キヤノン、PIXUSフルモデルチェンジ発表会
~今年はデザインとユーザーインターフェイスが決め手

8月30日 発売

価格:オープンプライス



川崎正己氏

 キヤノンは、家庭用インクジェットプリンタ「PIXUS(ピクサス)」の発表会を都内で開催した。

 発表会では、まず、キヤノンマーケティングジャパン 代表取締役社長 川崎正己氏が登壇し、「国内市場動向と新製品の狙い」というテーマで語った。

 国内のインクジェットプリンタ市場は縮小傾向にあったが、2010年前半は対前年6%増と、久しぶりに回復した。キヤノンでは2010年全体で対前年4%増を予想しており、500万台を越えるとみている。シェアは、前半の実績が46%で、全体では50%を越えてシェアNo.1を目指すとした。

インクジェットプリンタ市場は、久しぶりに対前年を上回っている消耗品の動向では、キヤノンは業界全体を上回る伸びを見せている

 2010年の新製品の特徴としては、「ブラック&ボックスの新デザイン」と「新ユーザーインターフェイス」となっている。また、PIXUSは10周年を迎えて、ロゴも一新された。新しいロゴは「蝶のように未来にはばたくイメージ」と紹介された。

「PIXUS」に込められた意味PIXUS10年の歩みPIXUSの新しいロゴ
「新デザイン」と「新UI」が今年の訴求点新ラインナップマーケットシェアNo.1を目指す
清水勝一氏

 続いて、キヤノン 常務取締役 インクジェット事業本部長 清水勝一氏が登壇し、新製品の特徴を紹介した。

 真っ先に紹介されたのは「インテリジェントタッチシステム」で、デザインと操作性を両立させたことが強調された。また、見た目だけではなく、視線の動きを記録するアイトラッキング試験の結果でも、光によるナビがONになると、迷いがなくなり視線に無駄な動きが少なくなると紹介された。また、操作時間の比較でも、モード選択やカレンダー印刷の操作時間が半分~3分の1に短縮されるという。

デザインと操作性を両立させた視線の無駄な動きが少ない操作時間も大幅に短縮される

 もう1つの新機能として「フルHD動画プリント」が紹介された。キヤノンのデジタルカメラでは、フルHD動画の撮影機能を持つ製品が増加しているが、その動画の中の1コマを印刷できる機能だ。対象となるのは、キヤノン製デジカメで撮影されたMOVファイルとなっている。

 細かなところでは、「自動写真補正II」の印刷機能が強化され、従来の青かぶりに加え、赤かぶりの補正機能が追加された。

 また、シリーズ全機種にスリープモードが追加されるなど、省電力設計が強化されている。

キヤノン製デジカメのフルHD動画から1コマを選んで印刷できる純正インク使用者には、専用のプレミアサイトが用意されるプレミアサイトでは、有名アーティストの作品が提供される
青かぶりに加え、赤かぶりも自動補正される基本システムは、このところ落ち着いた印象だ環境配慮は、コンシューマ向け製品の基本要素
佐々木統氏

 最後にキヤノンマーケティングジャパン 専務取締役 コンスーマイメージングカンパニープレジデントの佐々木統氏が、国内のマーケティング戦略を説明した。

 プリンタを購入したユーザーへのアンケートでは、従来のプリント画質重視から、デザイン/操作性、そして無線LAN対応が重視されるようになってきたという。特に無線LAN対応を挙げる人は、一昨年の18%から昨年の59%へと急激に上昇している。同様に、PCの無線LAN利用率は、30%から36%へ上がっているが、プリンタの無線LAN利用率は5%から23%へと上がっている。それでも、全体から見れば4分の1弱なので、今後も拡大していくことが見込まれるという。

無線LAN対応が重視されるようになった80%以上のユーザーがデザインには満足している
どの機種でも80%以上のユーザーが操作性に満足している無線LANは普及が進んでいるが、まだ伸びる余地は大きい

 今年のコミュニケーションパートナーは、昨年に続き岡田将生さんだが、CMの方向性はかなり変わっている。おとなしく説明するという印象だった昨年のCMに比べ、今年はノリの良いイメージ重視という印象を受けた。9月と10月は「光でナビ」と「無線LAN」がテーマで、11月と12月は「写真年賀状」がテーマとなる。

昨年に引き続き岡田将生さんがコミュニケーションパートナーグラフィック広告例1グラフィック広告例2
広告宣伝スケジュール新しい情報ツール「キヤノンお知らせメッセンジャー」も用意された各層への情報伝達手段

 質疑応答では、具体的なシェアの数字として「50%は取れるかなという手応えはある」という回答があり、新製品への自信が伺われた。

 発表会全体を通して繰り返し訴求されたのは、デザインと操作性だ。特に光で操作をガイドする「インテリジェントタッチシステム」は上位2機種のみの搭載とは思えないほど強調されていた。このシステムへの注力ぶりは、従来では中位機種が充てられている主力機種(その年に一番多く売る機種)に、シリーズ全体でも上から2番目の上位機種である「MG6130」を想定していることからもわかる。MG6130のみシルバーモデルが用意されるほどの注力ぶりだ。

 シリーズ全体のイメージを一新したPIXUSと、それを代表するMG6130に対し、ライバルメーカー各社がどのように対抗してくるのか楽しみなところだ。

今回発表された新製品は複合機が5機種(+色違い1機種)、プリンタが1機種展示会場に並んだ全機種展示会場には各機種が並べられ、機能が紹介された
MG6130のみシルバーも用意されるMG6130。ブラックは光沢があるのがよくわかる昨年モデルとは異なり、液晶はたたんだ状態でも見える

(2010年 8月 31日)

[Reported by 伊達 浩二]