富士通株式会社は9日、PCの夏モデル「ESPRIMO」、「LIFEBOOK」を発表。これにあわせて都内で記者発表会を開催した。
冒頭では、同社執行役員副社長の佐相秀幸氏が挨拶。同氏は、2009年度のPC市場を振り返り、「Windows 7とともに、マルチタッチ対応モデルやモバイル向け製品の充実、スクールニューディール需要により、前年比14%増の成長を遂げ、市場平均の4%を上回った」とした。
そして、2010年度の目標として、「グローバルブランドの統一、3Dモデルの訴求、さまざまなユーザーニーズに合わせたフルラインナップ、そして信頼性と高品質を追求した“MADE IN JAPAN”の継続」の4つを掲げ、展開していくとした。
同社執行役員副社長 佐相秀幸氏 | 2010年度の目標 |
●グローバルブランド化の経緯
2010年夏モデルより、従来のデスクトップPCブランド「DESKPOWER」、ノートPCブランド「BIBLO」を廃止し、グローバルブランドである「ESPRIMO」と「LIFEBOOK」に統一する。これについて同社執行役員常務 大谷信雄氏が経緯を説明した。
同社の中長期ビジョンとしては、1つ目に真のグローバルICT企業への成長、2つ目にヒューマンセントリック(人間を中心としたコンピューティング)社会の実現がある。そして同社が目指すPCの方向性として、人間の24時間の生活の中で欠かせないパートナーであるとして位置づけるという。
執行役員常務 大谷信雄氏 | 富士通の中長期的ビジョン | 生活のパートナーとしてのPC |
グローバルICT企業の実現に向けては、これまで欧州、日本、北米、アジア太平洋のそれぞれの市場においてブランドを展開してきたが、これを統一し、保守部品、サポート情報、そしてノウハウを共通化することで、世界全体において均質で素早い対応を実現したいとする。
また、ESPRIMOのブランドには、「ESPRIT(機知に富む)、EXPRESS(表現する)、PRIME(最高の)」などの思いが込められ、LIFEBOOKには「いつもあなたのLIFE(生活)のそばにいる」をイメージしているとし、いずれもヒューマンセントリックのビジョンに沿ったブランド名であるとした。
これまでのPC事業は地域ごとの展開だった | 製品やブランド、サポートを統一 |
ブランドの統一 | 統一により、世界全体において均質で素早い対応を実現 |
●3Dモデルがメインの2010年夏モデル
2010年夏モデルでは、3D立体視映像が見られる「ESPRIMO FH550/3AM」を強くアピールし、CMなどで展開していく。同社執行役員 齋藤邦彰氏は、「富士通はこれまでに、'85年に天然色パソコン(FM77AV)、'89年にCD-ROM標準搭載パソコン(FM TOWNS)、PC初のデジタル放送HD録画対応PC(DESKPOWER TX)などを発売してきた。また、液晶や映像エンジン技術の開発に力を注いできており、リアリティを追求してきた。2010年夏モデルでは、そのリアリティを2Dから3Dへ進化させる」と語る。
新製品のコンセプトは、ユーザー1人1人が“やりたいこと”、“望むこと”、“想像したこと”を、FMVを通して“できること”に変えることであるという。そしてキャッチフレーズを「デキルが、ココに。」に定め、プロモーション展開をしていく。
同社執行役員 齋藤邦彰氏 | これまでもリアリティを求めてきた | 「デキルが、ココに。」という新キャッチフレーズ |
「デキル」ことの1つ目として、「FH550/3AM」による3D体験を挙げる。3D映像を視聴するだけでなく、従来の2Dから3Dに変えることや、内蔵される3Dカメラを通してオリジナルの3Dビデオを制作できることを独自の特徴としてアピールする。
3Dは“見る”だけではなく、“変える”、“作る”を実現 | Blu-ray 3Dや収録された3Dコンテンツの視聴が可能 |
2D映像を3Dに変換する機能も備える | 3Dカメラにより、ユーザーが3Dビデオを制作できる |
2つ目は、地デジ対応モデルの一部における「Dixel HD エンジン2」の搭載。人間の視覚特性に基づき、画質劣化が目立つ部分は高画質を維持、その他の部分を高圧縮にすることで、PCで初めて長時間10倍ダブル録画を実現。さらに増設したUSB HDDへの録画をサポートすることでユーザーの録画時間に対する不満を解消したとする。
録画時間への不満に対するユーザーアンケート結果 | Dixel HD エンジン2の搭載により長時間録画を実現 |
このほかにも、ハンドジェスチャーによる操作や、複数のラインナップによるさまざまなニーズへの対応を、それぞれ3つ目と4つ目の「デキル」として位置づけ、訴求していきたいとした。
ハンドジェスチャーの対応 | さまざまなラインナップでさまざまなユーザーニーズへ対応 |
発表会には、新CMキャラクターの柴咲コウさんがゲストとして招かれ、トークショーで新製品についてアピール。「実際に製品を見てみたが、2Dから3Dに変換されて立体的に見えるのは本当に驚いた。自分は馬が好きで、乗馬を楽しんでいるが、これらも3Dのビデオで収められればいいなと思う。あと、ブログの更新や作曲、キッチンでのレシピの参照など、生活のさまざまなシーンで利用できそうです」と話した。
また、司会に「柴咲さんは“デキル女性”というイメージがあるんですが、実際のところどうでしょう」と問われると、「自分では特に意識はしていないんですが、思ったことをすぐに表現することが、周りからみてそう思われる要因ですね。新製品も“デキル”がテーマなので、上手に利用して“デキル”を磨いていきたい」と答えた。
(2010年 6月 9日)
[Reported by 劉 尭]