川崎正己氏 |
キヤノンは、家庭用インクジェットプリンタ「PIXUS(ピクサス)」の発表会を都内で開催した。
発表会では、まず、キヤノンマーケティングジャパン 代表取締役社長 川崎正己氏が登壇し、「国内市場動向と新製品の狙い」というテーマで語った。
国内のインクジェットプリンタ市場は縮小傾向にあったが、2010年前半は対前年6%増と、久しぶりに回復した。キヤノンでは2010年全体で対前年4%増を予想しており、500万台を越えるとみている。シェアは、前半の実績が46%で、全体では50%を越えてシェアNo.1を目指すとした。
インクジェットプリンタ市場は、久しぶりに対前年を上回っている | 消耗品の動向では、キヤノンは業界全体を上回る伸びを見せている |
2010年の新製品の特徴としては、「ブラック&ボックスの新デザイン」と「新ユーザーインターフェイス」となっている。また、PIXUSは10周年を迎えて、ロゴも一新された。新しいロゴは「蝶のように未来にはばたくイメージ」と紹介された。
「PIXUS」に込められた意味 | PIXUS10年の歩み | PIXUSの新しいロゴ |
「新デザイン」と「新UI」が今年の訴求点 | 新ラインナップ | マーケットシェアNo.1を目指す |
清水勝一氏 |
続いて、キヤノン 常務取締役 インクジェット事業本部長 清水勝一氏が登壇し、新製品の特徴を紹介した。
真っ先に紹介されたのは「インテリジェントタッチシステム」で、デザインと操作性を両立させたことが強調された。また、見た目だけではなく、視線の動きを記録するアイトラッキング試験の結果でも、光によるナビがONになると、迷いがなくなり視線に無駄な動きが少なくなると紹介された。また、操作時間の比較でも、モード選択やカレンダー印刷の操作時間が半分~3分の1に短縮されるという。
デザインと操作性を両立させた | 視線の無駄な動きが少ない | 操作時間も大幅に短縮される |
もう1つの新機能として「フルHD動画プリント」が紹介された。キヤノンのデジタルカメラでは、フルHD動画の撮影機能を持つ製品が増加しているが、その動画の中の1コマを印刷できる機能だ。対象となるのは、キヤノン製デジカメで撮影されたMOVファイルとなっている。
細かなところでは、「自動写真補正II」の印刷機能が強化され、従来の青かぶりに加え、赤かぶりの補正機能が追加された。
また、シリーズ全機種にスリープモードが追加されるなど、省電力設計が強化されている。
キヤノン製デジカメのフルHD動画から1コマを選んで印刷できる | 純正インク使用者には、専用のプレミアサイトが用意される | プレミアサイトでは、有名アーティストの作品が提供される |
青かぶりに加え、赤かぶりも自動補正される | 基本システムは、このところ落ち着いた印象だ | 環境配慮は、コンシューマ向け製品の基本要素 |
佐々木統氏 |
最後にキヤノンマーケティングジャパン 専務取締役 コンスーマイメージングカンパニープレジデントの佐々木統氏が、国内のマーケティング戦略を説明した。
プリンタを購入したユーザーへのアンケートでは、従来のプリント画質重視から、デザイン/操作性、そして無線LAN対応が重視されるようになってきたという。特に無線LAN対応を挙げる人は、一昨年の18%から昨年の59%へと急激に上昇している。同様に、PCの無線LAN利用率は、30%から36%へ上がっているが、プリンタの無線LAN利用率は5%から23%へと上がっている。それでも、全体から見れば4分の1弱なので、今後も拡大していくことが見込まれるという。
無線LAN対応が重視されるようになった | 80%以上のユーザーがデザインには満足している |
どの機種でも80%以上のユーザーが操作性に満足している | 無線LANは普及が進んでいるが、まだ伸びる余地は大きい |
今年のコミュニケーションパートナーは、昨年に続き岡田将生さんだが、CMの方向性はかなり変わっている。おとなしく説明するという印象だった昨年のCMに比べ、今年はノリの良いイメージ重視という印象を受けた。9月と10月は「光でナビ」と「無線LAN」がテーマで、11月と12月は「写真年賀状」がテーマとなる。
昨年に引き続き岡田将生さんがコミュニケーションパートナー | グラフィック広告例1 | グラフィック広告例2 |
広告宣伝スケジュール | 新しい情報ツール「キヤノンお知らせメッセンジャー」も用意された | 各層への情報伝達手段 |
質疑応答では、具体的なシェアの数字として「50%は取れるかなという手応えはある」という回答があり、新製品への自信が伺われた。
発表会全体を通して繰り返し訴求されたのは、デザインと操作性だ。特に光で操作をガイドする「インテリジェントタッチシステム」は上位2機種のみの搭載とは思えないほど強調されていた。このシステムへの注力ぶりは、従来では中位機種が充てられている主力機種(その年に一番多く売る機種)に、シリーズ全体でも上から2番目の上位機種である「MG6130」を想定していることからもわかる。MG6130のみシルバーモデルが用意されるほどの注力ぶりだ。
シリーズ全体のイメージを一新したPIXUSと、それを代表するMG6130に対し、ライバルメーカー各社がどのように対抗してくるのか楽しみなところだ。
今回発表された新製品は複合機が5機種(+色違い1機種)、プリンタが1機種 | 展示会場に並んだ全機種 | 展示会場には各機種が並べられ、機能が紹介された |
MG6130のみシルバーも用意される | MG6130。ブラックは光沢があるのがよくわかる | 昨年モデルとは異なり、液晶はたたんだ状態でも見える |
(2010年 8月 31日)
[Reported by 伊達 浩二]