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会場:慶應義塾大学理工学部
矢上キャンパス14棟
会期:3月13日~15日
社団法人情報処理学会は、3月13日から開幕した第32階全国大会において、創立40周年記念展示会「情報技術のエポック展」と題して歴史的なコンピュータの展示を行なっている。
展示会場は慶應義塾大学理工学部矢上キャンパス14棟の4~7階で、各フロアに1室の展示室が設けられている。学会の併設展示会で、大学の一角を利用して行なわれるなど、展示会としての規模は小さいが、滅多に見ることのできない歴史的なコンピュータを見ることができ、一部のコンピュータには実際に触れることもできるなど貴重なイベントといえる。
会場は小さいながらも、フロアごとにテーマが決められ、4階がCPUやメモリなど、5階がプリンタ、キーボード・パンチカードシステムなど、6階が真空管計算機・電子計算機システム、7階がリレー計算機・パソコンなどとなっている。
【お詫びと訂正】
・初出時に下記のような誤記がございました。ご迷惑をおかけしました関係者の方にお詫びして訂正させていただきます。また、ご指摘いただいた皆様にお礼申し上げます。
●4階:CPU・メモリ・テレックス端末・ポータブル端末
6250BPI磁気テープ媒体('76年)。写真下のMTリングを外すと物理的に書き込み禁止にできる | DIPS-11 5シリーズCPUボード('82年)。121個のLSIを搭載したCPUボードで、当時最高レベルの処理能力を持ち、信頼性と低消費電力化を実現したという | DIPS-11 5EシリーズCPUボード('87年)。中央が336個のLSIを搭載したCPUボード。左右にあるのは水冷伝導冷却ボード |
3.2GB磁気ディスク装置(左、'81年)と、8.8GB磁気ディスク装置(右、'87年)。いずれも試作品HDAカットモデル。データ転送速度は1.3MB/sec(左)、4.4Mb/sec(右)。まるでオートバイのエンジンのようなデザインと大きさだ |
'82年4月(昭和57年)に始まった(財)新世代コンピュータ技術開発機構(ICOT)による第5世代コンピュータプロジェクトで'93年に開発された並列処理コンピュータ「PIM」。よく見るとAMDのチップが搭載されている |
'56年10月に開始された加入電信サービス用「TEX-S型A2宅内装置」('66年)。'60年代前半の主力機で通信速度50ボー、重量は200kg以上 | 日本で最初に導入された漢字処理が可能な携帯型データ端末「DT-308」('80年)。音響カプラを使用し、重さは約10kg |
'71年に開発された4004からItaniumに至るIntelの歴代CPU。4004に比べるとPentium 4は18,000倍以上のトランジスタを搭載する | こちらのケースには6502からZ80、V30、68000、SPARCやVR4400まで各社のCPUが陳列されている |
●5階:プリンタ・キーボード・パンチカードシステムなど
アメリカの国勢調査用に考案されたホリレスパンチ・カードシステムの模型(1889年)。単独の計算機と総合演算処理を目的としたコンピュータとを結ぶ架け橋となった |
PDP11などで使われた紙テープ。'50年代から使用されていた | '60年代に使用されたカード。カードは横が80桁に分けられ、それぞれの欄に0から9と余白部分2カ所がある。この穿孔の組み合わせで文字を記録する。大型コンピュータへの入力方法としては'80年代まで使用されていた |
「IBM11穿孔機」('30年代)。カードをプレートの上に置き、 数字キーを押すことで穿孔する手動穿孔機。1枚のカードに80桁の数字と英文字を記録できる | 「IBM26印刷穿孔機」('59年) |
元日本電気特別顧問森田正典氏が考案したM型キーボード('83年~)。左に母音、右に子音を配置しキー配置の覚えやすさと、左右交互打鍵と複数文字列を単打鍵で入力できる複合キーにより、高速な日本語入力を実現したという。文豪などに搭載されたほか、PC-8801/9801用、Windows用が発売された |
日立製作所による国産初の7.25MB大型磁気ディスク装置「H-8564」('67年)と、現在の約74GBの3.5インチHDD「DK32DJDJ-72MC」(2001年)。H-8564は2,400rpm、転送速度0.156MB/sec、DK32DJDJ-72MCは10,025rpm、転送速度は最大74MB/sec |
●6階:真空管計算試作機・電子計算機システム・手回し計算機など
ENIAC演算装置モデル('50年)。ENIACの演算装置の回路に基づき試作された4桁の10進方式演算装置モデル。4桁を2桁+2桁に分け、加減算と転送を200μsで行なう | IBM1401電子計算機('59年)。高速カード読み取り穿孔装置、演算処理装置、高速度印刷装置の3つの装置によって構成される |
'64年に旧国鉄が日立製作所と共同開発した国内初のオンラインシステムMARS-101(左)と専用端末(右) |
VAX780と同等のワークステーションを1人で使いたいという欲望から生まれたというNWS-800プロトタイプ('86年、左)。同年、汎用ワークステーションとしてEWS-4800シリーズ最初のモデル30(中)が発表された。'90年にはラップトップタイプの「NWS-1250」(右)も開発されている |
ミニコン、大型コンピュータに大きな影響を与えたPDP-11/10('70年) | ミニコンの原型とも言われるVAX11/780のアーキテクチャをLSIに集積し、0.9MIPSのパフォーマンスを発揮したMicroVAX II('85年)。キャスター付きで机の下に入る |
1万ドルミニコン出現と言われた廉価な16bitミニコンOKITAC-4300('69年)。回路は全てIC化され、特別な空調も必要としなかった | 国内で初めて個人使用を意識して発売された小型科学技術用電子計算機HITAC10('69年) |
左から手回し計算機「クルタ」('67年、リヒテンシュタイン)、「アルピナ」('69年、ドイツ)、「タイガー計算機」('58年、タイガー計算機)。国内ではタイガーが手回し計算機の代名詞になるくらいに普及した |
●7階:リレー計算機、パソコン、オフコンなど
Intel 8080AとS-100バスを搭載したパーソナルコンピュータ「IMSAI VDP-100」('78年)。当時S-100バスベースでは珍しい一体型だった | MC68020を搭載し、BSD UNIXをベースにネットワーク機能を強化したSun OS 4を採用した「SUN3 60C」('85年) |
NECが'79年に発売した国内初の本格的8bitパーソナルコンピュータ「PC-8001」(左)。'82年には16bit時代の中心機種となった「PC-9801」('82年、右)が発売された |
事務部門の効率化が課題とされていた当時に登場した初の日本語ワードプロセッサ東芝「JW-10」('78年)。文書を記憶し、編集できるという事は当時としては画期的だった | かな入力キーボード「親指シフトキーボード」が初めて搭載された日本語電子タイプライタ富士通「OASYS 100初代モデル」('83年) |
'65年4月に製品第1号機が京都大学に、7月に電電公社と東京大学に納入され、国産初の大型計算機の登場として大きな注目を浴びた「HITAC5020」('64年) | '68年に発売された日本初のオフィスコンピュータ「MELCOM81」 |
□情報処理学会のホームページ
http://www.ipsj.or.jp/index.html
□情報処理学会第62回全国大会の概要
http://www.ipsj.or.jp/katsudou/taikai/62taikai.html
□学会創立40周年記念展示会の概要
http://www.ipsj.or.jp/katsudou/taikai/62display-40.html
□慶應義塾大学矢上キャンパスのホームページ
http://www.st.keio.ac.jp/index-jp.html
□関連記事
【3月6日】情報処理学会創立40周年記念展示会で、歴史的なコンピュータに会おう
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010306/ipsj.htm
(2001年3月13日)
[Reported by taira@impress.co.jp]