初のコンピュータ
SCK-201形漢字鍵盤さん孔機新興製作所1968年漢字入力に用いられた漢字鍵盤さん孔機
2400B型ラインプリンタ沖電気工業1973年2400ボー活字ベルト式ラインプリンタ
FACOM 603F磁気テープ装置富士通1973年わが国初のシングルキャプスタン方式磁気テープ装置
OASYS 100及び親指シフトキーボード試作機富士通1983年独自の日本語入力方式を採用したワープロとそのキーボード
初代「一太郎」ジャストシステム1985年パソコン用日本語ワープロソフトとして一世を風靡した

平成21年度 分散コンピュータ博物館
東京理科大学近代科学資料館計算器具・機器類から微分解析機やパラメトロンコンピュータFACOM 201まで貴重な遺産が多数保存、展示されている
東北大学サイバーサイエンスセンター展示室同大学計算センターで使われたコンピュータを中心に部品などを保存しコンピュータ技術の発展をわかりやすく展示している

(2010年 3月 2日)

[Reported by 山田 幸治]